効率よくコンバージョンを獲得するためには、WebサイトやLPの最適化が重要です。広告運用やSEO施策によりサイトへの集客はできているものの、「離脱率が高い」「コンバージョン率が低い」「それらを解決する効果的な手法が分からない」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。
手法の一つとして近年特に注目されているのが「Web接客」です。実際にRepro株式会社で行った調査では、全体の半数以上の企業がWeb接客ツールを導入済みで、約7割の企業が、Web接客ツールの導入目的として「Web・アプリ内のコンバージョンレート改善」と回答しています。
Web接客は、オンライン上でもユーザーのニーズに合わせた双方向コミュニケーションを可能とするため、非対面のサイト上で最適な顧客体験が提供でき、コンバージョン率の改善にも寄与するでしょう。
この記事では、Web接客の概要やメリット・デメリット、代表的なWeb接客のシナリオやWeb接客ツールの事例を解説します。WebサイトやLPからのコンバージョンの最大化を検討しているマーケティング担当の方は、ぜひ役立ててください。
目次
Web接客とは?
まず、Web接客の定義や概要、種類と特徴について解説します。
定義と概要
Web接客とは「Webサイトに訪れたユーザーに対し、オンライン上で接客を行うこと」です。Webサイトを訪問したユーザーに困りごとがあった場合に、チャットボットで不明点を確認して適切な回答をする、ユーザーのページ閲覧履歴から判断して興味のありそうな情報をポップアップで表示するなど、ユーザーと企業と双方向でのコミュニケーションを行います。
実店舗を訪れたときにスタッフが行うのと同じような接客をオンライン上で提供することで、売上アップやコンバージョンの達成に貢献します。
Web接客に活用されるシステムを「Web接客ツール」と呼び、一般的には、「Webサイトに訪問したユーザーに声がけをして購買を後押しするシステム」と定義されています。
Web接客以外にも、ビデオ会議、チャットなど、オンライン接客の種類はいくつかあり、いずれも「インターネットやWeb、IT技術を駆使して行う、非接触の接客サービス」という点で共通しています。人を介する「有人型」と、人を介さない「無人型」という軸と、「映像が中心か、テキストが中心か」という軸で分類すると、Web接客は「無人型」かつ「テキスト中心」で接客を提供します。他のオンライン接客とは違った特徴であると分かるでしょう。
<オンライン接客の分類>
関連記事:オンライン接客とは?アパレルから不動産・金融まで事例11選、メリット、成功のコツを徹底解説
主な種類と特徴
Web接客ツールは、顧客へのアプローチ方法によって以下の3種類に分かれます。
・ポップアップ型
店頭での対面接客では「商品を見ている顧客に話しかける」といった、顧客のタイミングに合わせた提案が可能ですが、無人のWebサイトでは、そうはいきません。購入してもらえそうなタイミングで話しかけて、ベストな提案ができれば良いのに、と思ったことはありませんか?
ユーザーにとってベストなタイミングでWeb上でのアプローチを実現するのが、ポップアップ型の接客ツールです。
出典元:TETORI
ポップアップ型は、画面閲覧中にポップアップを表示する方法で、ユーザーのニーズやタイミングに合わせて情報を提示します。ユーザーの属性のほか、顧客の閲覧・購入履歴、滞在時間、IPアドレスを元にユーザーの必要とする情報を提供できるため、購入などのコンバージョン促進に期待できます。
Web接客のポップアップについて詳しくは、以下の記事で紹介しています。
関連記事:Web接客のポップアップとは?CVR改善・離脱防止の効果やポイントを事例を交えてわかりやすく解説
・チャット型
「サイトへの訪問回数が多いが、商品やサービスページのユーザー離脱率が高い」場合は、ユーザーが商品やサービスに対して理解度が深まっていない、または疑問を解決できていない可能性があります。
顧客の満足度を向上させるために最適なのが、チャット型のWeb接客ツールです。ユーザーが抱く質問や疑問に対しその場で解決できるので、顧客満足度を高め、必要な情報をスピーディーに提供することでコンバージョン率の向上にもつながります。
出典元:KARTE
チャット型は、テキスト形式でユーザーとのやりとりを行います。お問い合わせフォームと違い、メールアドレスなどのユーザー情報を提供してもらう必要もなく双方で素早く会話を進められ、ユーザーの離脱防止を実現できます。
・ハイブリッド型
ユーザーひとり一人への対応を最適化したいときは、ハイブリッド型が向いています。ハイブリッド型は、ポップアップ型、チャット型両方の機能を使用できるWeb接客ツールです。
ハイブリッド型なら、Web上でユーザーに応じた最適な対応と顧客体験を提供できるでしょう。
Web接客が注目されている理由
株式会社ITRが発表した「Web接客市場規模推移および予測」では、Web接客市場の2016年度の売上金額は17億円、前年度比142.9%と急増しています。さらに2021年度までは平均35%程度の高水準で成長し、最終的には約75億円規模の市場となる見込みです。
なぜWeb接客はこのように急成長を遂げたのでしょうか? 以下では、デジタルマーケティングの手法としてWeb接客が急速に認知、注目されるようになった背景と理由を解説します。
市場規模拡大による認知向上
近年、スマホユーザーの増加やEC市場の拡大、さらにコロナ禍による行動変容を受け、Web上での購買活動は一般化してきました。サイト上でコンバージョンを促進するために、店頭で販売スタッフが担う「声がけ」「商品説明」などの役割が必要となり、それらのニーズに応えるためWeb接客ツールの新規ベンダーが急増しています。
上記の理由からベンダー同士の競争が激化し、以下のグラフが表すようにWeb接客市場が拡大しました。ツールを導入した企業により効果も検証され、Webマーケティングの手法としてWeb接客が急速に認知・注目されるようになったと言えるでしょう。
導入の手軽さ
Webサイト訪問者のニーズに沿った顧客体験を提供するためには、ツールやシステムの導入が有効です。Web接客ツールを導入すれば、既存のWebサイトにチャットやポップアップなどの接客機能が付加されるため、Webサイト自体を改修する必要はありません。導入の負担が少なくスピーディーに実行できるため、成果が出るまでの期間も短い施策といえるでしょう。
ウェブ上でのコンバージョンに与える影響
「LPへの流入数は確保できているものの、離脱が多い」「商品ページは閲覧されているのに、かご落ちが多い」などと悩んでいませんか。コンバージョンに影響を与えるのが、マイクロモーメントというユーザー心理です。Googleによると、マイクロモーメントとは「人々が『何かをしたい』と思い、反射的に目の前にあるデバイスで調べたり、購入したりという行動を起こす瞬間」と定義されています。
Googleの調査では、マイクロモーメントによって何かを検索した後、42% の人が「関連する場所に行きたくなった」「関連する製品やサービスを購入したくなった」との結果が出ています。
出典:マイクロモーメント : 生活のさまざまなシーンで発生するマイクロモーメント
ユーザーのマイクロモーメントへ応える情報や対応をタイムリーに提供できれば、コンバージョンにつながる可能性が高いです。例えば、サイト内で赤ちゃんのミルク商品を検索をして閲覧中のユーザーに対し、赤ちゃんグッズとして関連するオムツなどのクーポンを表示し、”ついで買い”として複数購入される、といったケースです。リアルタイムに提案や情報提供することでユーザーの疑問を解決できるWeb接客は、マイクロモーメントに応えられる有効な手法として、多くの企業に導入されています。
Web接客のメリット
Web接客を導入しても、コンバージョン向上や離脱防止といった成果を確実に出せるか分からず、導入に踏み出せない方も多いでしょう。また顧客側にデメリットが生じるのではないかと、導入をためらっている方もいるかもしれません。Web接客は企業側にも、顧客側にも多くのメリットをもたらします。
企業側のメリット
Web接客により、企業側は以下4つのメリットが得られます。
・CVR(コンバージョン率)の向上
「商品購入ページを閲覧している最中にページを離脱されてしまう……」または「カートに入れたままで購入には至らない……」など、CVR低下に対する課題を持つ企業もあるかもしれません。そのような場合、Web接客を活用することでCVRの改善が期待できます。
株式会社ストライプインターナショナルは、自社ブランド「STRIPE CLUB」のECサイトにて、Web接客ツール「KARTE」を導入。購入意欲をより高めるために、ブランドごとのタイムセール情報提供をユーザーごとに適正化し表示する施策を行いました。その結果、CVRを200%アップさせることに成功しています。
出典元:頻発するセール表記をブランド横断のセール導線に集約し、CVRが200%upの効果実現
この事例のように、Web接客は顧客ニーズに合った提案をリアルタイムで提供し、ユーザーの購買意欲を促進することで、CVRの向上が期待できます。
・サポート業務の効率化・コスト削減
Web上でも顧客からの質問にリアルタイムに答えることができれば、顧客の満足度が上がりコンバージョンにつながりやすくなります。ところが、リアルタイムに対応できる人員が社内にない、カスタマーのサポート業務で業務時間を圧迫する、といった課題が発生してしまう可能性もあるでしょう。
Web接客ツールを活用すれば、カスタマーサポート業務の効率化にもつながります。アルプスアルパイン株式会社は、法務部門でのデジタル化の推進を目的に「RICOH Chatbot Service」を導入し、問い合わせへの対応を定型化するなど工夫を施すことで、複雑化しやすい契約書関連の業務の効率化に成功しています。
出典元:契約手続時の負荷を軽減!「RICOH Chatbot Service」が法務業務を効率化するリーガルDXに貢献
その他の事例として、ヘアモデルバンクでは、従業員の顧客対応工数の削減と同じ内容の問い合わせに対応するリソースの削減のために、チャットツール「GENIEE CHAT(旧CHAMO)」を導入。電話やメールでの問い合わせ件数を6〜7割減らすとともに、問い合わせへの対応スピードと質を向上させ、結果的に美容室とサロンモデルの登録数増加も実現しました。
出典元:「会員登録数アップと問い合わせ対応の工数7割削減を同時に実現」
・ユーザー行動データの蓄積による、ニーズの把握
EC市場の拡大で影響を受けたオンラインでの購買行動の増加にともない、顧客の求めるニーズは多様化しています。顧客ニーズを満たすためのコンテンツ施策の実行や、Webサイト改修などは重要です。しかし、施策実行以前に、そもそも顧客のニーズがつかみきれないといった課題が発生していませんか。
ユーザーニーズを把握するには、ユーザーの行動や流入経路などのデータを蓄積した上で分析する必要がありますが、そもそもツールやシステムなどが揃っていなければデータも揃わず、分析そのものができない可能性があります。
Web接客ツールでは、ユーザーへの対応を行うだけでなく、蓄積したユーザー行動のデータの分析も可能です。
とある宿泊施設では、Web接客ツール「TETORI」にて宿泊施設のページ閲覧履歴からユーザーの行動データを蓄積・分析。新着情報ページを閲覧したことのないユーザーのみに、新施設がオープンした情報をサイト閲覧時に表示することで、通常時と比較して497%のCVRの効果を出しました。
行動データを分析し、データとして真実を知ることで、適切なアプローチを打つための戦略設計に役立ち、競合他社とのWeb施策での差別化にもつながるかもしれません。
・満足度の向上
Webサイトから獲得した新規顧客を、リピーターとして定着させるためのマーケティング施策の実行も、利益拡大のための重要な要素です。せっかくコンバージョンを獲得しても、一度の購入で顧客が離れてしまうと、安定的な利益を得られません。
顧客の定着に寄与するのが、顧客満足度です。Web接客ツールは、リピーターの問い合わせやアフターフォローにも対応しています。
シャツ専門店の「メーカーズシャツ鎌倉」は、コロナ禍の影響で来店できない人が増えたことから、オンライン上でも店頭と変わらないレベルの接客を実現したいと考え、Web接客ツールを導入しチャットコンシェルジュの仕組みを取り入れました。
営業時間内は有人で対応し、営業時間外はチャットボットが自動対応、全顧客からの質問にできるだけ対応できる仕組みにしました。その結果、オンラインショップの売上比率は、23.6%からコロナ禍以降は42.9%まで増えています。利用者からは「店頭と同じ接客で感動した」といった声が上がっていることからも、満足度につながっていることが伺えます。
参照元:オンラインで店頭レベルの接客を実現したことによるCVR向上の事例
出典元:「会員登録数アップと問い合わせ対応の工数7割削減を同時に実現」
顧客側のメリット
Web接客は、顧客側にも多くのメリットが得られます。
・サイト閲覧時の利便性が高まる
サイト閲覧時、ユーザーがサイトに対する不便を感じると離脱する可能性が高まります。
たとえば
「セールに既存のポイントが使えるか知りたい」→記載が見つからない
など、分かりづらさに対する解決策が見当たらないと、商品を検索する行動や他のページを閲覧するといった次の行動には移りづらく、ユーザーは離脱する可能性が高まります。実際に、訪問したWebサイトに問題を感じると、6割以上のユーザーが離脱し、情報収集や買い物を中断してしまうといった調査結果が出ています。
Web接客では、チャット型で問い合わせへの迅速な回答、ポップアップ型でユーザーニーズに合う情報表示が可能です。双方向コミュニケーションを通して、ユーザーのニーズに合った対応や情報をスピーディに提供することで、サイト上での最適な顧客体験の提供が可能となります。
・問い合わせへのハードルが下がる
問い合わせフォームに到達するも、実際に情報入力するまでに至らず、コンバージョンにつながらないといった課題がある場合、情報入力が面倒などといった理由でユーザーから見て問い合わせ入力へのハードルが高いと感じている可能性があります。
チャット型のWeb接客ツールは、フォームを利用せずとも会話形式で気軽に問い合わせができることがメリットです。個人情報を提供せず気軽に問い合わせができるため、ユーザーが問い合わせを利用するハードルを下げられます。
Web接客のデメリット
Web接客には、メリットが多くある一方でデメリットもあります。導入後の失敗を防ぐために、知っておくべきWeb接客のデメリットを解説します。
企業側のデメリット
Web接客の企業側のデメリットを解説します。
・ツール選定に時間がかかる、ツール費用や運用リソースが必要
Web接客ツールを利用すれば、社内にデジタルに詳しい人材がいなくても簡単に導入できるといったメリットがあります。その一方で、Web接客ツールの種類は豊富で、それぞれ特徴や費用が異なるため、ツール選定に時間がかかる、という点にデメリットを感じる企業もあるかもしれません。
Web接客ツール選定時は「自社の目的」「費用対効果」を考えてふさわしいツールを選ぶことが重要。自社の課題の洗い出しや目標設定、費用や機能をふまえたWeb接客ツールのリサーチが必要です。Web接客ツールの選定のみで、多くの時間や作業が発生してしまうデメリットがあります。
さらに、Web接客もほかのWebマーケティングの手法と同じく、導入だけでなく継続的な分析と改善を行うことで成果を上げていくものですので、ツール導入後の戦略に沿った正しいシナリオ設計やデータの検証、改善などの運用リソースが発生します。Web接客運用のために自社社員への教育も必要です。ツール導入に伴い新たにリソースを確保する必要がある点をデメリットに感じる企業もあるかもしれません。
・Web接客のみの完結が難しいケースは、人間による対応も不可欠
チャットボット型のWeb接客ツールでは、IT技術を駆使したごく自然な会話で応対をします。ところが、人間特有の前後の文脈や暗黙の共通認識、文化的背景、知識、カルチャーなど、言葉には表現していない「行間や背景を読み取る」ことを前提とした「ハイコンテクスト」なコミュニケーションは苦手です。前後の文脈や事前の情報は不要で言葉のみで表現できる「ローコンテクスト」なコミュニケーションでないと、対応できないことがあります。
さらに、定型文への回答は得意であるものの、提携にない質問や複雑な質問、抽象的な内容には回答できない、クレームなどの個別対応をはじめとした、ユーザーに合わせた対応ができず柔軟性に欠けるのもWeb接客の欠点です。
Web接客ツールのみで対応するのではなく、対応シーンやユーザーニーズに合わせた顧客体験を提供するためには有人のツールやシステムとの併用も検討しましょう。たとえば人が対応する「オンライン接客(ビデオ会議)」や「コールセンター」などが選択肢となります。
顧客側のデメリット
適切な顧客体験を提供するために導入したWeb接客が、逆に顧客側へ不快感を与えてしまうことは避けなければなりません。顧客側でのデメリットもふまえておきましょう。
・タイミングや設置場所によっては、ポップアップなどが不快に思われることがある
ポップアップ型のWeb接客では、ユーザーへ有益な情報の案内や提案が際立って見えるようにポップアップを表示しますが、その表示自体がユーザーに不快感を与えてしまうことがあります。
マイボイスコム株式会社調査の「【 インターネット広告 】に関するアンケート調査(第3回)」によると、別画面やポップアップで自動的に表示される広告に対して不快感を感じる人は、全体の20%という結果でした。この結果からもポップアップ型は、ユーザーに不快感を与えないように適切なタイミングや設置方法の検討が大事であることがわかります。
では、逆にどのような内容のポップアップ表示であれば不快感を感じないのでしょうか? 株式会社Sprocketの「Webサイトのポップアップ表示に関する調査」では、以下の3つが許容されるポップアップとの回答が得られました。
出典元:【調査レポート】嫌われるポップアップの3要素とは? ユーザーの「役に立つ」ポップアップのあり方を考える
顧客の行動を妨げない、有益な情報提供が鍵であると言えるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
・顧客のWebリテラシーに左右される
Web接客はWeb上で提供する顧客へのアプローチ方法です。ターゲットとする顧客がWebリテラシーの低い層の場合、Web以外の購入方法を選ぶ、またチャットボットではなく電話による問い合わせを希望することが多いため、Web接客によるリーチは期待できません。
Web接客はWeb上での購入体験やチャットツールでのやりとりに慣れている層には向いているものの、高齢者などのWebでのやりとりになれていない層には向かない可能性があります。ターゲットの年齢層が高い場合には、電話での問い合わせ口を設けるなどほかの手法と併用すると効果的でしょう。
ポップアップを含むWeb接客の代表的なシナリオ
「いつ、だれが、どのように」アプローチするか? ユーザーのWebサイト利用の流れに沿って定める筋書きが「ユーザーシナリオ」です。Web接客で実施される代表的なシナリオを理解し、自社のWeb接客でのシナリオ設定に役立てましょう。
購入を躊躇している顧客へ個別にアプローチするポップアップシナリオ
資生堂グループ傘下の通販サイトwatashi+ by shiseido 台湾では、接客ツール「AiDeal」を導入。購入を躊躇している顧客へタイムリーかつ限定的なプロモーションクーポンを配布し、個別にアプローチするシナリオを実施しました。
実際に、30分以内に一定額以上の商品を購入すると、フェイスマスクが無料になるクーポンがポップアップで配布されるといった、個別アプローチでのシナリオが発動します。
シナリオ実施後、コンバージョン率47%、カートイン率28%、決済完了率15%をも向上させる結果が出ました。また、購入を躊躇している顧客の支払いスピードを高めることにも成功しています。15分以内の注文は13%、15〜30分以内の注文は36%増加し、指定金額に達した注文は61%増加する結果となりました。
出典元:成功事例watashi+ by shiseido taiwanコンバージョン率を47%アップ
お客様の不安を払拭する声掛けのポップアップシナリオ
株式会社荒畑園は、ECサイトの購買層が60代中心でwebに強くない層でもあることから、顧客の不安を払拭できるフォローをしたいと考え、Web接客ツール「Sprocket」を公式サイトに導入しました。商品詳細ページで一定時間滞在している人に、お客様の不安や疑問点を迅速に解決できるよう「ご不明な点はございますか?」と問いかけたり、購入しようか迷っているお客様が気になりそうな、送料や支払い方法について案内するシナリオを実施。不安を払拭させる声掛けのシナリオは、シナリオ実施前よりも購入完了率が19.1%上昇する、という結果が出ています。
出典元:お客様の不安を払しょくする声掛けシナリオで、購入完了率19%アップ
シナリオのポイントについて詳しくは、以下の記事でご紹介しています。合わせてお読みください。
関連記事:Web接客のシナリオ設定・設計でできることとは?代表的な事例や作成方法を紹介
Web接客の代表的な事例と利用ツールの紹介
Web接客ツール選びに迷っている場合は、Web接客ツールの活用成功事例を参考にしてみましょう。ここでは代表的なWeb接客ツール活用による成功事例をご紹介します。
ECサイトのCVRを向上|Repro
株式会社ウィゴーは「ECの売上アップのために具体的な施策を出せない」といった課題に対するソリューションとして「各チャネルのユーザー情報をOneIDで一元化し、1to1マーケティングの実現を行う最適な施策を打ちたい」と考え、Web接客ツール「Repro」を導入しました。
各ページの分析を行ったところ、各店舗のスタッフたちのコーディネートを紹介する『STAFF STYLE』がもっともCVが高いと判明したことから、STAFF STYLEへの導線強化を施策として実行しました。アパレルのお客様は洋服のサイズをよく気にする傾向にあるため、スタッフの着こなしがわかる「STAFF STYLE」へ誘導することで売上が伸びるといった分析です。スタッフのおすすめコーディネートへ誘導するポップアップを加えた結果、導入前と比較し、CVR180%、ROI863%という高い効果を実現しています。
出典元:実行した施策は200以上!細分化と分析が勝ちパターンにつながった。Reproを使ったECの改善でCVR180%、ROI863%を実現
LPOを実施しCVRを改善|BOTCHAN
機能性表示食品や医薬部外品などを取り扱う株式会社フロムココロでは、景品表示法改正によって使用できる表現や文言の制限があり、CVR改善のためのLPO(ランディングページ最適化)ができないという課題を抱えていました。
単品リピート通販向けの決済チャットフォーム「BOTCHAN」を導入し、チャットボットの履歴データからユーザーの離脱の多い設問を分析して、順番を変更するなどの改善を実施。結果として、CVR150%向上を実現しました。
出典元:馬の次はチャットボット。自社EC商品のCVRを150%成長まで育てた、連日の遠距離電話
外部Web接客ツールを活用しスピーディーな課題対策を実現||Sprocket
化粧品製造販売を行う株式会社エキップは、実店舗でのカウンセリングをベースにした対応をWeb上でも実現したいと考えていましたが、社内リソースの問題によりシステム改修に踏み出せないという課題を抱えていました。
その課題に対して、自社内で改修を進めるのではなく、外部のWeb接客ツール「Sprocket」を導入。その結果、スピーディーな対策が行えるようになりました。
またカート内に投入した合計金額を計算し、送料無料までの不足金額とそれを補う商品レコメンドをポップアップで表示することで、購入数が約1.3倍に増加するという高い効果も実現しています。
出典元:カート内でのWeb接客で売上件数1.3倍! 送料無料までの不足金額表示とそれに応じた商品レコメンドをポップアップで後押し
まとめ
ユーザーひとり一人のニーズに寄り添えるWeb接客は、離脱防止やCVR向上のほか、サポート業務の効率化や顧客満足度の向上にも有効です。ツールを使用することで、導入しやすいメリットもあります。一方、ハイコンテクストなコミュニケーションが苦手、Webリテラシーの低い層のアプローチには不向きなどのデメリットに注意しなければいけません。ほかの施策との併用もふまえながら、自社の顧客にとって最適なWeb接客を実現しましょう。
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841