「メルマガの開封率を左右する」といっても過言ではないほど重要な「配信タイミング」。タイトルや内容ももちろん大切ですが、そもそもメールを見てくれないことには何も始まらないからです。当記事では、ターゲット別にライフスタイルや生活パターンを想定し、メルマガ配信に最適な曜日や時間帯をご紹介します。
目次
なぜメルマガの配信時間が重要なのか?
メルマガの開封率に影響を与える要素には、タイトル、送信元名、プリヘッダー(読者が最初に目にする書き出し部分)、配信時間や配信頻度などがあります。その中でも「配信時間」は重要な要素。ターゲットがメールを見てくれないことには、開封もされないからです。
メール利用の平均時間は、平日1日あたり約40分
総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(令和2年度)」によれば、前年と比較し、インターネットの利用時間はどの年代においても増えています。その内訳を見ると、平日のメールの利用時間は平均40分で、動画視聴の39分やSNSの38分に勝っていますが、休日になると平均22分に減り、動画視聴58分、SNS・44分と逆転します。
メルマガの開封率を高めるためには、曜日によるインターネットの使い分けなども認識した上で、最適な配信タイミングを考える必要があります。
開封率の測定方法と平均値
メルマガの開封率は、HTML形式のメルマガであればメール配信システムで計測することができ、全配信数からエラーで届かなかったものを除いた数に対して、どれだけの方に開封されたかで算出します。
例えば、全配信数1,010件のうちエラーが10件の場合、届いたものは1,000件。
そのうち開封が150件であれば、開封率は15%となります。
テキスト形式のメルマガの場合は、メルマガに商品購入ページなどのURLを記載して、Googleアナリティクス(Google Analytics)などWebサイトのアクセス数を計測するツールで、開封率を推計します。
開封率の平均値
業界や配信ターゲット・内容が異なれば開封率も変わるため、明確な基準はありません。基本は、自社の開封率を計測し、そこからトライ&エラーで配信時間を変えて、変化を見ていくのが良いでしょう。
参考値として、世界最大のメールマーケティング会社であるキャンペーンモニター社の「2021年度メルマガ開封率の業界別平均値」によると、全業界の平均は21.5%でした。業界別の平均値について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
メルマガの配信時間・曜日はターゲット毎に考えよう!
メルマガの配信時間・曜日には「これ!」という正解はありません。ただし、正解を探す方法は存在します。それは、メルマガのターゲットとなる顧客の生活パターンを考え、メルマガを読んでもらえそうな時間帯を探すことです。
まずは商品・サービスのターゲット、つまりメルマガを誰に向けて配信するのかを考えてみましょう。
大きく分けると、BtoB(対企業)とBtoC(対個人)の2種類ですが、BtoBの場合は、経営者向けなのか、特定部署の担当者向けなのかで、生活パターンが変わってきます。一方、BtoCの場合は、仕事をしている社会人なのか、仕事をしていない主婦や学生、シニア向けなのかというように、メインとなるターゲットを明確にしておくことが大事です。
ターゲット毎に生活パターンを想像し、メールをチェックする「余裕のある」時間帯や曜日を探していきましょう。
BtoBメルマガ:経営者宛の場合
経営者の場合、朝の早い時間帯から活動される方が多いです。朝イチで業界動向や新聞などをチェックされる方も多いので、平日の就業前の時間帯を狙ってみましょう。週の始まりの月曜日はメールが溜まっていたり、朝の定例会議などが入っていたりと、忙しいことが想像できるため、配信は避けると良いでしょう。
- 平日朝(就業前の時間帯)
- 月曜日は避ける
BtoBメルマガ:企業担当者宛の場合
管理職であれば、やはり経営者と同じように朝の早い時間帯に自分の要件を片付けてしまう方が多いでしょう。通勤時間を情報収集に充てる方もいるので、経営者と同様に、就業前や帰宅時間帯、少し余裕のある昼休みなどがおすすめです。また月曜日は避け、週の半ば(火・水・木曜日)を狙うと良いでしょう。
- 平日朝の就業前/帰宅時間帯(通勤時間)
- 昼休み
- 月曜日は避ける
BtoCメルマガ:ビジネスパーソン宛の場合
ビジネスパーソン宛であれば、平日朝・夕方の通勤時間や終業後の時間に配信するのが、おすすめです。在宅ワークも増えて、昼休みを個人で有意義に使うビジネスマンも増えているので、仕事やスキルアップ系のサービスであれば昼休みも開封率UPが期待できます。投資、旅行などのレジャー系、スキルアップのためのスクール系の情報などは、じっくり時間のとれる19時以降か金曜日・週末もいいでしょう。
- 平日朝の就業前/帰宅時間帯(通勤時間)
- 昼休み
- 金曜日~週末
BtoCメルマガ:主婦宛の場合
子どものいる主婦向けのメルマガであれば、子どもが幼稚園や学校に行っている平日の9時〜12時頃がおすすめです。毎日家族のことで忙しい主婦が、一人でゆっくり過ごせる時間帯だからです。専業主婦の場合は、「パソコンは持っておらず、スマホだけ」という方もいるので、メルマガもスマホで見ることに配慮して作成しましょう。
- 平日9~12時頃
BtoCメルマガ:女性宛の場合
化粧品などの美容系は、あらゆる女性がターゲットになり得ます。年代やターゲット毎に配信内容(紹介する商品・サービス)を分け、配信時間を工夫してみるのがおすすめです。ファッション系の通販などは、じっくり検討できる金曜日夕方や土曜の午前中に配信される傾向にあります。
- 金曜日夕方
- 土曜の午前中
BtoCメルマガ:学生宛の場合
就活やスキルアップ系など、学生向けの商品・サービスであれば、平日の日中や夜がおすすめです。ビジネスパーソンに比べると、時間に余裕があるので、隙間時間にもチェックしてもらえる可能性があるからです。仲間とシェアすることも多いので、タイトルに工夫をすることも必要です。
- 平日の日中~夜
BtoCメルマガ:シニア宛の場合
就寝時間が早いことを想定し、夕方16時以降のメール配信は控え、日中に配信すると良いでしょう。シニアの場合、朝早くから活動している方が多いので、朝のメール配信も効果的です。メーカー勤務の知人の話によると、朝の7時台のニュースで商品が紹介されると、その日のコールセンターが始まると同時に電話が鳴り止まないそうです。
- 朝~日中
配信時間・曜日の正解の探し方
ターゲット毎に決めた時間・曜日に合わせて、何度か配信をしてみましょう。そして、内容によってバラツキがあるのか、自社や業界の平均値と比較します。改善の余地があるようであれば、ABテストを行うなどして、他の曜日・時間帯を試してみましょう。
ABテストのやり方
配信リストを無作為に2つに分けて、Aの時間帯、Bの時間帯で配信し、その結果を比較します。開封率以外に、以下の指標も比較しながら、より効果の高い時間帯や曜日を探します。
- クリック率
- 反応率
- コンバージョンに至った数
- オプトアウト率(メルマガ解除)
季節や特別な日に合わせた配信で、開封率がアップした事例
最後に弊社(MIL株式会社)の成功事例をご紹介します。弊社は、インタラクティブ動画マーケティングを提供しているBtoB企業です。週1回、企業のご担当者様向けにメルマガを配信していますが、2021年に配信したメルマガの中のうち、開封率上位のメルマガの配信タイミングとタイトルは以下の通りです。
▼配信日
2021年12月24日(金)15:00
▼タイトル
【××様】MILからのクリスマスメッセージ動画をお贈りします!触ってお楽しみください☆
▼開封率
29.2%(平均24%より5%アップ)
<成功の要因>
クリスマスイブ(12/24)という特別なタイミングで配信し、タイトル冒頭に【××様】と名前の差し込みを入れたことにより、「パーソナルなメッセージ動画が届いた」と感じていただくことができ、開封率が通常よりも高くなったものと分析しています。また弊社サービスである「インタラクティブ動画」は視聴者が「触る」という参加型コンテンツのため、「触ってお楽しみください☆」というフレーズでコンテンツへの期待感を高めることができたものと思われます。
▼配信日
2021年8月11日(木)15:00
▼タイトル
【夏休み特別企画】観光の疑似体験ができるインタラクティブ動画事例を、まとめてお届けします!
▼開封率
26.3%(平均24%より2.3%アップ)
<成功の要因>
お盆というビジネスにおける閑散期のタイミングで配信し、タイトルに【夏休み特別企画】と入れたことにより「読んでみよう」と惹きつけることができ、開封率アップにつながったと分析しています。また夏休みでありながら、コロナ禍で旅行やレジャーに行けない方も多く、そのような中で「観光の疑似体験」というキーワードが開封のフックになったと推測できます。
このように、特別なタイミングで、その期待に沿ったタイトルのメルマガを送信すると、開封率アップが狙えると言えそうです。BtoCの場合、「顧客の誕生日」などは、まさに年に一度の特別なタイミングであり、メルマガにより開封率アップとともに顧客満足度の向上も狙えることでしょう。
まとめ
配信時間・曜日は、メルマガの開封率に関わる重要な要素ですが、他にも、タイトル、送信元名、プリヘッダー(読者が最初に目にする書き出し部分)、配信頻度など複数の要素が存在します。配信時間・曜日だけに固執せず、総合的に改善を図ることが大切です。常に課題を意識しながらPDCAサイクルを回し、メルマガの効果を高めていきましょう。
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執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841