「ランディングページ(LP)を作ったけれど、思うようにビジネスの成果が上がらない……」「もっとリード獲得効率を改善したい……」といった課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。
ユーザーは、ランディングページに訪問しても自分のベネフィットを瞬時に感じ取ることができなければ、わずか3秒で離脱してしまう、と言われています。ランディングページ上でのユーザー行動を正しく捉え、態度変容を促せていなければ、せっかくコストをかけてページを運用していても見込み顧客を逃してしまい、獲得にはつながりません。
ランディングページは「制作して終わり」ではなく、効果を測定・分析し、改善しながら運用するのが基本です。本記事では、ランディングページにおける成果獲得を向上させるための分析方法やツールをご紹介します。
目次
ランディングページ(LP)分析の重要性
ランディングページ(LP)のCVR改善のために、分析の実施は不可欠です。
- 流入したユーザーが訪問後、何秒で離脱しているか?
- 流入したユーザーのうち、何%が離脱しているか?
上記のようなポイントを客観的なデータで定量的に捉えなくては、ランディングページ(LP)をどのように改善すべきか、根拠を掴むことができないからです。
自社のランディングページ(LP)に潜んでいる課題を把握できていないまま、運用を続けてはいませんか? 改善ポイントが不明瞭なまま、やみくもにページの見直しに取り組もうとしても、運用コストや労力をロスするばかりで獲得効率も向上せず、収益改善にはつながりません。各種の分析ツールを活用しながらデータに基づいてランディングページ(LP)を改善していく取り組みは、CVR改善のうえで必須だと言えるでしょう。
ランディングページ(LP)の分析からCVR改善までの4ステップ
それでは、分析からCVR改善に至るまでに、具体的にどのような取り組みを行えばよいのでしょうか。以下、4つのステップに沿って解説します。
- 目標・KPIの到達度を確認(Check)
- データの分析・課題抽出(Action)
- 改善案を企画(Plan)
- 改善策の実行(Do)
目標・KPIの到達度を確認(Check)
まず、現状のランディングページ(LP)運用で目標値をどれぐらい達成できているかチェックしましょう。収益獲得を目指してランディングページ(LP)を運用している中で「セッション数」「離脱率/直帰率」「CV数/CV率」といった指標を定め、目標値を掲げているはずです。それぞれの指標に対する達成状況を数値によって明らかにしましょう。
データの分析・課題抽出(Action)
次に、洗い出した数値に基づいて現状のランディングページ(LP)に潜む課題を明らかにします。「目標達成率が悪く、早急に手を打つべきポイント」を絞り込みましょう。各指標の達成状況から、以下のような仮説を導き出すことが大切です。
<一例>
●セッション数が少ない:「そもそもランディングページ(LP)に流入してくるユーザー数の目標値を達成できていない。集客施策をもっと強化する必要があるのでは?」
●離脱率/直帰率が高い:「流入ユーザーはある程度獲得できているが、ランディングページ(LP)を見てすぐに帰られてしまっているのではないか?訪問してくれたユーザーを逃さないよう、もっとランディングページ(LP)内のコンテンツを見直し、訴求内容を分かりやすくすべきでは?」
●CV数/CV率が低い:「ランディングページ(LP)の最終目標である収益獲得に至る以前に、ユーザーを逃してしまっている。CTAや申し込みフォームをもっと分かりやすくする必要があるのでは?」
改善案を企画(Plan)
導き出した仮説に対して、具体的な改善施策のプランニングを行います。例えばCVR改善が課題であれば、次のような改善案が考えられるでしょう。
- ファーストビューで伝える内容を見直し、訴求力を高める
- CTAボタンの色やコピー、配置を見直し、ユーザーに分かりやすくする
- 申し込みフォームを見直し、入力をもっと簡単にする
ひと口に「CVRの改善策」と言っても、効率よく獲得増につながる手法を見定めることが重要です。商品・サービスや、ターゲットユーザーとの親和性をよく考えてプランニングを進めましょう。
改善策の実行(Do)
プランニングした具体策を実行に移します。実行の際には「ABテスト」を取り入れるのがおすすめです。改善を加えたクリエイティブを複数パターン用意し、ユーザーの反応を検証しながら、より成果の高い見せ方を探っていく手法です。ユーザーから反応の高いクリエイティブを見つけられたら、それを「勝ちパターン」として繰り返し運用することで、ランディングページ(LP)経由での収益獲得がより効率的になります。
関連記事:LP(ランディングぺージ)のABテストでコンバージョン率や離脱率を改善する方法とは?事例や効果的なやり方を解説
CVR改善のために注目すべき指標と改善策
ランディングページ(LP)のCVR改善が課題である場合、どのような指標に注目したら良いのでしょうか?以下では、注視すべき指標と、その改善策について解説します。
セッション数(流入数)
「セッション数」とは、ランディングページ(LP)に訪問したユーザー数のこと。セッション数が多ければ十分に集客できていることを示し、逆に少ない場合は「集客施策をもっと強化すべき」という状態を示唆します。具体的な集客施策としては次のような手法が挙げられるでしょう。
- Web広告(リスティング広告、ディスプレイ広告など)
- SNS広告(Twitter広告、Instagram広告、Facebook広告など)
- 動画広告(YouTube、TikTokなど)
- 記事広告(メディアとのタイアップ)
セッション数は、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールで計測可能です。
離脱率/直帰率
続いて、「離脱率」とは、ユーザーがWebサイト内を回遊したものの、ランディングページ(LP)閲覧を最後に、Webサイトから離れた割合。また「直帰率」とは、ユーザーが申し込みフォーム・購入画面などWebサイト内の別ページに一切遷移することなく、サイトから離れた割合です。
離脱率/直帰率が高い場合、ユーザーに「自分の求める情報がない」「自分には関連のない商材だ」と思わせている可能性もあります。特に、ランディングページ(LP)のファーストビューでの直帰率が高い場合は、訴求ポイントを見直したり、ペルソナ設定の見直しをおすすめします。ファーストビューにおける直帰率を把握するには、ページ上でのユーザー行動を視覚的に分析できる解析ツール「ヒートマップ」を活用すると良いでしょう。
関連記事:ランディングぺージ(LP)の離脱原因と離脱を防止する7つの方法
関連記事:LP(ランディングページ)のファーストビューのポイントとは?CVにつながる4つの要素を解説
コンバージョン(CV)数とコンバージョン率(CVR)
「コンバージョン(CV)数」とは、「問い合わせ」「資料請求」「来店予約」「購入」など、ランディングページ(LP)の最終目標を達成できた数、すなわち、ビジネスの成果獲得件数を示します。そして「コンバージョン率(CVR)」とは、「セッション数(流入数)」と照らし合わせてどれだけ効率的にコンバージョン(CV)数を獲得できているか、すなわち、獲得効率を示す数値です。これらの数値はGoogle アナリティクスなどのアクセス解析ツールで明らかにできます。
クリック率
「クリック率」とは、ユーザーがランディングページ(LP)内でクリックした割合のこと。ヒートマップツールを活用すると、ユーザーがLP内でどの箇所に高い関心を示しているか、視覚的に把握できます。
たとえば「CTAボタンのクリック率が低い」という場合について考えてみましょう。CTAボタンにあまり関心を持たれていない、つまり、自社が意図する行動にユーザーを促すことができていない
ため、「CTAボタンの色」「ボタン内コピー」「配置箇所」など、改善が必要だと判断できます。
出典:Ptengine
スクロール率
「スクロール率」とは、ランディングページ(LP)に訪問したユーザーが、ページをどこまで深くスクロールして読んでいるかを示す数値で、ヒートマップツールによって解析が可能です。スクロール率が低い場合「ユーザーがランディングページに訪問しても、あまり内容を深く読み込んでくれていない」「ページ上部の、ファーストビュー部分だけを見て、すぐに離脱している」といった状況を示唆します。コンテンツの配置順序や、訴求内容を改善することでもっとユーザーを引きつける余地がある、と判断できるでしょう。
多くの説明が必要な商品・サービスにおいては、ランディングページ内で伝えるべき情報量が多く、深くスクロールが必要な長尺のページになりがちです。例えば、金融商品や不動産などのように専門用語や注意点が多い商材や、ラインナップの多い商品・サービスのLPが当てはまるでしょう。
このようなケースでは、ページ下部に至るほど離脱率が高くなります。改善策として、ファーストビューなどページの上部に動画を配置し、コンパクトに情報を伝達することが効果的です。スクロール率を見ることで、コンテンツの適切な配置や表現形式を検討できます。
関連記事:動画付きランディングページ(LP)の効果を高める5つのポイント!CV120%上昇事例もご紹介
アテンション(注目度)
「アテンション(注目度)」とは、ランディングページ(LP)に訪問したユーザーが、ページ内のどのエリアに高い興味関心を示して熟読しているかを表す数値で、ヒートマップツールで解析可能です。「特に注目してほしいのに、ユーザーに熟読されていない箇所」「想定外に注目を集めている箇所」などを明らかにでき、スクロール率同様に、コンテンツ配置や内容改善のヒントとなるでしょう。
出典:Ptengine
ランディングページ(LP)分析の代表的なツール
ランディングページ(LP)分析における重要指標を把握するうえで欠かせないツールは、アクセス解析ツールと、ヒートマップツールです。それぞれ代表的なツールを1つずつご紹介します。
Googleアナリティクス|アクセス解析ツール
Googleアナリティクスとは、Googleが無料で提供しているアクセス解析ツールで、上場企業の90%が導入する人気の高いツールです。Googleアカウントを使って専用のタグを取得し、それを自社のWebサイトに設置することで、誰でも無料で本格的な解析への取り組みが可能に。ランディングページ(LP)の分析において必ず押えておきたい「セッション(流入)数」、「離脱率/直帰率」「コンバージョン数/コンバージョン率」など、数多くの指標を計測できます。
現在はユニバーサルアナリティクス(UA)が主流ですが、2023年7月にはUAによる計測が終了するため、最新バージョンのGoogle Analytics4 (GA4)への移行が必須であることも理解しておきましょう。
MIERUCA HEATMAP|ヒートマップツール
「MIERUCA HEATMAP」は、無料から使えるヒートマップツールです。以下のようにユーザーがページ上で取っているアクションを視覚的に捉えることが可能で、ランディングページ(LP)のCVR改善に役立ちます。
●アテンション(注目度):ユーザーはページ内のどのエリアに高い関心を示しているか
●スクロール率:ユーザーがランディングページの下部まで興味を持ってスクロールして読んでくれているか
1ページだけなら期間制限なく3,000PVまで無料で利用でき、有料版も計測PV数や登録サイト数、アカウント数、サポートの有無などによって複数のプランに分かれています。「まずはランディングページ(LP)1件について、ヒートマップ解析を試してみたい」という場合でも気軽にトライできるツールだと言えるでしょう。
出典:【無料】ミエルカヒートマップ – ヒートマップ&UIUX改善ツールでコンバージョン最大化
ヒートマップについて詳しくは、以下記事でもご紹介していますので、合わせてお読みください。
関連記事:Web分析に使えるヒートマップとは?導入に失敗しないための基礎知識を解説
関連記事:無料から有料まで!目的別・ヒートマップツールおすすめ5選と選ぶポイントを解説
ランディングページ(LP)分析・改善の成功事例
ここからは、ランディングページ(LP)分析・改善の成功事例を2点紹介します。
高級腕時計レンタルサービス|ヒートマップツール活用でCVR約210%、CV約462%増加
高級腕時計のレンタルサービス「KARITOKE」は、ヒートマップツールを活用してランディングページ(LP)改善に取り組み、CV462%増加という高い成果につなげました。ファーストビューの離脱率や、CTAボタンのクリック率、ランディングページ(LP)全体のクリック率を把握、スマホ上での誤タップの数値まで分析。数値に基づいてファーストビューのコピー・CTAコピーや商品画像の配置を見直し、数値改善をはかることができました。
出典:パーソナライズ機能の活用等で広告経由の CVR が約210%、CV が約462%増加
不動産紹介メディア|分析でページ内のブラッシュアップを積み重ね、流入数7倍、広告費半減
不動産紹介メディア「mitaina」は、アクセス解析ツールとヒートマップツールの両方を活用してサイトをブラッシュアップしたことで、流入数は7倍に増加、新規獲得の広告費を半減させることに成功しました。
「離脱率」や「クリック率」の数値を参考に、ユーザー視点を第一に考え、ページ構成やコンテンツ、バナーの配置見直しを実施。ユーザーがページの最後まで読んでくれるよう細かな工夫を積み上げた結果、ページのSEO評価が向上、オーガニック流入数は7倍に増加。広告頼みの集客から脱却でき、広告費を以前の半分にまで抑えることができました。
出典:株式会社I-House様 ヒートマップ導入事例 – アクセス解析ツールのユーザーインサイト(User Insight)
一手先の、ランディングページ(LP)分析とは?
近年、ランディングページ(LP)の訴求力・情報伝達力を高める目的で、ファーストビューやページの上部に動画を配置するケースも増えてきています。しかし、単に動画を設置するのみで、動画からコンバージョンへどうつながったのか? 効果検証まではできていない企業も多いのではないでしょうか。
Google アナリティクスのアップデート版である「Google Analytics 4」では、ランディングページ(LP)内に埋め込んだYouTube動画の再生時間取得も可能です。「拡張イベント計測機能」を活用することで、動画を再生したユーザーがコンバージョンに至ったかどうか(エンゲージ ビュー コンバージョン)も計測できます。ランディングページ(LP)内にYouTube動画を埋め込んでいる場合は、ぜひ「Google Analytics4」を分析に活用してみましょう。
なお、YouTube以外の動画プラットフォームを活用することで、さらに詳しい動画分析が可能になります。例えば「再生されるだけ」の動画から進化し、視聴者が動画をタップ・クリックできる「インタラクティブ動画」を活用すると、動画内のアクションデータからユーザーの興味関心を把握でき、ユーザーインサイトの分析が可能。動画の改善に加えて、ランディングページ(LP)内のコンテンツ改善にも役立ちます。
関連記事:新生銀行、インタラクティブ動画でインターネットチャネルでの資産運用顧客の新規獲得を目指す
株式会社新生銀行では、新型コロナウイルス等の影響で店舗へ来店しにくい顧客に対して、インターネットチャネルでのサービス提供を拡充するため2021年よりインタラクティブ動画をWebサイト上へ設置。従来、長文のテキストで説明していた内容を動画化しました。
顧客が自身の選択(タップ)から診断形式で運用意向に近い金融商品を選ぶことができる内容で、新規顧客獲得の1チャネルとなりました。インタラクティブ動画の視聴レポートを元にユーザーのニーズを正確に視覚化できるため、細かい課題を把握した上でスピーディーに動画やサイトの改善へと活かしています。
関連記事:動画マーケティングの主要指標&動画分析ツールのおすすめ7選を解説!
まとめ
本記事では、ランディングページ(LP)を運用していく中で、数値に基づいて客観的に課題を洗い出し、改善を繰り返していくことが重要だと述べてきました。Googleアナリティクスやヒートマップといった分析ツールを活用すれば、「ユーザーはページ上でどんな行動を取っているか?」「ページ内のどこに強く興味関心を示しているか?」「あまり見られていない箇所はどこか?」など課題を明らかにできます。ユーザーが求めるコンテンツを適切にページ内に実装すれば、大きな収益を生み出す可能性も。またサイト上だけでなく、サイトに設置した動画の視聴データ分析を行うことでユーザーのニーズをより深く把握でき、一手先のランディングページ改善が期待できます。
まずは、現状を正しく把握・分析し、最適なLPを検討しましょう。
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841