マーケティング担当者がWebサイトを制作、または運営を行う上で重要な視点として「コンバージョン」させられるかどうか、というものがあります。コンバージョンの設定は、Webサイトの目的地と目標を定めることであり、Webサイトを活用したマーケティングの成果を最大化するための重要な要素とも言えます。
「コンバージョン」と一言で言っても、商材やWebサイトの目的により、設定する種類や目標数値は異なります。MarketingSherpa LLCが調査した「Marketing Research Chart: Average website conversion rates, by industry」の結果では、業種ごとの平均コンバージョン率は2~10%と開きがあることが分かっており、設定するコンバージョン率により結果が大きく変動するものです。
「Webサイトのコンバージョン率が低いので改善したい……」
「コンバージョン率改善のための具体的な施策が分からない……」
といった悩みを抱えるWebマーケティング担当者向けに、当記事ではコンバージョンの種類や具体的な設定方法、またコンバージョンを増やす方法について解説します。
目次
Webサイトにおける「コンバージョン」とは
コンバージョンとは「転換」などを意味する英単語「Conversion」から由来する用語で、マーケティング領域においては一般的に「成果」を意味します。略語では「CV」とも表されます。
コンバージョンとは、目標として定めるユーザーの特定のアクションに対し、実際に実行された状態のこと、です。Webサイト上に設定するコンバージョン例には、以下のようなものがあります。
- 商品ページの閲覧
- 商品の購入
- メルマガ購読
- 会員登録
設定したアクションをユーザーが実行することで、コンバージョンが達成されます。
コンバージョンの種類
コンバージョンは複数の種類があり、Webサイト上に掲載する商品やサービスの種類、またWebサイトを見てもらいたいターゲット層などによって設定すべき内容が異なります。
設定する場合は、Webサイトを介してユーザーにどのようにアクションしてもらいたいのか、どこに誘導したいのか、目的に沿って選択していくことが重要です。
設置するコンバージョンは1つのみとは限りません。場合によっては1つのWebサイトに複数のコンバージョンを組み合わせて設定することもあります。
おもなコンバージョンの種類と目的を以下に紹介します。コンバージョン設定時の参考にしてみてください。
種類 | 使用例 | 目的 |
---|---|---|
商品/サービスの購入 | 商品購入 | ・ECサイトの場合、Webサイト上での商品の購入 ・店舗の場合、顧客の来店誘導 |
申し込み | 無料体験、セミナーやイベント申し込み、資料請求、見積もり依頼など | ・商談の獲得(商材が高額なもの、購入までの検討期間が長いもの、Webサイト上では情報を伝えにくい商材に対して有効) |
参加 | メルマガ登録、LINE追加など | ・商品やサービスのブランディング ・長期アプローチが必要な商材に対するナーチャリング |
ボタンのクリック | 商品ページへのアクセス、コンテンツページへの誘導など | ・比較検討対象ユーザーへの情報提供 ・商品やサービスの購買行動の促進 |
アカウント作成 | 会員登録など | ・ユーザーとの定期的な設定づくりによる再来訪や購買行動の促進 |
アプリのインストール | アプリのインストール | ・アプリインストール数の促進 ・無料アプリ展開によるフォローの増加 |
商品/サービスの購入 |
商品購入 | ・ECサイトの場合、Webサイト上での商品の購入 ・店舗の場合、顧客の来店誘導 |
---|---|---|
申し込み | 無料体験、セミナーやイベント申し込み、資料請求、見積もり依頼など | ・商談の獲得(商材が高額なもの、購入までの検討期間が長いもの、Webサイト上では情報を伝えにくい商材に対して有効) |
参加 | メルマガ登録、LINE追加など | ・商品やサービスのブランディング ・長期アプローチが必要な商材に対するナーチャリング |
ボタンのクリック | 商品ページへのアクセス、コンテンツページへの誘導など | ・比較検討対象ユーザーへの情報提供 ・商品やサービスの購買行動の促進 |
アカウント作成 | 会員登録など | ・ユーザーとの定期的な設定づくりによる再来訪や購買行動の促進 |
アプリのインストール | アプリのインストール | ・アプリインストール数の促進 ・無料アプリ展開によるフォローの増加 |
Webサイトの重要指標「コンバージョン率(CVR)」とは
コンバージョンを設定後、Webサイト上でどれくらいの成果を上げたのかの指標となるのが「コンバージョン率(CVR)」です。例えば、Webサイトへの集客が十分であるにもかかわらず、コンバージョンの総数が低い場合は、指標としてコンバージョン率を確認します。
Webサイトへアクセスしたユーザー数と、コンバージョンに至ったユーザー数から算出でき、前述したケースの場合は恐らくコンバージョン率が低い結果が出ることでしょう。
Webサイトへのアクセス数が多くとも、コンバージョン率が低ければ直接的な利益にはつながりません。Webサイトで十分なマーケティングの成果が上げられていないことになります。Webサイトの課題や問題が発生した場合、改善するための分析指標としてコンバージョン率の確認は欠かせません。
ではここから、具体的な計算方法や設定すべきコンバージョン率について説明していきます。
コンバージョン率の計算式
ここでは、コンバージョン率の計算式について説明します。その前に、式の組み立てに必要な用語を理解しておきましょう。
セッション数 | 特定の期間内にWebサイトに訪問したユーザーの訪問回数 |
---|---|
ユニークコンバージョン数 | 純粋な数ではなくユーザーを1単位として算出するコンバージョン件数 |
ユニークユーザー数 | 一定の期間内のWebサイトの訪問者数 |
コンバージョン率は、以下の計算式で算出できます。
サイトへの訪問数:10000人
コンバージョンに至った件数:1000件
その場合の計算式は、1000÷10000でコンバージョン率は10%です。
Webサイトの取り扱い商材やコンバージョンの種類によっては、「ユニークコンバージョン数」を元に算出する「ユニークコンバージョン率」の方が指標としてふさわしい場合があります。
ユニークコンバージョン率を算出する計算式は、以下の通りです。
たとえばコンバージョンを複数設定しているときは、ひとりのユーザーが複数のコンバージョンに至るケースも多いです。コンバージョンの件数ではなく「ユーザーがコンバージョンをしたか」の方が正確な計測が得られると考えられる場合は、ユニークコンバージョン数を用います。
コンバージョン率の平均値(業界別/デバイス別)
コンバージョン率は、業界やユーザーのデバイスによっても異なります。Contentsquareが2021年に調査した業界別やデバイス別のコンバージョン率の違いを見ると、違いは明らかです。
用品や美容品、旅行などのおもなBtoCマーケティング業界におけるコンバージョン率は2~5%と高いレートであるのに対し、BtoB業界のコンバージョン率は0.6%とやや低いです。
またデバイス別での違いは、タブレットが一番コンバージョン率の平均値が高いことが分かります。
(出典:2021 Digital Experience Benchmarks by Industry|Contentsquare)
このことから、業界や顧客層の違いがコンバージョン率に影響すること、またマーケティング施策においては、全市場においてタブレット最適化も行っておいた方が良いことも分かります。
コンバージョンを増やす方法
Webサイトのコンバージョン率や件数は、マーケティングのみならず営業成果にも影響します。自社サービスや商品の売上拡大を目標としている場合、指標となるコンバージョンを増やす施策の実行、また問題がある場合は課題解決するための問題を分析し、改善を進めることが大切です。
Webサイトのコンバージョン率に伸び悩みを感じているマーケティング担当者へ参考にしていただきたい、コンバージョンを増やすための方法を解説します。
1.課題を分析する
コンバージョン率が低い背景には、ユーザーの行動を妨げる原因があります。
「Webサイト上でわかりやすいサービス説明ができていない」
「ターゲットに見合ったWebサイトの構成になっていない」
などといったさまざまな視点での課題が考えられるでしょう。コンバージョンを増やす具体的な施策を立てるためには、まずはWebサイトの持つ課題分析が重要です。
課題は、トラフィック数(流入数)とコンバージョン率のどちらの要素に関わるかで分類され、また課題要素により対策方法は異なります。まずは期間を決めてWebサイトのトラフィック数(流入数)とコンバージョン率を計測し、どちらを改善するべきかの分析が必要です。Webサイトの訪問者が多いサイトは毎日、少なければ週次で指標を確認し、分析しましょう。
2.トラフィック(流入数)を増やす
Webサイトへのトラフィック数が少ない場合、より多くのユーザーをWebサイトに集客するための施策が必要です。より多くのユーザーへWebサイトの存在をアピールするように、以下の施策を例に集客を実行しましょう。
- 広告を出稿する
- SEO対策を行いWebサイトを上位表示させる
- Twitter、Facebook、instagramなどのSNSからWebサイトへ誘導させる
- オウンドメディア(ブログ、動画チャンネル、Webページなどのコンテンツ)を運用しWebサイトへ誘導させる
実際に、米国のB2B企業であるテクノロジープロバイダー企業のMarcoでは、ブログ記事の制作とSEO対策を1年注力した結果、ブログのトラフィックをわずか1年で2500%も増やしたというケーススタディーがあります。
ブログ制作に注力すると言っても、マーケティング担当者からすると具体的にどれくらいの頻度で記事を制作すべきか? その効果はどれほどか? 気になる方もいるかもしれません。
調査結果では、月に16本以上の記事を制作する企業と月に2本程度制作する企業と比較した場合、月に16本以上の制作の方がトラフィック増加効果があり、結果が約3.5倍以上の差異が出ました。トラフィック増加の改善策としてぜひ取り入れたい方法です。
(出典:Hubspot Blog)
ブログ制作の他にも、TwitterやInstagramなどのSNSを活用するなど外部チャネルからWebサイトへ誘導しトラフィックを増やす方法もあります。
製品や商品のPRを自社以外のチャネルでも行えると共に、トラフィック増加にも繋がり一石二鳥です。
さまざまなユーザーにアプローチするためにも、オウンドメディアやSEO対策、SNSや広告など、複数チャネルを組み合わせ、ユーザー集客を行なっていきましょう。
関連記事:SEOとは?初心者にもわかりやすく仕組みや主要な対策を解説!
関連記事:【初心者必見】オウンドメディアの作り方を企画から運用実行・改善まで4つのステップで解説
関連記事:【動画事例付】SNS広告の基礎知識!費用・メリットまるわかり!
3.ページの内容を改善し、コンバージョン率を高める
「商品ページまでは誘導できているものの、その先の目標としている商品購入につながりづらく即効性が低い」といった具体的な悩みを抱えるマーケターもいるかもしれません。
コンバージョンが低い場合、ユーザーの行動を阻害している原因は「Webサイト」や「コンテンツ」にある可能性が高いです。例えば「商品ページの説明がわかりづらい」、「Webサイト上のコンバージョンポイントまでの導線が複雑」というようにユーザーがWebサイトから離脱してしまうことが考えられます。
流入したユーザーのコンバージョンをより高めるために、Webサイトやページの内容の問題点の分析と改善をしましょう。Webサイトやコンテンツの改善に有効的な手法を次に解説していきます。
ヒートマップ
ヒートマップとは、多次元データを色付けすることでユーザーがどのページを訪問し、どこを特に見ているのか、を色分けし可視化する手法です。ヒートマップを活用すると、Webサイトを訪問したユーザーの興味関心度合いが色の違いで一目でわかります。
(出典:Ptengine)
「流入数は多いがメルマガ購読や商品購入といったコンバージョン数が低いため、Webサイトやページを改善したいが、どこをポイントに改善すべきかが分からない」という課題もあるでしょう。
ヒートマップでは、ユーザーの関心の高い部分を赤などの「暖色」、関心度の低い部分や離脱した箇所を青などの「寒色」で表現し、Webページ上での心理や感情をともなったユーザーの行動が一目で分かります。
ヒートマップで読み飛ばされている箇所を知ることができれば、離脱を防ぐために施策をすべき場所がわかりますし、ページの途中で離脱されている場合には、読了率を高めるために不要な情報を削るなどの施策が有効と判断できるでしょう。
ヒートマップを活用すれば、Webサイト上で改善すべきポイントが明確ですね。ヒートマップの具体的な機能や利用方法などについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:Web分析に使えるヒートマップとは?導入に失敗しないための基礎知識を解説
EFO
フォームのコンバージョン率が低くても、よく見慣れてしまっているマーケ担当者からするとフォームのどこに問題があるのかはなかなか気づけないですよね。フォーム内の改善点を瞬時に教えてくれる解決策があると施策のスピードも早まります。その解決策の一つがEFOです。
EFOとはEntry Form Optimizationの略で、「入力フォームの最適化」を指します。コンバージョンを「商品問い合わせ」「サービス概要などの資料の申し込み」「メルマガの購読申し込み」としており、フォーム入力項目を必須としている場合、EFOはコンバージョン率を向上させる有効な施策です。
EFOツールで分析すれば、フォームの入力項目で離脱率の高いものや、エラー発生率が高いものなどが把握できます。上の図のようにフォームの改善すべき場所を把握できるため、コンバージョン率改善につなげられるでしょう。
EFOツールは、フォームへの訪問者や滞在時間なども分析できるため、客観的な視点でフォームの操作性やインターフェースなども判断できます。
EFOでは、以下の手順で入力フォームの最適化を行います。
- 1.入力フォームの種類に沿った入力項目を設定する
- 2.入力フォームのサンプルを提示または改善する
- 3.入力ミスへのエラー表示を分かりやすいものにする
- 4.チェックボックス、同意ボタンなどは見やすく・クリックしやすくする
- 5.ヒートマップを使ってユーザーの動向をチェックする
EFO施策の詳しい方法は、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:EFOとは?入力フォームの離脱を改善しコンバージョン率を上げる6つのポイント
マイクロコピー
マイクロコピーとは、ボタンや入力フォームなどのWebサイト上のユーザーインターフェースに添える短い文章や言葉のことです。マイクロコピーは、ある程度トラフィック数が多いがコンバージョン率の低いWebページの改善に有効です。
Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピーを書籍出版した山本氏によると、
マイクロコピーを添えた結果、Webサイトのコンバージョン率が、コピーが無い状態と比べ1.2から1.5倍にできると伝えており、効果は絶大です。
例えば、「メルマガ購読申し込みフォームページ」のトラフィック数は多いが、コンバージョンにあたる実際の「メルマガ購読フォーム」の送信が少ないといった問題を抱えている場合。
上のイメージのように「60秒で登録完了できます」のマイクロコピーを使い、フォーム入力に手間がかからない、すぐ終わる、という印象を与えることで、ユーザーの入力と送信の行動を促進させる効果が期待できます。
マイクロコピーについてより詳しく知りたい場合、また具体的なWebサイトへの施策方法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:CVR改善に効くマイクロコピーとは?テクニックと事例を徹底解説
Web接客
Webサイトやページを訪れたユーザーへリアルタイムにWeb上で接客や応対を行うのが、Web接客です。おもなWeb接客の手法は以下です。
- 一定時間滞在したユーザーへクーポンのポップアップ提示
- 商品ページ内に事前資料ページへの誘導
- チャットボットによる問い合わせ対応
サイトやページ上で疑問を解決できない場合、ユーザーの離脱に繋がり、コンバージョンを妨げる要因になってしまいます。Web接客でリアルタイムにユーザーの疑問を即座に解決できれば、離脱を防ぎコンバージョン率の向上につなげられます。
goo AI x DESIGNが調査した「チャットボットの利用に関する調査」によると、ユーザーがチャットボットを利用した理由の回答で最も多いのは「すぐに回答が得られるから」でした。
「チャットボットの導入効果」に関する質問に対し、企業担当者の回答結果は「人手での問い合わせ対応件数の削減、業務効率化」が最多であり、加えて「サービス改善に活用できた」、「ユーザーが利益につながる行動をする割合が増えた」という回答もありました。
(出典:株式会社NTTレゾナント)
これらの結果からも、チャットボットはサイトからの離脱防止やコンバージョン向上にも効果を発揮していることが分かります。
コンバージョンを妨げる理由
ユーザーの行動を後押しする手法や施策を多く取り入れたとしても、Webサイトの構造や設置しているコンテンツ、ページ上での表現など、ユーザーが離脱する原因が隠れている場合があります。コンバージョンを妨げる要因を分析し、Webサイトの改善をするのも必要です。
コンバージョンを妨げる主な要因として、以下の3つが考えられます。
- 画像やテキストが多く、ローディングに時間がかかる
- 商品やサービスの価値を伝えきれていない
- モバイルに対応していない
これらの3つの要因について、以下の章で詳しく説明します。
理由①画像やテキストが多く、ローディングに時間がかかり、離脱を招く
ユーザーをコンバージョンへと導くために、Webサイトやページに画像やテキスト、メニューバー、ボタンなどを大量に掲載した結果、ページの読み込みに時間がかかり、離脱につながっているケースが見受けられます。
特にスペックの低いデバイスや環境で閲覧しているユーザーの場合、Webサイトが完全に表示されるまでの間に離脱してしまう可能性が高いです。以下の図のように、Webサイトの体験が適切ではなく、消費者の期待に応えないWebサイトは、6割超の消費者が商品やサービスの購入、情報収集を中断したといった調査結果も出ています。
(出典:Markezine)
商品・サービスの販売機会を逸してしまうほど情報量の多いコンテンツ掲載は避け、シンプルでストレスなく閲覧できるWebサイトデザインを構築しましょう。
理由②商品・サービスの価値について十分に理解されない
先述のように「シンプルでストレスなく閲覧できるWebサイト」が理想とは言え、Webサイト上で、商材に関する十分な情報をユーザーに提供できていない場合も、コンバージョンには至りません。
Webサイトやページ上で商品やサービスの購入、契約を行う場合、ユーザーは実物を見たり手に取ったりができないので、商材に対して少しでも疑問や不安があれば、当然コンバージョンにはつながらないのです。
Webサイト上で商品やサービス価値を消費者に伝えるためのひとつの手段として有効なのが、「マルチメディア要素」を含めること。テキストだけでなく、商品やサービスの画像や動画を追加しましょう。
商品やサービスがイメージしやすい紹介動画、実際に利用した人の口コミ動画など、商品価値や情報を伝えるためのコンテンツを追加することで、ユーザーの行動を後押しします。
理由③スマホでの閲覧に適していない
Webサイトは、デバイス環境によってデザインやユーザビリティが異なります。仮にWebサイトがパソコン限定での閲覧環境の場合、スマートフォンなどのモバイルデバイスから閲覧すると「画面がすべて表示されない」「メニューやボタンがタップできない」などの問題が発生する可能性も否めません。モバイルデバイスユーザーは、Webサイトにたどり着いたものの、閲覧することなく離脱する場合がほとんどです。
Job総研の「2022年 スマホ使用の実態調査」によると、調査者全体の携帯電話所有率は99.1%、その内スマートフォンの割合は100%でした。さらにスマートフォンのおもな利用目的は「プライベート関連」が87.7%である一方、「仕事関連」も10.8%を占めています。
(出典:Job総研)
ほとんどの消費者がスマートフォンを所持している現代では、自宅や外出時、また仕事関連の情報収集においてもスマホが活用されています。1日の平均利用時間は約5時間と長時間、スマホを利用していることがわかっています。
「外出時にもWebサイトをスマートフォンで調べ、気に入ったものがあれば商品やサービスを購入する」というシーンも当たり前にあるでしょう。パソコンのほかスマホにも対応したWebサイトを表示できれば、コンバージョンの機会損失も防げます。
Webサイトからコンバージョンを増やす鍵は「動画活用」
コンバージョンに必須となるユーザーの理解を深めるためには、商材商品の特徴や魅力やの理解促進が不可欠。とはいえ、Webサイトに負荷をかけるほどの多くの情報は、読みづらさを感じさせたり、ページが重くなるといった理由で、逆にコンバージョンを妨げてしまう可能性があります。
コンバージョンを妨げる要因を解決し、Webサイトからのコンバージョンにつなげられる有効な手法が「動画活用」です。動画活用によって多くの問題が解決でき、コンバージョンの達成につなげられるでしょう。
動画活用の効果①画像やテキスト豊富なサイトと比較して負荷がかからない
動画は短時間で多くの情報を伝達するのに適した表現方法です。アメリカの調査会社であるForrester Research, IncのDr.James McQuivey氏は、以下のように研究結果を発表しています。
「1.8 MILLION WORDS:That’s the value of one minute of video, according to Dr. James McQuivey of Forrester Research.(1分間の動画は、180万語の情報量に相当する価値がある)」
ECサイトの場合、商品を説明する画像やテキスト量が多く、商品購入ボタンをクリックしても次ページが読み込まれるのに時間がかかる……という事態が生じると、その時点で消費者はページを離脱する可能性が高まり、売上損失につながります。
これらの長いテキストや多くの画像は、1分間程度の動画に組み込みます。商材の魅力などユーザーに伝えたい情報を集約した動画を活用すれば、Webサイトに負荷をかけることなく、コンバージョンにつながる多くの情報を提供できるでしょう。
動画活用の効果②商品・サービスの理解を促進する
動画は「音声」と「動画」により情報を伝達するツールです。音声と動画による「視聴覚情報」は、文字と静止画よりも学習定着量が2倍になる結果が出ています。
アメリカ国立訓練研究所が提唱する学習方法と平均学習定着率の関係を表した「ラーニングピラミッド」では、参考書や図書を読む「読書」の学習定着率は10%に対して、学習内容に関連した映像や音声などを視聴する「ビデオ・音声による学習」の学習定着率は倍の20%であるとしています。
(出典:SANSEIDO)
実際に手にとらないと伝えづらい消費財や、複雑な機能を持ったツール、これまでにない新しいモデルのサービスなど、画像やテキストだけでは理解しにくい商材もあります。そのような商品に対して、動画の活用は有効的です。
実際の事例として、車販売業界で車のサブスクリプションサービスを展開するにあたって「商品のわかりやすさ」をテーマにした商品説明動画を制作し、Webサイトで活用している事例があります。
車は高額商品であるために、実際に手に取らないと伝えづらい商材の一つです。本来であれば、対面商談を通して売買が行われるのが主流ですが、本サービスでは、オンライン上で全ての手続きが完了する仕組みを構築するため、情報をオンラインのみでわかりやすく訴求する手法として動画が活用されました。
Webサイトでのテキストや画像よりも、動画で映像と音声で商材の情報をわかりやすく伝えることで、より理解が深まり記憶や印象への定着も期待でき、コンバージョン率の向上にもつながりやすくなるでしょう。
動画活用の効果③スマホ画面でもコンパクトに情報を伝えられる
動画はデバイスを問わず、コンパクトに情報を提供できる表現方法です。
「商品情報を詳細に伝えたいがために、あれこれテキストやイメージ画像など情報量多く掲載したことで、長さが縦に長いサイトにできあがってしまった……」といった問題を抱えているマーケターもいるかもしれません。
縦に長いサイトは幾度かスクロールしなければ全てのサイトを閲覧できないため、ユーザーの手間がかかり、離脱を促してしまう可能性が高まります。このような場合に、コンパクトに情報を伝える手段として「動画」を活用してみましょう。スクロールする手間をかけることなく情報を伝えられ、コンバージョン効果にも期待ができます。
但し、動画の場合も離脱されないとは限りません。動画は冒頭20秒間の内容に、ユーザーが興味を持てないと感じた場合、そのまま離脱される可能性があると言われています。そのため、Webサイトに動画を活用する場合には、ユーザーが離脱しない工夫を施すことが重要です。動画活用のポイントについては、以下の記事も参考にしてみてください。
活用事例:動画付きランディングページ(LP)の効果を高める5つのポイント!CV120%上昇事例もご紹介
まとめ
Webサイトにおけるコンバージョンの種類やコンバージョン率の概要とともに、コンバージョンを増やすための方法を解説しました。Webサイトでのコンバージョンはマーケティングの成果を左右する重要な要素です。コンバージョン率を底上げするための施策の一つとして「動画」の活用は有効的です。画像やテキストでは伝えづらい内容や、情報量が多くなりすぎる課題がある場合には、情報をコンパクトにわかりやすく伝えられる動画を取り入れてみましょう。
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841