近年、多くのBtoB企業がリード獲得やナーチャリングを目的としたウェビナー施策を実施しています。オンラインで実施するウェビナーは、低コストで多くの見込み客にアプローチできる手法ですが、費用対効果を最大化させるためには集客施策が要となります。
ウェビナーの集客方法としてWeb広告やメール配信の活用が増加していますが、顧客との対面機会の多い企業では、案内チラシの配布やDM送付も効果的な方法の1つです。株式会社IDEATECHのBtoB企業向け調査によると、ウェビナー開催にあたり「18%の企業がダイレクトメールを活用し、8%がチラシ・ポスターで告知している」と判明しています。
そこで当記事では、ウェビナーの集客で効果を発揮する案内チラシの概要や作成のポイント、無料で使えるテンプレートを紹介します。これからウェビナーを本格的に展開するにあたり「集客に効果的なチラシのコツやテンプレートを知りたい」という方は、ぜひお役立てください。
目次
ウェビナー案内チラシの作成目的と活用法
ウェビナー案内チラシの作成・配布目的は、オフラインでの集客にあります。複数の店舗を展開しており、顧客との対面機会が多い企業では、チラシがあることで効果的に告知ができるでしょう。また、デジタル活用があまり進んでおらず、DMやFAXのほうが好まれる業界・企業では、チラシ送付により、参加を検討してもらいやすくなるでしょう。
案内チラシには、紙面に「問い合わせ先」「問い合わせフォームに遷移するQRコード」などのCTAを設置し、チラシ経由でウェビナー参加者の申込を促進します。
チラシ以外の告知方法
ウェビナーの集客方法は、チラシ以外に以下のような選択肢があります。ウェビナーの目的や集客したい層、費用対効果も勘案しつつ、複数のチャネルを組み合わせて集客の最大化を目指しましょう。
集客方法 | 説明 |
---|---|
自社サイト、SNS | 自社サイトやSNSで告知と宣伝を行う |
メルマガ配信 | ハウスリストに、ウェビナーの詳細、登録リンク、開催日時などを記載したメールマガジンを送付 |
ウェビナー集客サイト | 「Web担当者Forum」「TECH PLAY」など、ウェビナーに関する情報をまとめたサイトに自社ウェビナーの情報を掲載(利用無料のサイトから、有料のものまで存在) |
PRリリース | 自社ウェビナーの情報を、PR Timesなどの告知サイトや業界内ニュースサイトなどでリリース |
広告出稿 | Web媒体に広告を出稿。なかでも、画像や動画で表示できるという特徴により、ディスプレイ広告・SNS広告が集客に効果的。 |
なお、ウェビナーの集客方法については以下の記事でも詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
関連記事:ウェビナーの集客方法5選!集客力と商談化率を高めるポイントを合わせてご紹介
ウェビナー案内チラシのメリット・デメリット
ここからは、案内チラシをウェビナーの集客に活用するメリット・デメリットを解説します。
メリット
実店舗を持つ企業やオフラインの顧客接点があるBtoB企業が、案内チラシでウェビナーの告知を行えば「手渡しやDMで、確実にターゲット層に情報を届けられる」というメリットがあります。
自社サイトやメルマガでの集客方法は、必ずしも情報を届けたい層が閲覧してくれるとは限りません。しかし、案内チラシなら手渡しや郵送により確実に手元に届き、ウェビナー開催を知らせることが可能です。「実店舗など、対面で顧客接点がある」「訪問営業を行っている」という企業は、直接チラシを手渡すことで目を通してもらいやすく、口頭でウェビナーの説明も補足できるでしょう。
製造業や建設業など、BtoBではアナログ文化が根付いている業界も珍しくありません。特に、700社以上の中堅・中小企業を対象に行った調査では、85%以上がアナログ手段で受注しているとのこと。
引用:I-WILL「700社以上の中堅・中小企業に、BtoB受注業務の実態を調査。85%以上がアナログ手段で受注。デジタル化により約8割が業務削減」
デジタルチャネルでの接点がない層にウェビナーの告知を行う際には、案内チラシの活用が効果的と考えられます。
デメリット
チラシを印刷し、配布するには予算・時間がかかります。特に高品質の印刷物を作成する場合や大量に配布するケースでは、多くの費用とチラシの物理的な保管場所が求められるでしょう。その他、郵送する場合には、発送費や業者への作業費も発生します。
加えて、アナログのチラシはデータ収集が難しいというデメリットもあり、チラシを「いつ、どのように受け取り、どこを重点的に見たのか」まで効果検証しづらい点もデメリットの1つ。案内チラシは「内容の改善につながるデータ」が集まりにくいため、デジタルでの集客と比較し、PDCAサイクルを回しづらい施策であるといえます。
ウェビナー案内チラシの作成・配布ステップ
ウェビナーの案内チラシを作成・配布する際には、以下の手順で行いましょう。
- Step.1:スケジュール設定
- Step.2:チラシデザインの制作
- Step.3:印刷
- Step.4:配布
それぞれについて、個別に解説します。
Step.1:スケジュール設定
まずは、ウェビナーの開催期間から逆算して「案内チラシの配布スケジュール」を決定しましょう。
一般的に、チラシ制作にはデザイン段階から発注、印刷まで含めて2週間〜1カ月は必要。ウェビナー本番日の1カ月前には配布を開始することを目指して、スケジュールを調整しましょう。
Step.2:チラシデザインの制作
ウェビナーの詳細が確定したら、チラシのデザインを行います。チラシデザインでは、以下を意識しましょう。
- ウェビナーの内容を視覚的に伝えるための「テキスト」と「画像」の配置
- ブランドイメージを反映したカラーやデザイン、ロゴ
- 過不足のない情報(例:開催日時や申込方法)
「実際に受け取る見込み客にとっての見やすさ、印象」を踏まえて作成する必要があります。
以下で無料のテンプレートを配布していますので、ぜひご活用ください。
Step.3:印刷
チラシのデザインが決定したら、印刷に移ります。印刷は自社で行うことも、プロの印刷会社に依頼することも可能。自社で印刷する場合は、プリントバックなどの格安印刷サービスを使えば低コストで対応できます。
Step.4:配布
チラシが納品されたら、配布や郵送を開始しましょう。店舗がある場合は、ラックに設置するのも良いでしょう。その他、訪問営業や業界イベントなどで手渡しするという手段もあります。
ターゲット層との限られた接点の中で、漏れなく配布するために、マーケティングだけでなく、営業などの他部門とも連携して配布のプランを練りましょう。
集客を最大化する!ウェビナー案内チラシのコツ3点
ウェビナー案内チラシの配布による集客効果を最大化させるために、以下のコツを意識しましょう。
- ターゲット層に刺さるデザイン
- 具体的な申し込み方法やQRコードを記載する
- 参加を後押しする要素を盛り込む
以下より、個別に紹介します。
1:ターゲット層が明確なデザイン
ウェビナー案内チラシのデザインを作成する際に重要なのが「配布するターゲット層の明確化」です。ターゲットを広く浅くするのではなく、極力絞り込むことで、チラシ配布による集客効果を高められます。
チラシという限られたデザインスペースのなかで、訴求効果の高いデザイン・キャッチコピーを制作するためには、受け取り手のニーズを絞り込むのが効果的。「自社のウェビナーをどのような層に視聴して欲しいのか」を定義した上で、以下の要素を意識して案内チラシを作成しましょう。
- ターゲット層の業界や年代に合わせたデザイン・カラーのテイスト
- ターゲット層に刺さるキャッチコピー
2:具体的な申し込み方法やQRコードを記載する
案内チラシにはウェビナーへの申し込み方法を明確に記載することが重要です。例えばウェビナーへの参加登録のためにはWebサイトのURLが必須である旨や、QRコードから申込ページに遷移できる情報などです。
引用:MIYAX「DXのはじめの一歩!セミナー のお知らせ」
案内チラシの役割は「配布して終わり」ではなく、集客にあることを意識しつつ、明確で分かりやすいCTAを設置しましょう。
3:参加を後押しする要素を盛り込む
案内チラシには「参加者のウェビナー参加を後押しする要素」を盛り込むと、より効果的です。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 参加費の割引・参加者特典の配布(例:「早期登録者には特別に20%割引!」)
- ウェビナー講師の専門性・権威性(例:「20年以上の業界経験を持つ、◯◯氏が登壇します」)
- ウェビナー後のフォロー体制の明記(例:「ウェビナー後のご質問やお問い合わせにお答えします」)
- 具体的な数値を用いた自社の実績の明示(例:「私たちは◯◯の業界で△△年の実績があります」)
- 過去の参加者の声(例:「具体的で実用的な情報が満載で、とても参考になりました」)
ただし、チラシのデザインスペース的に全要素を網羅することは難しいと考えられます。そのため「自社ウェビナーのターゲット像は、どのような不安を抱えているか」を明確化し、適切なオファー(アクションを促す文言)を盛り込みましょう。
案内チラシの掲載項目とテンプレート【無料ダウンロード可能】
ここからは実際のチラシ制作に向けて、ウェビナーの案内チラシに掲載するべき項目と、無料で活用できるテンプレートを紹介します。
案内チラシの掲載項目
ウェビナーの案内チラシには、以下のような項目を盛り込むのが一般的です。
関連記事:集客力UP!ウェビナータイトルの付け方とポイントを、タイトル例と共に紹介!
そのまま使える!オリジナルテンプレート
BtoB企業様のウェビナー告知でご活用いただける、オリジナルの「案内チラシ用テンプレート」を無料公開しています。案内チラシのデザインでお悩みの方は、ぜひ下記よりダウンロードください。
バリエーションを出したい方に!テンプレートサイト集
そのほかにも、無料で活用できるサイトをピックアップしましたので、こちらのテンプレートも合わせてご活用ください。
<案内チラシのテンプレートを公開しているサイト一覧>
パワポン | 全128点のPowerPointで使えるチラシのテンプレートが無料でダウンロード可能。 |
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ラスクル | 写真と文字を入れるだけでデザインが完成するテンプレートを利用可能。 制作時間は平均30分。 |
graphic.jp | 「セミナー・講演会」がテーマのチラシ・フライヤー作成に使える無料テンプレートもDL可能。テンプレート編集は無料で、そのまま印刷注文できる。 |
Canva | 無料のテンプレートと素材をDLし、プロ並みのおしゃれなデザインのチラシ・フライヤーを簡単に作成可能。 |
postermywall(※海外サイト) | 3,950種類以上のウェビナーをテーマにしたチラシのデザインテンプレートを利用可能(一部有料)。 |
envatoelements(※海外サイト) | 16.5米ドル/月で、1,268種類以上のウェビナーをテーマにしたチラシのデザインテンプレートを利用可能。 |
案内チラシ以外に、集客を最大化するために考えるべきこと
ウェビナーの集客時には、チラシでの案内以外にも次のような施策が有効です。
- 他社との共催
- 視聴者ファーストの配信体制
以下より、個別に解説します。
他社との共催
他社とウェビナーを共催することで、より多くの集客が可能となります。まだ知名度に乏しいBtoB企業は「そもそもチラシを配布しても反応率が悪い」ことが懸念されるでしょう。
そこで、すでに知名度があり、多くのウェビナーを開催している企業とウェビナーを共催すれば、多くの新規リード獲得が期待できます。
視聴者ファーストの配信体制
ウェビナーの開催でより多くの集客を実現するためには、ライブ配信以外にも視聴者に合わせた多様な配信体制を構築するのが有効です。
例えば、以下のような配信方法が挙げられます。
- アーカイブ配信(オンデマンド配信)
- ハイブリッド配信
アーカイブ配信(オンデマンド配信)は、録画したウェビナーをいつでも視聴できるように公開する手法を指します。
出典:MIL株式会社
録画したウェビナーを、自社サイトや動画サイトなどで配信する体制を整えれば、コンテンツを再利用しつつより多くの視聴者を獲得することが可能。ウェビナー開催には企画・準備・集客まで多くのコストが掛かりますので、ライブ配信のみの場合に比べて、投資対効果(ROI)の向上につなげられるでしょう。
その他、リアル会場で開催される対面型のセミナーと、Web会議システムなどを利用してオンライン上で行うセミナーを同時に開催する「ハイブリッド配信」の実施により、集客層の拡大が期待できます。
関連記事:ウェビナーアーカイブの配信方法&成果を出すポイントを解説!動画でリード獲得やナーチャリングを促進
まとめ
ウェビナーでより多くの集客をするために、ターゲット層に訴求したい内容を明確にして、伝わりやすい案内チラシを配布しましょう。特に、店舗を有しており顧客との対面機会の多い企業や、アナログのコミュニケーションが根強く残っている業界で有効な施策です。
ただし、案内チラシだけで集客効果を最大化することは難しいため、「他社と共催する」「視聴者ファーストを意識した配信体制を整える」など、仕組みレベルでの工夫も重要です。
自社のターゲットに合わせた戦略を練りつつ、ウェビナー施策の費用対効果を最大化させましょう。
執筆者
瀧口 愛
MIL株式会社 マーケティング
Web制作会社でサイト構築に従事後、MIL株式会社へ入社し、マーケティングチームに所属。ウェビナーや展示会実施の基盤を構築し、毎月のウェビナーやオフラインイベントの企画・運営全般を担当している。その他、メルマガ配信やマーケ全体の施策効果分析など、フィールドマーケティング領域全般を担う。