顧客との重要な接点である「メルマガ」は、読まれてこそ、初めて意味を成します。これから初めてメルマガを担当する方や、運用しているメルマガの効果を改善したい方のために、「読まれるメールマガジンの作り方」を7ステップに分けてわかりやすく解説します。具体的なコツや注意点も含めて、ポイントを押さえておきましょう。
目次
ステップ1:目的・ターゲット・タイミングを決める
メルマガは、定期的に配信する「定期配信メール」と特定のイベントやキャンペーンに合わせた「ステップメール」に分かれますが、以下では定期配信メールの作り方について解説します。まずは、メルマガ配信の目的・ターゲット・タイミングを決めていきます。
配信目的
メルマガ配信の目的は、主に次の3つに分かれます。
2:ホームページへ送客し、次の行動を起こしていただく
3:購入促進
配信ターゲット
ターゲット毎に目的・KPIを設定しておきましょう。
:メルマガでは商品・サービスの魅力を伝え、資料請求やお問い合わせ、購入をしていただくためにホームページに送客します。
●既存顧客
:商品・サービスをご活用いただくための情報や、困りごとの解決になるコンテンツを提供し、顧客満足度の向上を図ります。また商品・サービスにオプション購入できるものや、より上位のものがある場合には紹介し、さらに購入を促進することも有効です。
●購入状況で分けない場合
:情報の伝達とコミュニケーションによるブランディングの向上を目的にします。必要となったときに選んでいただけるよう、有益な情報を提供しながら他社との差別化を図り、信頼関係を構築していくイメージです。
配信タイミング
ターゲットが決まったら、顧客にとって最適な「配信タイミング」を検討します。このとき、あわせて考慮したいのがホームページの更新頻度です。メルマガの目的の1つは、顧客をホームページに送客することなので、有益なコンテンツが掲載されていなければなりません。
例えば、ニュースサイトのように情報の更新が頻繁なサービスは、最新トピックスを毎日の通勤の時間帯に合わせて配信しています。
また、少し時間をかけて検討いただきたい金融商品や生命保険などのご案内の場合は、ゆっくり過ごせる週末に合わせて金曜の夕方や土曜に週1回配信するなど、主要ターゲットとなる読者のライフスタイルを考えて、開封してもらえそうな時間を狙うと効果的でしょう。
担当者の作業工数を確保しつつ、顧客の読みやすい時間と負担にならない程度の回数を検討しましょう。配信タイミングについて詳しくは、以下の記事でもご紹介しています。
関連記事:メルマガ配信時間・曜日の正解は?効果的なタイミングをターゲット別に考察
ステップ2:配信内容(構成・文章)を作成する
目的・ターゲットに合わせて、構成・文章を考えます。メルマガには、送信者の情報や受信拒否の方法などの掲載必須項目があるため、最初に全体の構成を決めることをおすすめします。またHTML形式の場合は、文章だけでなく画像や動画を組み込み、より魅力的な見せ方を追求しましょう。
構成のポイント
ここでは、よくあるメルマガの流れと、それぞれのポイントをご紹介します。
トピックスは開封率に大きく影響するので、顧客視点で思わずクリックしたくなるよう工夫します。
また、タイトル直下にURLを配置し、読者がすぐに行動に移せるようにしましょう。
●導入
社名や商品サービス名、担当者などを入れて、まず挨拶をします。定番のフレーズを入れてもいいですし、季節の挨拶や最新の話題などを入れて親しみを持ってもらうのもよいでしょう。
●見出し
情報が複数ある場合には、目次を入れておくと、必要な情報にアクセスしてもらいやすくなります。
●本文
小見出し→内容の順番でわかりやすく簡潔に書きます。HTML形式で画像や動画を使える場合には、テキストをほとんど書かなくてもバナーなどビジュアルを工夫することで、クリック率が高まります。
●クロージング
このメルマガで顧客に起こしていただきたいアクションに触れ、最期まで読んでいただいたお礼などで結びます。
●運営者情報ほか
社名や発行部署、お問い合わせ窓口、受信拒否の通知ができる旨など、特定電子メール法に基づいた必要事項を末尾に記載します。
文章作成のコツ
最も伝えたいことを、冒頭に記載します。タイトルを見て「読みたい!」と開封した読者の気持ちが冷めないうちに、ホームページに送客するためです。
HTMLメールが普及し、情報量が多くても見た目が煩雑にならないことから、1通のメルマガに複数の内容が含まれているケースも増えていますが、優先順位をつけてメインは必ず1つに絞ることをおすすめします。そして、読者にとってもらいたい行動=ゴールをわかりやすく伝えましょう。
法律で定められた項目の記載
メルマガの送信は「特定電子メール法」という法律によって規制されています。具体的には、次の3つの項目を記載しなければいけません。
・受信拒否の通知ができる旨と、メールアドレスやURL
・問い合わせを受け付けることができる連絡先
送信するときに読者の同意をとることは大前提ですが、読者がいつでも購読をやめられるように配慮する必要があります。
その他、顧客のメールアドレスは個人情報に該当しますので「個人情報保護法」の遵守も必要です。またあなたの会社が通信販売等をする場合には「特定商取引法」についても把握しておくようにしましょう。法律上の注意点については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:メルマガとは?目的、メリット、形式、法律上の注意点など、基礎知識とポイントをわかりやすく解説!
ステップ3:配信方式を決め、メールのデザイン・装飾をする
構成の次は、メールのデザイン・装飾を決めます。構成に合わせたテンプレートを作っておくことで、メルマガを作成の作業工数を減らすことが出来ます。文字だけで作成する「テキスト形式」と、画像・動画などを使って訴求できる「HTML形式」、それぞれの場合について解説します。
HTML形式の場合
HTML形式のメルマガは、文字の大きさや色を変更して強弱をつけたり、写真や図解・動画を入れたりするなど、表現のバリエーションが一気に増えます。また、無料でHTMLのテンプレートをダウンロードできるサイトもありますので、必要に応じて利用してみましょう。
最近では、銀行や生命保険会社など、専門用語や複雑な情報をお伝えする業種を中心に、動画メインで分かりやすく情報を届けるメルマガも増えてきています。また動画の中でも、クリック率(CTR)を上げる手法として「インタラクティブ動画」に注目が集まっています。
動画の埋め込み方法について詳しくは、以下記事を参考にしてみてください。
関連記事:メルマガへの動画の埋め込み方法4選!動画効果とトレンドの動画手法もご紹介!
テキスト形式の場合
使えるのはテキストのみになるため、装飾などを使って読みやすくする工夫が必要です。1通のメールに情報を詰め込みすぎないようにするのはもちろんですが、タイトルや見出しなど、目立出せたい部分には記号を使い、改行で余白を作ります。枠線などの装飾を使う場合、スマホでも読みやすいよう、17文字以内にすることをおすすめします。
関連記事:テキストメルマガに使える「装飾素材」!スマホ対応17文字版
ステップ4:タイトルを決める
メルマガの開封率を高めるのは、タイトル次第。読者が思わずクリックしたくなるように、工夫しましょう。
タイトル作成のコツ
興味関心を惹くタイトルをつけるテクニックとして、マイケル・マスターソンが提唱している「4Uの法則」があります。この法則を使って、金融機関におけるメルマガのタイトル例をご紹介します。
●Urgent(緊急性):今すぐに欲しい、知りたいと思わせられるか
モノや情報が溢れた現代では、人はなかなか行動してくれません。そこで、緊急性や限定性を伝えるフレーズを入れることで、今すぐの行動を促します。
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●Unique(ユニークさ):唯一無二のものであるか
世の中には、似ている商品・サービスが多いので、そこから選んでもらう必要があります。また、好奇心をくすぐられ「何があったの?」とその先を知りたくなるようなタイトルで開封率は上がります
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●Ultra specific(超具体的):読者に具体的なイメージを抱かせられるか
具体的な数字や固有名詞を使い、自分ごと化して捉えていただくことで、興味関心を惹きます。
・【先着3名】10月14日(金)10時のセミナーにキャンセルが発生しました
●Useful(有益性):読むことで利益を得られるか
ターゲットに「時間をかけて読みたい」と思わせるタイトルを考えます。インパクトのあるニュースや、話題のキーワードを入れるのも効果的です。
・【3分】の動画で分かる!資産運用はじめの一歩
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その他、タイトルに関するテクニックはこちらでもご紹介しています。
関連記事:開封率を上げる!メルマガタイトル(件名)のコツ【事例・フレーズ付】
ステップ5:配信リストを確認する
メルマガ配信で顧客の信用を損なうことがないよう、配信前には必ずリストを確認しましょう。
配信リストのチェックポイント
アドレスの管理方法としては、一斉配信に対応したメール配信ツールを契約し、ツール内で管理をするのがおすすめです。
Excelやスプレッドシートを使って管理をする場合には、操作ミスが発生してしまわないよう、細心の注意をもって作業をすると同時に、必要最小限のメンバーだけが閲覧できるよう、セキュリティの整った場所に保存しなければなりません。
ツールの利用には費用がかかりますが、個人情報の流出事故を起こしてしまうと、信頼を回復するためにはそれ以上に膨大なコストと時間が必要になります。メール配信ツールを利用し、チェック工程の業務効率化と情報の正確性を維持することおすすめします。
ステップ6:テスト配信後、本配信をする
メールを書き終え、配信リストが完成したら、担当者である自分を宛先にして、テスト配信をします。関係者が複数いる場合には、さらに複数名に配信して、客観的な視点からダブルチェックを行いましょう。
テスト配信時に確認すべきポイント
主にチェックすべき点は下記です。
・誤字・脱字、表記のゆれ(例:こども、子供など)がないか
・不快感を与えるような表現はないか
・理解できない専門用語はないか
・掲載情報が正しいか
・リンク先が正しいか
・画像やデザインの崩れがないか(装飾、改行位置)
・受信拒否(配信解除)の方法や送信者情報などが明記されているか
・パソコン、スマホの両方で正しく表示されるか など
本配信時の注意点
配信リストの確認でも触れましたが、最も注意すべきは、個人情報の漏洩です。メルマガの配信は、ルーティン作業になりがちですが、個人情報を取り扱っているという認識を忘れずに、都度、細心の注意と緊張感を持って配信しましょう。
ステップ7:効果測定をする
メルマガは、マーケティング活動の一環です。他のマーケティング施策と同様に、目的に合わせてKPIを設定し、顧客の反応が得えられたのかを検証しながら改善していきます。
メルマガのKPIとは?
ここでは3つの指標をご紹介します。
メルマガ送信数に対する、開封された割合です。業種・業態や案内容によって数値は変わりますが、15〜20%が平均といわれています。タイトルや配信タイミングの影響を大きく受けるので、過去の数値を分析することで、改善につなげましょう。テキスト形式で送信する場合には、計測することができません。
●クリック率(CTR)
メルマガ内のURLがどれだけクリックされたのかを、開封数を母数にして算出します。URLが複数ある場合には、メインコンテンツのみを計測したり、クリック率が高いコンテンツを分析して読者の興味関心を把握し、改善につなげます。
●コンバージョン率(CVR)
コンバージョンとして、動画の再生、資料請求、セミナーの申し込み、商品の購入などを設定し、最終的に、読者が目的の行動をとったかどうか、クリック数を母数にして算出します。メルマガのどの要素がコンバージョンにつながったのか、分析しましょう。
関連記事:メルマガ開封率の平均値とは?効果測定と開封率を上げる4つのテクニックをご紹介
関連記事:メルマガの平均クリック率とは?クリック率を上げる7つの方法をご紹介!
効果的なメルマガ配信を継続するコツ
最後に「効果的なメルマガ配信」を継続していくためのコツを2つご紹介します。
ネタを常に探して、ストックしておく
情報を発信することを意識して、必要な情報を探すことと、もらうことを心掛けます。メルマガは会社のマーケティング施策なので、関係者を巻き込んで「編集会議」をしたり「メルマガ情報シート」を作るなど、全社を巻き込んでネタを収集します。またメルマガのKPIを定期的に共有し、PDCAを回し続けることが、効果的なメルマガを継続するために必要です。
効果検証を元に、顧客満足度の高いコンテンツを企画する
データを分析し、より読者に好まれるコンテンツを企画します。他社の成功事例をリサーチしたり、配信内容や配信時間帯を分けてABテストをしたりするのも良いでしょう。メルマガが商品・サービスの売上や、顧客満足度の向上に寄与していることを関係者が実感できると、継続するモチベーションも高まります。
まとめ
メルマガの作り方について詳しく解説しましたが、いかがでしたか?メルマガはマーケティング活動であると同時に、メールを通じた顧客とのコミュニケーションです。顧客にとって有益な情報をお届けすることができれば、それが開封率やコンバージョン率など、KPIの数値として返ってくることでしょう。ぜひ「顧客の満足度を高める」ことを意識しながら、メルマガを配信してみてください。
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841