Web接客のシナリオ設定・設計でできることとは?代表的な事例や作成方法を紹介

Web接客のシナリオ設定・設計でできることとは?代表的な事例や作成方法を紹介

Web接客のシナリオとは、Webサイト上におけるユーザーとのコミュニケーションの事前設計です。アドビの調査によれば、消費者の93%が「オンラインで買い物をする」と回答。また67%が「パーソナライズされたプロモーションやオファーを実店舗やオンラインで受けたい」と回答しており、Webサイト上での顧客ひとり一人に適したコミュニケーションの重要性が増しているとわかります。

商品・サービスの種類が多かったり、顧客一人ひとりに合わせた説明・提案が必要な商材だったりする場合には、Webサイトからのコンバージョン率向上の打ち手として「Web接客」が有効に働く可能性があります。サイト上の顧客行動や属性に基づいた「シナリオ」を設定をすれば、顧客ごとに最適な対応が可能になり、コンバージョン率や離脱率の改善を見込めるためです。

当記事では、コンバージョン率の頭打ちに悩んでいるマーケティング担当者に向けて、Web接客のシナリオで行えることや成功事例、シナリオ作成のポイントをご紹介します。

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Web接客のシナリオとは?

Web接客とは、Webサイトに来訪したユーザーに実店舗と同じように行う接客です。実店舗の場合、来店した顧客の様子を観察し、必要に応じてスタッフが顧客に声がけをします。しかし、Webでは実店舗のようにきめ細かな接客はできません。そこで必要となるのが「シナリオ」です。

Web接客のシナリオとは、「だれに・なにを・いつ・どのように伝えるか」といった、Web上でのユーザーとのコミュニケーションの事前設計を指します。

Web接客の代表的な機能は、ポップアップとチャットボットの2つで、それぞれシナリオ設定が必要になります。

ポップアップでは、「ユーザーがページの半分をスクロールしたら」や「有料会員がログインしたら」のようにユーザー属性や行動をトリガーとして、能動的に働きかけるシナリオを作成します。下記の事例では、ページ中部まで進んだ顧客へポップアップが表示されるように、シナリオが設計されています。

関連記事:Web接客のポップアップとは?CVR改善・離脱防止の効果やポイントを事例を交えてわかりやすく解説

smbc信託銀行のポップアップ表示
出典:SMBC信託銀行プレスティア

一方、チャットボットは、顧客からの問いに適切な情報を提供するためのシナリオが必要です。チャットボットを最初に開いた時に表示される「こんにちは。〇〇のサポートチャットボットです。」といった最初の挨拶メッセージから、質問と回答に辿り着くまでの道筋を設計します。チャットボットにシナリオが必要な理由は「ユーザーの課題を最短で解決するため」であり、ユーザーパターンを整理し、自己解決できるようにシナリオを設計します。

シナリオ設計のイメージ
このように、ポップアップでもチャットボットでも、Web接客のシナリオを設定することで、Webサイトを訪問したユーザーひとり一人に適切した案内が可能となり、最適な顧客体験を実現できるのです。

なお、当記事ではポップアップに注目し、Webサイトのコンバージョン率や離脱率に悩むマーケティング担当者へ、改善のためのヒントを提供いたします。チャットボットについて詳しく知りたい方は、下記記事をご参考にしてください。

関連記事:チャットボットをWebサイトに設置するメリットは?効果を出すポイントとおすすめツール3選を紹介

Web接客シナリオが効果を発揮する場面

Web接客シナリオが効果を発揮する場面は、以下の通りです。

  • Webサイトのコンバージョン率を改善
  • リピートユーザーへ向けたコンバージョン促進
  • ユーザーの離脱防止

それぞれの詳細について見ていきましょう。

Webサイトのコンバージョン率を改善

銀行やアパレルなどの実店舗では、店員と顧客がコミュニケーションをとり、顧客の購買意欲や関心が高まった段階で最適な商品の提案をすることで、購入へとつながります。そして、それはWebサイトでも同様であり、サイト訪問者の購買意欲や興味関心が高まった段階で、最適なメッセージを配信すると顧客はコンバージョンしやすい状態になります。

OptiMonkの調査結果
出典:18 Popup Statistics You Must Know in 2023│OptiMonk

Webサイトのパーソナライズ体験支援ツールを提供するOptiMonkが2021年に行った調査によれば、ポップアップの平均コンバージョン率は11.9%、最もパフォーマンスの高い上位10%のポップアップの平均コンバージョン率は42.35%でした。

また、Googleが提唱するマイクロモーメントが示すように、消費者は「何かをしたい」と思ったとき、すぐにスマートフォンなどのデバイスで検索・購入する傾向にあります。消費者のニーズを捉え、ポップアップなどのWeb接客で適切なメッセージを伝えれば、利便性の高いユーザーエクスペリエンスの提供が可能となり、コンバージョンにつながりやすくなります。

宝石広場のポップアップ
出典:宝石広場

たとえば、高級時計やジュエリーの買取・販売サービスを展開する宝石広場は、シリーズや商品数が多いロレックスを探しているユーザーに対して、ポップアップを活用して新作モデルや値下げ商品などの案内をしています。ユーザーの購買意欲を維持しながら、円滑に目的の商品に辿り着けるのです。

コンバージョン率に悩む場合は、商品ページや料金ページに訪問したユーザーに無料トライアルや割引オファーなどのポップアップを配信するなど、顧客の購買意欲が高まった段階でポップアップを配信するWeb接客のシナリオを作成してみましょう。

既存顧客へ向けたコンバージョン促進

SaaS型ビジネスの普及や国内市場の縮小により、既存顧客の維持とアップセル・クロスセルを通じた売上げ拡大の重要性が増しています。それでは、どのようにすれば既存顧客のコンバージョンを促進できるのでしょうか?

有効な施策として、「顧客体験のパーソナライズ化」と「顧客の意思決定を簡単にすること」があげられます。マッキンゼーの調査では、消費者の78%は「パーソナライズ化されたコンテンツにより、再購入の可能性が高まった」と回答。

78_の消費者がパーソナライズ体験で製品再購入の可能性が高まったと回答
出典:The value of getting personalization right—or wrong—is multiplying│McKinsey & Company

また、アメリカの大手コンサル会社ベイン・アンド・カンパニー社の名誉ディレクター、フレデリック氏の調査によると、顧客に提示する商品数を少なくすることで、5〜40%の収益向上、10〜35%のコスト削減を見込めるとのことです。

これらの調査を踏まえると、Webサイトに訪問したリピートユーザーにパーソナライズドした特別オファーや限定商品のプロモーションなどを配信するシナリオを用意すれば、リピートユーザーのコンバージョンを促進できると考えられます。

ユーザーの離脱防止

Web接客シナリオは、ユーザーの離脱防止にも効果を発揮します。

WACULは、ECサイトの自然検索からの入口となる「トップページ」「商品一覧ページ」「商品詳細ページ」の3つのページにおけるユーザー行動を分析しました。トップページや商品一覧ページから流入したユーザーは、3〜5分かけてさまざまな商品をチェックしていると判明。コンバージョン率は0.7%と低いですが、その理由として、比較検討段階のユーザーが多い点が挙げられます。

waculによるecサイト内のユーザー行動データ
出典:Webサイトは流し読みされる。B2Bサービスサイト・ECにおけるユーザー行動調査│WACUL

一方、商品詳細ページから流入したユーザーの半分は直帰しています。その理由は、商品詳細ページから流入した場合、掲載商品を購入するかどうかの判断時点でユーザーの目的は達成されるためです。つまり、求めているアイテムならば購入、そうでないならば離脱します。

しかし、商品詳細ページに関連商品や類似商品も掲載することで、ユーザーが他の商品を見てくれる可能性が高まります。商品を購入したユーザーのうち、最初に見た商品をそのまま購入した割合は2割のみであることを踏まえると、商品ページの訪問ユーザーには関連商品や類似商品、クーポンを提案するシナリオを作成することで、コンバージョン率と離脱率の改善ができると考えられます。

Web接客シナリオでコンバージョン率や離脱率を改善している事例

ここからは、Web接客シナリオでコンバージョン率や離脱率の改善に成功した企業事例を3つご紹介します。

顧客ステージに合わせたシナリオ設計|Bizmates

Bizmatesはビジネス特化型のオンライン英会話サービスを提供しています。

同社は、新規会員の獲得とLTV(顧客生涯価値)の最大化を実現するため、Web接客シナリオを導入。具体的には、下記の通り顧客ステージに合わせてパーソナライズ体験を提供しました。Web接客を導入した結果、有料会員向けレッスンチケットの申込率はパソコンで127.9%、スマートフォンで112.2%と大きく改善しています。

顧客ステージ Web接客のシナリオ
SEOで集客した新規ユーザー ポップアップで無料会員登録ページへ誘導
無料会員 初心者向けサポートプログラムのポップアップを表示し、有料会員登録へ誘導
有料会員 アンケート式ポップアップの表示で、顧客課題の把握と解決策としてVideo Lessonまたはレッスンチケットの申し込みに誘導
ロイヤル顧客 ポップアップで料金が割引になるロイヤル特典制度を表示

ビズメイツブログのスクリーンショット
出典:ビズメイツブログ

SEO対策で集客した新規ユーザーの中には、ビジネス英会話に苦手意識を持つユーザーもいるため、「まずは日常会話から始めるべきではないでしょうか?」というポップアップを表示して、初心者向けページへ誘導。また無料会員登録後に体験レッスンに参加したユーザーには、初月の料金が半額になるキャンペーンをカウントダウン形式で配信するシナリオ作成により、有料会員登録者の増加も達成しています。

この事例からは、サイト訪問者全員に共通の情報を提示するのではなく、顧客毎のステージに合わせた最適な情報を提供することで、その後のコンバージョンをスムーズに得られる効果があると読み取れます。

ユーザー属性に応じたシナリオ設定|ウェディングパーク

ウェディングパークは、結婚式場を探しているカップルと結婚式場のマッチングを創出する情報サイトです。

同社はメディア上で紹介している結婚式場の公式サイトへユーザーを遷移させる送客数をKPIにしていますが、「サイトページごとのコンバージョン率の最適化の頭打ち」や「全ユーザーに一律の情報を提供していたため、ユーザー行動やインサイトに合ったコミュニケーションをとれていない」という課題を抱えていました。

ウェディングパークのゴール
出典:ウェディングパーク

そこでWeb接客ツールを導入し、ユーザーを「初回来訪者」と「再来訪者」に分類して、ユーザー属性ごとに最適なメッセージを送信。結果、各結婚式場の公式サイトへの訪問率は初回来訪者で140%、リピート来訪者で130%となり、コンバージョン率改善に成功しました。

ウェディングパーク東京のポップアップ
出典:対話型コミュニケーションを進化させ、CVRが「初回来訪者」140%、「リピート来訪者」130%に改善!│Repro

さらに、コンバージョンしなかった再来訪ユーザーには、スクロールに応じて自然なタイミングでコンバージョンを促すポップアップを表示したことで、コンバージョン率が110%も改善したのです。同社はコンバージョン改善につながった要因として、社員同士で何時間も議論し、ターゲットユーザーの理解を深めたことだと述べます。

この事例からは、各セグメントにおけるユーザーの課題やニーズを正確に見極めた上で、ユーザーごとに適したメッセージを反映させれば、コンバージョン率の改善につながると読み取れます。

勝ちパターンへと誘導するWeb接客シナリオ設定|JTB

大手旅行会社のJTBは、Webサイト上で旅行商品の比較ができる「比較リスト」を設置しています。分析の結果、比較リストを利用している顧客はそうでない顧客と比べて、コンバージョン率が8倍になっていると判明。しかし、勝ちパターンである「比較リスト」自体の認知度が低いことが課題でした。

jtbのWeb接客
出典:旅行商品の「比較リスト」ページへの誘導をし、比較リスト使用率+50%増加、その結果予約数増も実現(JTB)|CX Clip

そこで比較リストの利用を促進するため、ポップアップやボタンの埋め込みをして、「比較リスト」の導線強化や理解を強化します。結果として、比較リストの利用者数は50%増加し、予約数の増加も達成しました。

この事例のように、コンバージョン率が高まる勝ちパターンが判明している場合、Web接客のシナリオで勝ちパターンへと誘導することで、効果的にコンバージョン率を高められます。

成果の出るシナリオを作成・運用するための5ステップ

ここまでご紹介した事例のように、Web接客ツールを活用して成果を生み出すには、正しいシナリオの設計と継続的な検証・改善が重要です。以下のステップで、「対象ユーザー」「コンテンツ表示のタイミング」「コンテンツの表示位置」「コンテンツ内容」「表示する手段方法」を整理し、有効なシナリオ作成をしましょう。

  • 1. Web接客導入による目標の明確化
  • 2. ユーザーペルソナの明確化
  • 3. サイト上のユーザー行動とインサイトを想定
  • 4. Web接客ツールにシナリオを設定
  • 5. 継続的なPDCAの実施

ここからは、各ステップの詳細を解説します。

Web接客導入による目標の明確化

まずはWeb接客導入で達成したい成果を数値として設定します。例えば、SEOやWeb広告の運用である程度はサイトへの集客ができている一方、コンバージョンにつながっていない場合、Web接客の導入でコンバージョン率130%の改善を目指すなどの目標があるでしょう。

また、Web接客は新規顧客の獲得から既存顧客の維持まで、幅広いファネルに有効なため、新規顧客獲得とリテンションなど複数のコンバージョン目標を設定することも可能です。

ユーザーペルソナの明確化

ウェディングパークの事例でも見てきた通り、Web接客でコンバージョン率を改善させるためには、ユーザーのニーズや課題を把握することが大切です。まずは、Web接客の対象となるユーザーペルソナを明確にしましょう。

ペルソナとは、自社商品サービスを利用する典型的なユーザー像のこと。ペルソナは「25歳男性」のような属性で定義するのではなく、「田中一郎、東京都に住む25歳男性。オンライン英会話サービス企業のマーケティング部に所属」のように、一人の人物をイメージできるまで具体性を高めなければいけません。
ユーザーペルソナの明確化

ペルソナを作成すれば、カスタマージャーニーにおける各段階のユーザー行動や離脱の原因、インサイト、タッチポイントを理解できます。ペルソナとカスタマージャーニーの作成により、自社サイト訪問からコンバージョンに至るまでの行動を明確にでき、最適な顧客体験を設計できるようになるのです。

関連記事:カスタマージャーニーに必須の「ペルソナ」の作り方とポイントを徹底解説!
関連記事:【初心者向け】カスタマージャーニーマップの作り方を7ステップでわかりやすく紹介!

サイト上のユーザー行動とインサイトを想定

表示するコンテンツの内容・位置・タイミングを決めるために、Googleアナリティクスやヒートマップツールなどのアクセス解析ツールを用いて、実際の訪問ユーザーがサイト上でどのような行動をしているのか分析しましょう。流入元やコンバージョンユーザーの閲覧率が高いページ、滞在時間などを分析することで、ユーザーインサイトや離脱の原因が見えてきます。

例えば、東京都のみでサービスを展開していながらも、東京都以外からのアクセスが多ければ、対象ユーザーに「東京都以外の方もご利用いただけます」というメッセージを配信すれば、コンバージョン率や離脱率の改善につながるでしょう。また、Web解析ツールでの分析のほか、ユーザーアンケートやヒアリング調査などの定性調査も合わせて実施し、ユーザーインサイトを正確に把握するようにしましょう。

関連記事:ユーザーインサイトとは?Webサイトの成果につながる分析方法や注意点を解説

Web接客ツールにシナリオを設定

ユーザーインサイトや課題、行動などを記載したカスタマージャーニーマップを基に、シナリオの作成をします。

リーガルコーポレーションのカスタマージャーニーマップ
出典:問い合わせ負担が9割減!リーガルコーポレーションのECが目指すのは「実店舗と遜色のない接客」|SPROCKET
上記画像は、靴のECサイトを運営するリーガルコーポレーションのカスタマージャーニーマップです。

「サイズがわかりにくいと悩む顧客には、サイズ選び方コンテンツをポップアップ配信する」といったように、カスタマージャーニーマップにまとめた離脱原因を解消するWeb接客のシナリオを作成すれば、コンバージョン率と離脱率の改善を見込めます。シナリオが完成したら、Web接客ツールに反映させ、ユーザーごとに対応しましょう。

継続的なPDCAの実施

Web接客ツールは導入して終わりではなく、継続的に分析と改善を繰り返す必要があります。また、カスタマージャーニー全体で顧客体験を向上させることが重要なため、蓄積したユーザーデータはサイトやマーケティング戦略全体に活用することが大切です。

シナリオが使えるWeb接客ツール3つ

シナリオ作成ができる主なWeb接客ツールは以下の3つです。

  • Sprocket
  • Repro
  • Karte

以下では、各ツールの特徴や料金をご紹介します(2022年12月時点の公式サイト情報を参照)。

Sprocket

Sprocketはコンバージョン率を向上させるWeb接客プラットフォームの提供と、その運用支援を行う企業です。ユーザーのページ閲覧や訪問回数、クリックなどのユーザーデータに基づいたシナリオを作成し、最適なタイミングでポップアップを表示します。

sprocketの利用イメージ
出典:外貨取引の申し込みが1.4倍に! SMBC信託銀行が実践したリアル店舗に学ぶWeb接客手法とは│Sprocket

Sprocketで可能なポップアップの種類は、画面の中央や右下など表示位置を指定する「カード型」と、特定のボタンやメニューから飛び出すように表示する「吹き出し型」の2種類。シナリオの成果やユーザー行動などを詳細に把握できるため、分析と改善を繰り返して、コンバージョン率の改善へとつなげられるでしょう。

Sprocket公式サイト https://www.sprocket.bz/
費用 要問合せ
無料トライアル デモアカウントの発行による管理画面の貸出

Repro

Reproは世界66か国、7300以上のサービスが導入するマーケティングツールです。ポップアップ型とチャット型のWeb接客ツールを提供しており、Webサイトの訪問ユーザーの属性と行動を基にしたパーソナライズ体験の提供を可能にします。

reproの使用イメージ
出典:Repro

また、ノーコードでキャンペーン告知やプッシュ通知、レコメンドなどの接客機能を追加できます。シナリオ機能はベータ版ですが、一定条件を満たしたユーザーにかご落ち対策やお気に入り商品のリマインド、クーポンの利用促進、プッシュ通知の許諾促進が可能。

Webとアプリを横断したWeb接客のシナリオ設計ができるため、アプリマーケティングの最適化にも有効です。ユーザーインターフェースは分かりやすく、初心者でも直観的に操作ができるようになっています。

Repro公式サイト https://repro.io/
費用 要問合せ
無料トライアル なし

KARTE

KARTEは顧客体験の最適化プラットフォーム。さまざまな業界で高い成果を出したWeb接客シナリオを300以上のデザインテンプレートでサイトに反映できるため、迅速にシナリオを使ったWeb接客を展開できます。

KARTEの活用イメージ
出典:KARTE

また、ユーザーの過去とリアルタイムデータを掛け合わせた解析やユーザーごとの時系列分析など詳細な分析も可能。分析機能と施策実施機能は1つになっているため、高速でPDCAを回し、コンバージョン率や離脱率の改善ができます。

KARTE公式サイト https://karte.io/
費用 要問合せ(サイトの月間ユーザー数に応じて月額料金は変動)
無料トライアル なし

Web接客ツールが不得意なことと補完手段

ポップアップやチャットボットといったWeb接客は、小さい画面の中で、文章と静止画のみで表現するのが基本です。そのため、多くの情報をWeb接客のみで提供することは不得意です。文章のみでは理解が難しい複雑な商材や、前後の流れや動きをイメージさせたほうが効果的な商材では、「動画」を使用して理解を促すなどが効果的でしょう。

ジョンブルのポップアップ動画
出典:インスタライブの動画を有効活用、且つ弱みをSprokcetで「接客」を補完|SPROCKET

「1分間の動画で伝えられる情報量は180万語に相当する」という研究があるほど、動画は情報伝達力に優れています。アパレルブランドのジョンブルは、インスタライブで配信した動画をECサイト内でポップアップ表示をするシナリオを設計。ポップアップの「動画で紹介した商品はこちら」のボタンを押すと、動画で紹介されていた商品が拡大表示され、商品ページに遷移する流れを作り、CVRが1.5倍という成果につながりました。このように顧客の興味関心に合った動画をポップアップで配信すれば、よりわかりやすく情報を伝えられ、理解促進ができるため、効果的に購買意欲を高められるでしょう。

また、Web接客は前後の文脈や暗黙の共通認識、文化的背景、知識、カルチャーなど言葉では表現しない「行間や背景を読み取る」ことを前提とした「ハイコンテクスト」なコミュニケーションは苦手です。

例えば、店舗では店頭のスタッフが雑談をしながら顧客の潜在ニーズを解き明かし、最適な商品を提案しますが、Web接客ツールでは事前に設定した内容の提案しかできません。さらに、複雑な質問や抽象的な内容、クレームなどの個別対応など「ユーザーに合わせた柔軟な対応」や「定型にない質問への回答」が必要なケースも、Web接客ツールで対応するのは難しいでしょう。

このようにユーザーニーズに応じた個別対応が必要な場合、人が対応する「有人チャット」「ビデオ接客」「コールセンター」などと掛け合わせる必要があります。

まずは自社の課題を明確にし、Web接客が自社に必要な施策かどうかを検討することから始めましょう。

まとめ

Web接客を効果的に活用すれば、Webサイトにおける顧客体験の最適化ができ、コンバージョン率や離脱率の改善ができます。しかし、誤ったシナリオで配信してしまうと、顧客が求めていない不要な情報や不快なタイミングで情報を発信することになるため、顧客体験の低下を招く恐れがあるのです。

だからこそ、解析ツールやユーザーヒアリングなどを実施し、顧客が必要としている情報やコンバージョンまでの摩擦をきちんと把握したうえで、Web接客のシナリオを作成しなければいけません。

また、自社商材への深い理解の促進や精度の高いコミュニケーションなどはWeb接客では困難なため、動画やスタッフによる対応など別の手法との併用が必要になります。自社の課題と顧客のニーズを明確にし、サイト上の最適な顧客体験を構築しましょう。

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執筆者
黒谷 純子

MIL株式会社 マーケティング

大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841

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