総務省の調査によれば、10代から60代のインターネット平均利用時間(平日)は168.4分。業種や規模を問わず多くの企業にとって、Webサイトは売上げや問い合わせなどのコンバージョンに大きな影響を与える重要チャネルとなっています。しかし「Webサイトからのコンバージョン数が少ない……」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
Webサイトを事業成長へつなげるためには、データの分析と課題の改善を繰り返さなければいけません。とはいえ、社内にサイト分析に長けたスキルを持った人がいなかったり、Webマーケティングの初心者で分析に慣れていなければ、数字から効果的な改善策を考えるのも困難です。そこで本記事では、これからWebサイトの分析を行い、コンバージョンや売上げの向上につなげたい方のために、サイト分析の方法やポイント、基本的な分析ツールをピックアップしてご紹介します。
目次
Webサイトを分析する重要性
インターネットの発展により、消費者の情報収集方法は大きく変わりました。従来は、営業やダイレクトメール、テレビCMや新聞・雑誌広告といったマスメディアを通して企業から情報を提供してもらう「受動的」なスタイルでしたが、現代はスマートフォンやPCを活用し、好きな時に好きな場所で情報を収集する「能動的」なスタイルへと変化しました。
数ある顧客接点の中でも、Webサイトは特に重要性が高いチャネルです。株式会社メディックス実施の「2020年版IT製品選定者アンケート調査」によれば、認知フェーズの情報収集源は「検索エンジン」が55.4%を占め、一次選定フェーズの情報収集源は「ベンダー・メーカーのホームページ」と回答する割合が増加しています。認知から一次選定においてWebサイトは重要チャネルであり、コンバージョン率を高めるためには、ユーザーの集客経路やサイト内での動きなどの分析と最適化が不可欠となっています。
Webサイト分析の流れ
それでは、どのようにWebサイトの分析を進めていけば良いのでしょうか?
ここからは、Webマーケティング初心者の方に向けて、4ステップで分析の流れを説明していきます。
- 1.KPIの明確化
- 2.分析ツールによる測定実施
- 3.データの分析・課題抽出
- 4.解決策の検討・実施とレビュー
各ステップの詳細について、見ていきましょう。
1.KPIの明確化
Webサイトの分析は、ゴールとKPIの設定から始めます。ゴールが決まっていない状態で分析をしても、意思決定やアクションにつながらない結果になるためです。
例えば、Webサイト経由で「月100件の問い合わせの獲得」をゴールにしたとしましょう。このゴールを達成するために必要なプロセスを数値化したものがKPIです。自社オウンドメディアのコンバージョン率を5%と仮定した場合、ゴール達成には最低でも月間2000PVを達成する必要があると分かります。この例のように、自社サイトの現状から実現可能なKPIを設定すれば、効果的な分析が可能です。
2.分析ツールによる測定実施
Webサイト分析はツールを用いて実施します。ツールと一口に言っても、解析ツールやヒートマップツール、ページ速度測定ツールなど多々あるため、目的に応じてツールを使い分けましょう。
例えば、Webサイトの目的が「コンバージョンの獲得」ならば、ヒートマップツールでユーザーの熟読エリアや離脱個所を可視化することで、CTAボタンの適切な設置位置が分かります。一方、見込み顧客の獲得が目的ならば、アクセス解析ツールでユーザー行動を追跡するのが良いでしょう。Webサイトの分析ツールに関しては記事後半で詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
3.データの分析・課題抽出
データ分析で重要なのは、意思決定やアクションにつながる課題と改善策を導くこと。それでは、どうすればアクションにつながるアウトプットを出せるのでしょうか。その答えは、数字から購買プロセスの全体像やユーザー心理をイメージすることです。
例えば、特定の商品ページに何度も訪問するユーザーが多い場合、ユーザーは購買プロセスの比較検討段階にあり「商品に興味があるものの、購買への一押しが足りていない」と分析できます。このように、数字からユーザー心理をイメージし、購買プロセスにあてはめることで、成果につながる課題を発見できるのです。
4.解決策の検討・実施とレビュー
課題に対する解決策を考えます。先ほどの例の続きを見ていきましょう。商品ページへの再訪問が多い一方、コンバージョンにつながっていないことが課題でした。「十分に自社商品の魅力を訴求できていないことが要因」と仮説を立て、商品の画像ではなく、より活用のイメージをしやすい動画の設置や、利用者の声の追加などの解決策が考えられます。
データ分析に慣れていない方にとっては、有効な解決策を考えるのは困難であり、改善施策後に数値が悪化することも珍しくはありません。そのため、改善策を一度に反映させるのではなく、ABテストなどで段階を踏みながら効果を確認し、徐々に全体を最適化するようにしましょう。
効果的なWebサイト分析のポイント
Webサイト分析に慣れていない方は、まずは以下4つの基本ポイントを押さえましょう。
- 3つの分析法を活用する
- 細部は最後に分析する
- ゴールからさかのぼって見る
- コンバージョンに近い部分から取り組む
それぞれのポイントについてご紹介します。
3つの分析法を活用する
Webサイトの基本の分析方法は、比較・構成比・変化の3つです。これら3つの分析法を用いれば、分析入門者でもデータの良し悪しを判断できます。
比較と変化に関しては、Webサイト運用で収集したデータと過去のデータを比較するだけではなく、競合サイトのデータとも比較するのが有効。なぜなら、自社データの比較だけでは、データの良し悪しが分からないためです。
例えば、去年と比べて今年のコンバージョン数が1.5倍増えていたとしても、競合のコンバージョン数が3倍に増加していた場合、自社の成長率は低いと言えます。競合データと比較することで、自社サイトの現状を客観的に把握できるのです。
細部は最後に分析する
Webサイトの分析は、「大きな視点」から「細部の視点」の順に行います。具体的には、流入元や流入数が多いキーワードの洗い出しから行い、それからキーワードごとの流入先、回遊先、コンバージョン前に経由したページなどの順に分析を進めます。
Webサイト分析の目的は、課題の発見と有効な改善策につなげる仮説を発見することであり、必ずしもすべてのデータの細部を見る必要はありません。大きな視点から細部へと分析を進めれば、自社にとって重要な指標が判明し、効率よく分析を進められるようになります。
ゴールからさかのぼって見る
Webサイト分析では、ユーザー行動を「集客 → アクセス状況 → コンバージョン」の順に追跡するのが一般的。ユーザー行動を順番に見れば、Webサイトの大まかな現状を把握できます。
さらに詳細に分析したい場合は、ゴール(=コンバージョン)からさかのぼってユーザー行動を見る方法が有効です。コンバージョンしたユーザーのデバイス状況や閲覧ページ、多い/少ない流入元などを見てみましょう。この分析方法を使えば、コンバージョンユーザーが共通して閲覧するコンテンツの把握や潜在ニーズを反映したコンテンツ作成などができるようになります。
コンバージョンに近い部分から取り組む
Webサイトの分析をすると複数の課題が見つかるため、どこから改善に取り組めばいいのか分からないと悩むことでしょう。優先すべきなのは、商品ページや事例/インタビューページ、訴求ポイントなどのコンバージョンに近い部分です。コンバージョンに近い部分の改善ができていなければ、どれだけ多くの流入数を獲得できても、ユーザーは離脱するばかりで売上げにはつながりません。
(出典:DISRUPTIVE)
デジタルマーケティング支援会社Straight Northが35万件以上のWebサイトのコンバージョンを調査したデータによると、コンバージョンの84%が初回訪問時に発生すると判明しています。購買意欲の高い新規ユーザーをとりこぼさないためにも、コンバージョン率の改善から取り組みましょう。
Webサイトの分析手法
Webサイト分析に慣れていない方は、下記6つの分析手法を押さえておきましょう。
ここからは目的に応じて、最適な分析手法を選べるように、各手法の特徴を解説します。
Web解析
Web解析とは、Webサイトの訪問ユーザー属性や行動などを分析し、成果につながる改善策を導き出す分析手法。GoogleアナリティクスのタグをWebサイトに設置すれば、すぐに取り組めます。
Web解析の目的はユーザー体験を改善し、コンバージョン率の向上や流入数の増加を達成することです。だからこそ、Web解析ではユーザーを知ろうとする心構えが重要になります。数字を見るだけではなく、数字から「どうして直前でコンバージョンに至らなかったのか」や「どうして読了率が低いのか」などを考え、ユーザー行動や心理の把握に努めましょう。Webサイトからのコンバージョン率に課題を抱えている企業におすすめの分析手法です。
広告効果測定
広告効果測定とは、リスティング広告やディスプレイ広告などの出稿広告の効果を測定する手法。分析入門者が最低限抑えておくべき指標は以下の通りです。
【集客の指標】
- インプレッション数:広告が表示された回数
- クリック数:広告がクリックされた回数
- クリック率(CTR):広告の表示回数のうち、実際にクリックされた割合
- 平均クリック単価(CPC):1回のクリック獲得にかかる平均単価
【コンバージョンの指標】
- コンバージョン数(CV):コンバージョンにつながった回数
- コンバージョン単価(CPA):コンバージョン1件当たりの獲得にかかる費用
【費用対効果の指標】
- ROAS:費用対効果。「広告経由の売上げ ÷ 広告費 × 100」で算出
まずは上記の指標に着目しながら、時系列分析(時間の経過に沿ってデータを分析)やユーザー視点で分析をしてみましょう。
ヒートマップ分析
ヒートマップ分析とは、Webサイトに訪問したユーザー行動を色の濃淡で表現し、コンテンツやUI/UXの最適化をする分析手法。主に熟読エリア・終了エリア・クリック個所の把握が可能です。例えば、ヒートマップ分析でLPをスクロールするユーザーの割合が少ないと判明したら、ファーストビューにCTAや訴求動画を設置するといった改善策を立てられます。
(出典:SiTest)
ヒートマップ分析の実施には、専用ツールの導入が必要です。社内にヒートマップ分析に慣れた人材がいなければ、サポート制度が充実したツールを選ぶのがおすすめ。コンバージョン率が悪い場合は、ヒートマップ分析で最適な顧客体験を提供できているかどうか分析してみましょう。
関連記事:Web分析に使えるヒートマップとは?導入に失敗しないための基礎知識を解説
フォーム分析
フォーム分析とは、フォームページにおけるユーザー行動を分析し、離脱の原因を解明する手法です。ECサイトで商品購入をする際、入力項目が多かったり、原因不明のエラー表示が起きたりして、購入を止めた経験がある方は多いのではないでしょうか。フォームはコンバージョン率を大きく左右します。
入力フォームのコンバージョン率が悪い場合は、フォーム分析で原因を特定しましょう。フォームページの改善には、社内のエンジニアやシステム部門の協力が欠かせません。複数の入力フォームがある場合は、ノープログラミングでフォーム作成から改善まで行えるEFOツールの導入がおすすめです。
関連記事:EFOとは?入力フォームの離脱を改善しコンバージョン率を上げる6つのポイント
関連記事:【2022年度版】おすすめEFOツール7選を比較!特徴と選定のポイントを解説
競合分析
競合分析は、競合との差異化となるポイントや自社に不足している部分、新たな切り口を発見する目的で行います。競合分析では、競合のSEOランクや流入数・流入キーワード、コンテンツなどの他、UI/UXを比較するのも有効です。
例えば、自社Webサイトでは製品購入までに6ページの遷移が必要なのに対し、競合は4ページで商品購入が終了した場合、競合の方がユーザビリティの高いWebサイトだと言えます。また、競合の商品紹介やサービスの利用手順が分かりにくいことが弱みと分かれば、わかりやすく利用手順を説明した動画を設置するなどして差別化も可能。
競合分析をすれば、客観的な自社サイトの現状把握や有効な改善策が浮かび上がります。競合分析が可能なツールについては、後ほどの章でご紹介します。
ユーザビリティ調査
Webサイト分析におけるユーザビリティ調査とは、想定したターゲットにWebサイトを使用してもらい、使いやすさや操作性を評価する手法です。ヒートマップやフォーム分析などで課題が特定できない場合に実施します。ターゲットに近い人物に協力してもらうことが理想ですが、他部門のメンバーにユーザー視点で体験してもらうのも良いでしょう。
具体的な調査方法は、サイト訪問から購入・フォーム入力など、コンバージョンを完了するまでのユーザーの様子を観察。コンバージョンするまでに発生した失敗や混乱などを抽出したり、ユーザーにインタビューを行い、ユーザー視点でサイトの問題点を明らかにします。結果をUI/UXを的確に反映させるためには、システム部門との連携が必要。社内に経験や知見がない場合は、外部へ委託するのもおすすめ。
Webサイト分析における重要項目
Webサイト分析で見るべき項目は多々ありますが、分析に慣れていない場合は、必要最低限として以下項目を押さえておきましょう。
- 流入数(セッション数)
- 流入経路
- 流入キーワード
- サイト内のユーザー行動
- 直帰率
それぞれの項目について解説します。
流入数(セッション数)
流入数とは、広告や検索結果・SNSなどを通して、自社サイトに訪問したユーザーの数であり、「訪問数」や「セッション数」とも呼ばれます。簡単に言えば、実店舗における来店者数と同じです。流入数が多いほど、Webサイトが多くの人に見られていることを意味します。流入数は集客の指標であり、コンバージョンに近い部分のコンテンツを最適化したら、流入数を伸ばす施策を推進するといいでしょう。
流入経路
流入経路とは、自社サイトに訪問したユーザーのアクセス元であり、主に以下の5種類です。
- 自然検索
- Web広告
- SNS
- 直接流入
- 外部サイト
流入経路を把握すれば、注力すべき施策が判明し、費用対効果の最適化が見込めます。例えば、リスティング広告とFacebook広告を運用しており、Facebookからの流入・コンバージョンがともに少ない場合は、リスティング広告のほうが獲得効率が良いと分かります。
ユーザーの流入元を分析することで、効果的にWebサイトの集客力を高められるのです。
流入キーワード
流入キーワードとは、ユーザーが検索して自社サイト訪問につながったキーワードのことです。例えば、ユーザーが「英会話教室」で検索をして自社サイトに訪問した場合、「英会話教室」が流入キーワードとなります。流入キーワードを見れば、ユーザーの抱える悩みや課題とコンテンツが一致しているかどうかの判断が可能です。
自然検索からの流入が多いながらも、コンバージョン率の低いページがあるとしましょう。そのページの流入キーワードが「住宅ローン 比較」であり、コンバージョンが「住宅ローン乗り換えガイド」の場合、検索意図とコンバージョンがマッチしていません。コンバージョンを「住宅ローン比較ガイド」にすることで、コンバージョン率の改善を見込めます。
その他、流入キーワードを見れば、ニーズがありながらも自社サイトに不足しているコンテンツやユーザーが購買プロセスのどのフェーズにいるのかを確認できます。
サイト内のユーザー行動
サイト内のユーザー行動では、ユーザーがいつ・どのページを見て・何をしたのか(他のページの閲覧、離脱、コンバージョンなど)を分析します。ユーザー行動分析では、まずは訪問ユーザーを新規ユーザーやリピートユーザー、スマホユーザー、コンバージョンユーザーなどのようにセグメント分けします。各セグメントにおけるユーザー行動を、時系列分析やコンバージョンからさかのぼって分析して、ユーザーの心理やニーズを把握するのです。
GoogleアナリティクスなどのWeb解析により、新規ユーザー数が増えている一方、リピートユーザー数が伸びていなければ、ユーザーに価値あるコンテンツを提供できていないと推測できます。Web分析においてはユーザー行動が数字として現れるため、数字よりユーザー心理とニーズを読み取れるようになりましょう。
直帰率
直帰率とは、最初に訪問したページを見た後、そのまま離脱したユーザーの割合を示す指標です。例えば、Aページの訪問ユーザーがそのまま離脱すれば直帰、AページからBページに移動すれば直帰ではありません。ユーザーニーズに合致したコンテンツであれば、ユーザーがその他のページを見る確率も高まるため、直帰率はユーザーの満足度を測る指標とも言われます。
いくら流入数が多いとしても、直帰率の高いページは、効率よくコンバージョンを生むことができません。直帰率が低い理由を分析し、改善につなげましょう。
離脱率が高い原因のひとつに「ページの長さ」が影響すると考えられます。「ページの長さと離脱率は比例する」と証明した研究もあり、特にスマホユーザーがメインの場合、大量のスクロールが必要な縦長のページになっていては、ユーザーが求める情報をすぐに得られず、離脱が生まれていると予測できるでしょう。ヒートマップなどで仮説を検証した上で、ページ上部で離脱が生じている場合、例えば、動画やチャットボットなどを活用してよりコンパクトに情報を伝えることで、離脱率とコンバージョン率の改善が期待できます。
おすすめのWebサイト分析ツール6選【無料・有料】
Webマーケティング入門者におすすめのツールは、以下の6つです。
- Googleアナリティクス
- Page Speed Insights
- MIERUCA HEATMAP
- SimilarWeb
- ahrefs
- SEMRUSH
本格的な機能を無料で使えるツールが多いため、各ツールの特徴を理解したうえで、積極的に活用してみましょう。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、Googleが無償で提供するWeb解析ツールであり、上場企業の90%以上が利用しているほどです。人気の理由は、無料で本格的な分析機能が利用できること。ユーザー属性や流入経路、流入キーワード、ユーザー行動まで幅広く分析できます。
(出典:Google マーケティングプラットフォーム)
現在はユニバーサルアナリティクス(UA)が主流ですが、2023年7月には計測が終了するため、最新バージョンのGoogle Analytics4 (GA4)への移行が必須。GA4の特徴は、スマホやタブレット、PCなどのデバイスを横断したユーザーでも同一ユーザーと認識できるため、カスタマージャーニー全体の計測が可能になったことです。また、クッキーレス時代に向けてのユーザー識別や機械学習によるデータ予測なども可能です。
また昨今では、多くの情報をより分かりやすく伝えるため、商品紹介やマニュアル、ユーザーインタビューなどの用途で、Webサイトに動画を活用する企業も増えてきています。wyzowlの調査によれば、86%の企業が動画をマーケティングツールとして活用しているとのこと。
(以下、手順説明のYouTube動画をサイトに設置した例)
(出典:Minna no Ginko)
GA4では「拡張イベント計測機能」を活用することで、動画を再生したユーザーがコンバージョンにつながっているかどうか、も計測できるようになりました。他にも新しい機能が搭載されていますので、Webサイト運用担当者は使いこなせるようになっておきましょう。
PageSpeed Insights
PageSpeed Insightsは、Googleが提供する無償ツールで、Webページの表示速度を測定できます。Webページの表示速度は、SEOランクやユーザー体験などに影響を与える重要項目です。海外のデジタルマーケティング支援企業PORTENTが、20サイト・1億ページ以上のコンバージョンデータを調査した結果によると、ページ表示速度とコンバージョン率は比例すると判明しています。
(出典:PageSpeed Insights)
PageSpeed Insightsは、画像の表示速度も計測できるため、商品紹介ページや利用法を示したページ、多くの画像を用いたコンテンツの分析に向いています。
MIERUCA HEATMAP
MIERUCA HEATMAPは、Webサイト内のユーザー行動を可視化できる分析ツールです。サイト内でユーザーが熟読している個所や離脱した箇所、クリックした箇所が可視化されるため、ページ内の課題を効率的に発見できます。
(出典:MIERUCA HEATMAP)
ユーザーがコンバージョンに至るまでの行動を可視化できるため、ECサイトなどコンバージョン目的のWebサイトに特に適しています。
例えば、美容メーカーがオウンドメディアを運営していたとしましょう。ヒートマップツールを用いて、記事を最後まで読んだユーザーの多くが「化粧水」に関するカテゴリをクリックしていると分かり、「最後までコンテンツを読んだユーザーは化粧水について知りたいのでは」と仮説を立てます。この仮説に基づき、ページ下部と熟読エリアに化粧水カテゴリに遷移するバナーを設置すれば、コンバージョン率が向上するかもしれません。
計測URL数が1つで月の計測PV数が3000以内なら、無料で熟読・離脱・クリックのヒートマップと3回までの競合広告調査の利用が可能。有料版に加入すれば、登録サイト数やURL数が無制限になり、期間比較やイベントセグメント、ABテストなどの機能も利用できるようになります。MIERUCAはヒートマップ以外にも、SEO対策など総合的なWebマーケティング機能を提供しているので、これからコンテンツマーケティングを強化したい企業におすすめです。
SimilarWeb
SimilarWebは、競合サイトの分析をするツール。分析したいWebサイトのURLを入力することで、無料版でも競合サイトの下記項目を確認できます。
- 直帰率
- 合計訪問者数
- 平均滞在時間
- ユーザー属性と興味関心
- 類似サイト
- 上位のトラフィック 他
(出典:SimilarWeb)
SimilarWebを使えば、検索画面の上位表示に必要な情報や競合の発見を効率よく行えるため、競合や業界全体の動きをとらえ、変化に柔軟に対応したいWebサイトにおすすめです。有料版に加入すれば、競合サイトのコンバージョンを時系列での把握やアプリ業界のトレンド把握などができます。
Ahrefs
Ahrefsは、オールインワンのSEOツールです。サイトの最適化や競合分析、キーワード選定、被リンク分析などを行えます。SEOランキングの重要要素である被リンクの調査に定評があり、本ツールを使うことで、被リンクされやすいコンテンツ作成ができるでしょう。
(出典:Ahrefs)
またAhrefsは、YouTubeの検索キーワード調査ができる点も特徴。「キーワードエクスプローラー機能」を使えば、キーワードの検索ボリュームを調べることができます。またサジェストキーワードも調査できるため、そこから検索意図を推しはかることも可能に。YouTubeの検索キーワード調査ができるAhrefsは、コンテンツマーケティングの強化をしたい企業やYouTubeチャンネルを運用している企業などにおすすめ。YouTube上でのニーズを把握し、動画だけでなくサイト上のコンテンツ企画に活かすことができます。
SEMRUSH
SEMRUSHは、競合のSEOやWeb広告、SNSなどの分析調査ツール。SEOや広告の運用は代理店に任せる企業も多いですが、本ツールを導入すれば、キーワード選定やニーズのあるコンテンツの特定、サイトエラーの発見などを効率よく実施できるようになり、インハウスの運用体制を構築できます。
(出典:SEMRUSH)
また、YouTubeをはじめとした競合のSNSデータ分析にも対応しているのが特徴。例えば、自社と競合のYouTube動画を、アクティビティやエンゲージメントなどの視点で比較分析することで、ユーザーニーズや自社チャンネルの現状を客観的に把握できるようになり、コンバージョンへ導く動画クリエイティブを実現できます。今後、動画やSNSをより活用していきたい企業におすすめ。
まとめ
購買プロセスの認知から一次選定において、Webサイトは顧客と接点を構築する重要なチャネルです。また、顧客はあらゆるチャネルで情報収集をし、ある程度の意思決定をしてからWebサイトに訪問するため、初回訪問で購入や問い合わせなどのコンバージョンが発生することは珍しくありません。だからこそ、定期的にWebサイトの分析をし、ニーズのあるコンテンツの把握や注力すべきチャネルの特定、ユーザー体験の最適化が必要になります。
また、近年デジタルマーケティングの中心施策として、Webサイトでの動画活用も進んでいますが、動画をただ制作・設置するだけでは期待した成果を見込めません。Webサイト同様にデータ分析を行い、PDCAを回すことが大切。そして動画分析から得たインサイトをWebサイトにも反映する、サイト分析から得たインサイトを動画にも反映する、という好循環を作り、マーケティング全体の成果へとつなげていきましょう。
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841