ステップメールとは、マーケティングのシナリオに合わせて作成した複数のメールのことで、お客様に必要な情報を順番に配信していくものです。お客様にとってベストな順番、タイミングで提供することで、時間をかけてお客様との信頼関係を構築し、商品・サービスの理解や購買につなげます。当記事では、企業がステップメールを活用する際のポイントと、メリット・デメリットを解説します。
ステップメールとは
ステップメールとは、マーケティングのシナリオに合わせて作成した複数のメールのことで、お客様に必要な情報を順番に配信していくものです。
例えば、お客様からの資料請求後、以下のように、お客様の行動や感情、おかれている状況に応じて、メールを配信していくことで、お客様が興味を示した商品・サービスへの理解を促進し、購買意欲を高めます。
メールマガジン(メルマガ)との違い
次に、多くの方にとっては、ステップメールよりも馴染みのある「メールマガジン」との違いに触れておきましょう。
メールマガジンは、週に数回だったり月に1回だったり、企業によって頻度はまちまちですが、主な目的は定期的にお知らせを届けることです。しかし、ステップメールは数日、または数ヶ月という期間を限定し、特定の商品・サービスなどに関する情報を集中的に提供していきます。
ステップメールとメールマガジンの特徴を活かし、うまく併用していくのがおすすめです。
<ステップメールとメールマガジンの特徴比較>
項目 | ステップメール | メールマガジン(メルマガ) |
---|---|---|
目的 | 商品・サービスへの興味・関心を深め、購買などを促進する | 企業からのお知らせを定期的に届ける |
掲載内容 | 特定の商品・サービスに関するもの | 企業情報、製品・サービス全般など幅広い |
対象者 | 特定の商品・サービスに関心のある人 | メルマガに申し込んだ人 |
配信頻度 | 数日間で、3〜7回程度のメールを決めた順番に送る(終了後は、メルマガ配信に移行するケースも有) | 毎日、週に数回、月に数回など、定期的に送る |
代表的な利用シーン | ・資料やサンプルの請求 ・セミナー参加 ・購入者へのフォローアップ |
・ニュースサイトのトピックス ・企業の定期メルマガ ・通販サイトの「今週のオススメ」 |
ステップメール | 【目的】 商品・サービスへの興味・関心を深め、購買などを促進する |
【掲載内容】 特定の商品・サービスに関するもの |
【対象者】 特定の商品・サービスに関心のある人 |
【配信頻度】 数日間で、3〜7回程度のメールを決めた順番に送る(終了後は、メルマガ配信に移行するケースも有) |
【代表的な利用シーン】 ・資料やサンプルの請求 ・セミナー参加 ・購入者へのフォローアップ |
---|---|---|---|---|---|
メールマガジン(メルマガ) | 【目的】 企業からのお知らせを定期的に届ける |
【掲載内容】 企業情報、製品・サービス全般など幅広い |
【対象者】 メルマガに申し込んだ人 |
【配信頻度】 毎日、週に数回、月に数回など、定期的に送る |
【代表的な利用シーン】 ・ニュースサイトのトピックス ・企業の定期メルマガ ・通販サイトの「今週のオススメ」 |
関連記事:メルマガとは?目的、メリット、形式、法律上の注意点など、基礎知識とポイントをわかりやすく解説!
ステップメールの効果と活用方法
前章でも少し触れたように、ステップメールには、特定の商品・サービスに興味を持たれたお客様に対して、必要な情報を集中的にお届けできるという特長があります。つまり、ステップメールはメールマーケティングにおいて、お客様の購買意欲を向上させるという効果があり、コンバージョン率を高めるという役割を担っているのです。
ステップメールの効果
ステップメールは、資料請求などお客様自らの行動を起点にして配信されます。そのため、必要な情報をお客様にとってベストな順番、タイミングで提供することができ、いきなりの営業電話に比べると、受け取るお客様にとっての負担は少なく、お客様自身のペースで検討できます。
資料請求に対してのお礼、無事に届いたかの確認、不明点はありませんか?…というように、少しずつコミュニケーションを重ねていくステップメールには、信頼関係を構築するという効果があります。
ステップメールの活用方法
ここからは、具体的なステップメールの活用方法を解説していきます。ステップメールは、購買の前後はもちろんのこと、検討段階や、購入後しばらく経ってからでも、色々な使い方があります。代表的な活用方法の例を見ていきましょう。
<検討段階のお客様:保険の資料請求>
お申し込みフォームで、お客様の氏名や連絡先とともに、年齢や属性情報(性別、既婚・未婚、お子様の有無など)、検討している保険の種類を収集しておきます。資料請求と同時に、
2通目:資料がお手元に届いたどうかの確認
3通目:お客様の年齢・属性に応じたおすすめ商品のご案内(動画)
4通目:個別オンライン相談会のご案内
というように、段階に応じてお客様に必要な情報をお届けしていきます。WEBサイトに「無料相談」がある中、あえて「資料請求」を選択したお客様なので、まずは情報収集をして商品・サービスの理解を深めたい気持ちがあると考えられます。そこで、資料をご覧いただいた後に、動画をお送りして更にサービス理解を深め、次のステップとしてオンラインの個別相談をご案内すれば、相談の申し込み確率はグッと高まります。
<商品購入のお客様:物販>
続いて、WEBサイトから商品を購入いただいたお客様に対する、ステップメールの事例です。
2通目:商品発送のお知らせ(配送業者や伝票番号などの情報)
3通目:商品がお手元に届いたかどうかの確認と、ユーザー登録のご案内
4通目:よくある質問や、困ったときのお問合せ先の紹介
5通目:活用事例やオプション商品などのご案内
というように、購入から利用開始までをサポートする内容のメールを送ります。ユーザーの状況に合わせてステップメールを送ることで、ユーザー登録の方法や困ったときの解決策をタイムリーにお知らせでき、より良い顧客体験をつくりだします。
関連記事:顧客体験(CX)とは?重要視される背景、向上のためのポイントやステップを徹底解説
<サービスのお申し込み後のお客様:証券口座の開設>
WEBサイトから証券口座を開設いただいたお客様に対する、ステップメールの事例です。
2通目:口座開設の流れや必要書類をご説明
3通目:口座開設後の入金や初期設定について
4通目:はじめてのお客様におすすめの商品
5通目:新規ご契約のお客様向けキャンペーンのご案内
証券口座の開設は、初めての方も多く、書類の不備があると先に進めません。そこで、お客様にわかりやすく必要書類や手順を伝えるステップメールを送り、寄り添うようにサポートしていくのです。そうすることで、お客様の口座開設までの期間を早め、1日でも早く取引を開始していただけます。
ステップメールのメリットとデメリット
ステップメールについて理解が深まったところで、ステップメールのメリットとデメリットについても考えてみましょう。
ステップメールのメリット
メリットは、なんといっても特定の商品・サービスの情報を効率よく届けられること。お客様の購買行動に合わせて、マーケティングのシナリオを作るので、シナリオにピッタリ合致したお客様は、購買意欲が向上し、心地よくお買い物されることでしょう。その結果、コンバージョン率の向上につながります。
また「ザイオンス効果」といって、人間には何度も繰り返し接触することで、相手に好感や高評価を持ちやすいという性質があります。ステップメールは、短期間に何度も接触することにより、ザイオンス効果も期待できるのです。
ステップメールのデメリット
メリットばかりのように思われるステップメールですが、実はデメリットもあります。それは、ステップメールの構築には時間がかかること。外注すれば、発生する費用も少なくありません。
なぜなら、ステップメールを作るためには、自社の商品・サービスを購入してくださるお客様の購買行動を知らなければなりません。それを元に、マーケティングのシナリオを作るからです。この作業には、多くの時間を要します。お客様の行動や感情と異なるシナリオのステップメールでは、お客様の購買意欲は、決して向上させることはできません。
ステップメールを作って配信するまでの3ステップ
ステップメールを構築したいという方のために、ステップメールを作る大まかな手順を紹介しておきましょう。ここまで読んで察しの良い方はお気づきかと思いますが、ステップメールは1つの商品に対して1パターンとは限りません。
例えば、同じ保険の資料請求でも、お客様の属性や興味関心によって配信するメールを変えるなど、ステップメールを複数パターン用意することができるからです。また、購入前の検討段階、購入後のサポートといったように、購買行動を起点に別々のステップメールを作ることもあります。
ステップ1:目的、ターゲットを決める
最初にステップメールを配信する目的と、ターゲット(対象者)を決めます。資料請求、セミナーの申し込み、商品の購入など、誰に何をしてもらうために、ステップメールを使うのかを決めましょう。その際、ターゲットは「30代・男性」といった大まかなものではなく、具体的な人の顔と名前を思い浮かべながら、詳細に設定します。
ステップ2:カスタマージャーマップ から、マーケティングシナリオを作る
カスタマージャーニーマップとは、お客様が商品・サービスを購買する際に、欲しいと考えはじめた起点から、購入の意思決定、利用後のプロセスを感情や行動と企業とのタッチポイント(顧客接点)を書き出したものです。購入のピンポイントだけではなく、商品をなぜ購入しようと検討し始めたのか、ターゲットの行動や思考、感情を把握することで、どのタイミングで、どんな情報を提供すればよいのかを検討します。そのためにも、ターゲット設定は詳細にしておかなければなりません。
つまり、作成したカスタマージャーニーマップに基づいて、マーケティングのシナリオを作り、それをステップメールの流れや中身に反映させるのです。
関連記事:【3分でわかる!】カスタマージャーニーとは?カスタマージャーニーマップのメリット・活用法を徹底解説
ステップ3:配信と分析、改善
ステップメールを構築したら、いよいよ配信です。配信は、ステップメール機能のあるメルマガ配信スタンドや、マーケティングオートメーションツール(MA)を使うことで、自動化できます。資料請求など、お客様が目的の行動をとってくれさえすれば、その後は、ステップメールが自動送信され、お客様の行動をサポートしながら後押ししてくれる仕組みです。
データが蓄積されてきたら、配信結果とコンバージョンの状況を照合し、分析しましょう。分析結果を見ながら、少しずつ改善をしてコンバージョン率を上げていくのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。お客様の購買意欲を高め、コンバージョン率を上げられるステップメール。自社での活用シーンをイメージすることができたら幸いです。一度作ってみれば、その効果を体感することができますし、メルマガ施策を既にされているのであれば、インフラは整っているので導入のハードルも下がりますね。ぜひ、ステップメールを活用してみてください。
関連記事:関連記事:【2022年】読まれるメルマガの作り方!7ステップのコツを徹底解説
関連記事:関連記事:メルマガの平均クリック率とは?クリック率を上げる10の方法をご紹介!
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841