YouTubeの「ショート動画」が企業のマーケティング戦略として注目を集めています。長尺の動画よりも視聴しやすく、ユーザーを惹きつけやすいことから、YouTubeショートの活用に参入する企業も増えてきました。しかし、YouTubeショートの活用法が分からないという人も多いのではないでしょうか。
当記事では、YouTubeショートを企業が活用するメリットから、機能、投稿方法、効果的なYouTubeショートを作るコツまで、詳しく解説します。YouTubeショートで自社商品やサービスの認知度を上げたいマーケティング担当の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
YouTubeショートとは
YouTubeショートとは、最大60秒のショート動画(縦画面)を投稿できる機能です。2020年9月から実装されたサービスで、スマホアプリ上で簡単に動画撮影から編集・投稿まで行えます。
引用:日本版YouTube公式ブログ
スマホでの視聴が推奨されており、スマホ版YouTubeアプリの「ショート」というタブから視聴するのが一般的です。ショート動画はランダムに再生され、スクロールすることで次の動画へスキップできます。
日本版YouTube公式ブログによると、リリースから2年経たずして、YouTubeショートは毎月 15 億人の月間ログインユーザーが視聴をするほどまでに成長しています(2022年6月現在)。YouTubeショートはリリース当時は収益化できませんでしたが、2021年8月以降は、YouTube コミュニティの発展に寄与したクリエイターを対象に「YouTubeショートファンド」と呼ばれる基金から、収益が発生することとなりました。要件について詳しくは、YouTubeヘルプに記載されています。
従来の動画との違い
「従来のYouTube動画」と「YouTubeショート動画」の違いを以下の表にまとめてみました(2022年6月時点)。
YouTube | YouTubeショート | |
---|---|---|
視聴方法 | 動画をクリック(タップ) | 表示された動画をスクロール |
画面表示 | 「横画面」表示を推奨 | 「縦画面」表示を推奨 |
作成・投稿方法 | 撮影から編集まで機材を使い分ける必要あり | 撮影から編集まで公式の「YouTubeショートカメラ」で行える |
収益化 | 可能 | ショートファンドより可能 |
YouTube | 視聴方法: 動画をクリック(タップ) |
画面表示: 「横画面」表示を推奨 |
作成・投稿方法: 撮影から編集まで機材を使い分ける必要あり |
収益化: 可能 |
---|---|---|---|---|
YouTubeショート | 視聴方法: 表示された動画をスクロール |
画面表示: 「縦画面」表示を推奨 |
作成・投稿方法: 撮影から編集まで公式の「YouTubeショートカメラ」で行える |
収益化: ショートファンドより可能 |
通常のYouTubeとショート動画の違いは「最大60秒」という長さはもちろん、今トレンドとなっている「縦画面」であること。
「スマートフォンの動画視聴実態調査(モバーシャル株式会社)」によると、スマホの利用率が高い”20代”においては、およそ4割が「縦向きのみ」で動画を視聴していることがわかります。ショート動画はスマホユーザーに求められている「縦向き視聴」に最適な形と言えるでしょう。
縦動画については、以下の記事でもご紹介しています。
関連記事:YouTubeやSNSには「縦動画」が最適?事例・メリット・最新トレンドを紹介!
Instagramリール、TikTokとの比較
YouTubeショートと、Instagramのリール・TikTokとの違いは以下の通りです。
YouTubeショート | Instagramリール | TikTok |
---|---|---|
時間:最大60秒 | 時間:最大60秒 | 時間:15秒〜10分 |
ユーザー数:約6,700万人 | ユーザー数:約3,300万人 | ユーザー数:約1,690万人 |
BGM提供:あり | BGM提供:あり | BGM提供:あり |
YouTubeショート | 時間:最大60秒 ユーザー数:約6,700万人 BGM提供:あり |
---|---|
Instagramリール | 時間:最大60秒 ユーザー数:約3,300万人 BGM提供:あり |
TikTok | 時間:15秒〜10分 ユーザー数:約1,690万人 BGM提供:あり |
YouTubeショート最大のメリットは、ユーザー数の多さです。動画SNSの中でも最もユーザーの多い媒体であり、認知向上などの効果が見込めます。
YouTubeストーリーとの違い
YouTubeショートはストーリーより後発の機能になりますが、利用制限がなく、チャンネル運営者は誰でも投稿できるため、YouTubeストーリーよりもメジャーな機能となっています。一方、ストーリーは動画の尺が短く、7日間が過ぎると自動削除されるため、より気軽に投稿できる点がメリットです(7日を経過する前に削除も可能)。
※「ストーリー」の機能は2023年6月26日に終了となりました。
YouTubeショート | 投稿条件:誰でも可能 動画の長さ:60秒以内 表示期間:無期限 投稿頻度:無制限 表示場所:PC、モバイル端末 |
---|---|
YouTubeストーリー | 投稿条件:チャンネル登録者1万人以上 動画の長さ:15秒以内 表示期間:7日間 投稿頻度:7日に1回 表示場所:モバイル端末(アプリ)のみ |
企業がYouTubeショートを活用するメリット
続いて、企業がYouTubeショートを活用するメリットについて、主な4点をご紹介します。
- 幅広い年代のユーザーにアプローチできる
- パーソナライズ表示される
- チャンネル登録者数の増加につながる可能性がある
- 低コストで作成できる
それぞれについて詳しく解説していきます。
幅広い年代のユーザーにアプローチできる
引用:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
上記の総務省の調査からも分かるように、YouTubeはユーザーが多く、幅広い年代に視聴されています。老若男女問わずアプローチできるため、あらゆる商材のマーケティングに最適です。中でもYouTubeショートは、InstagramのリールやTikTokなどのSNSで日常的に短尺動画に親しんでいる「F1/M1層」との相性が良く、高い効果が見込まれます。
チャンネル登録者数の増加につながる可能性がある
短尺動画は拘束時間が少ないため視聴のハードルが低く、通常の動画より視聴されやすいのが特徴です。またYouTubeショートは、チャンネル登録者や再生数に関係なく表示される点も活用のメリットです。
チャンネル立ち上げ初期でも露出する機会が多いため、認知向上やチャンネルへの誘致に適しています。結果として、チャンネル登録者や、ショート動画以外の再生回数の増加が期待できます。
登録者の他、YouTubeチャンネル全体の効果分析について詳しくは「YouTubeアナリティクスの見方&5つの注目指標をわかりやすく解説!」の記事でご紹介しています。
パーソナライズ表示される
YouTubeショートは、Googleのアルゴリズムを活用しており、個人の興味関心に合わせてパーソナライズ表示されます。たとえば「金融系のショート動画を視聴する人には、同じように金融系やビジネス系のショート動画が表示される」という仕組みのため、自社商材への興味関心のあるユーザーと出会う機会が増加します。
関連記事:パーソナライズとは?重要性とメリット、施策例や注意点までわかりやすく解説
低コストで作成できる
YouTubeショートは、スマホで手軽に作成できる点も大きなメリットです。動画の撮影から編集、投稿までをスマホで完結できます。特別なカメラや編集ソフトは必要ないため、低コストでショート動画を作成できるでしょう。
またYouTubeショートは60秒以内の動画なので、撮影や編集の時間コストも最小限に抑えられます。ショート動画を量産すれば露出機会が増え、商品やサービスの認知度向上につながるため、費用対効果も高いと言えるでしょう。
YouTubeショートの機能について
続いて、YouTubeショートで活用できる機能について、具体的にご紹介します。
タイマー | 15秒もしくは60秒の動画を設定 |
---|---|
フィルター | 動画にフィルター加工を施す |
グリーンスクリーン | フォルダ内にある画像と被写体を合成して撮影 |
速度変更 | 動画の再生速度をあらかじめ設定可能 (0.3倍、0.5倍、1倍、2倍、3倍から選択) |
音楽の追加 | BGMを挿入 |
テキストの追加 | 動画にテキストを追加 |
YouTubeショートを作成する際は、これらの機能を活用してみてください。
YouTubeショートの投稿方法
YouTubeショートの投稿方法を、「スマホの場合」と「パソコンの場合」に分けて解説します。
スマホの場合
2.撮影画面に移行後、「赤丸の撮影ボタン」を長押し、またはタップして録画を開始し、もう一度タップして録画を終了します。
3.「完了」をタップし、撮影した動画を加工します。サウンドやテキスト、カット、フィルターなどの機能を活用し、編集を施しましょう。
4.編集が終わったら「次へ」をタップします。
5.動画のキャプションや公開範囲を設定します。
6.確認し、問題なければ「ショート動画をアップロード」をタップして完了です。
パソコンの場合
パソコンからは以下の手順で投稿ができます。
2.右上の「作成」から「動画をアップロード」を選択。
3.動画ファイルを選択。
4.タイトルか概要欄に「#Shorts」を記載して投稿したら完了です。
パソコンの場合は、以下の3点に注意して投稿しましょう。
- 60秒以内
- 正方形と縦型動画のみ
- タイトルか概要欄に「#Shorts」を記載
YouTube ショートの作成手順や使い方のヒントについて詳しくは、Youtubeヘルプでも動画付きで紹介されています。参考にしてみてください。
効果的なYouTubeショートを作成する3つのコツ
具体的な投稿方法について分かったところで、ユーザーに興味を持たせるような、効果的なコンテンツを作るコツについて解説していきます。
YouTubeショートを作成するコツは、主に以下の3点です。
- 定番の構成を作る
- 冒頭で惹きつける工夫をする
- テンポよく作る
それぞれについて、解説していきます。
コツ1:定番の構成を作る
何のためにYouTubeショートを活用したいのか?まず、目的を明確にします。
・商品・サービスの認知向上
・ブランディング
・チャンネル登録者数の増加 など
その上で、目的に合わせた「定番の構成」を作成しましょう。定番の構成を作ると、視聴者に覚えてもらいやすく、ファン化しやすい構造となります。固定の視聴者を獲得することで、商品やサービスの認知度も上がりやすくなるでしょう。
コツ2:冒頭で惹きつける工夫をする
ショート動画は、ユーザーに対してランダムに表示されます。そのため、冒頭1〜3秒で惹きつけなければ、すぐに次の動画にスクロールされてしまいます。冒頭部分でインパクトを与え、視聴者に疑問を沸かせたり、ワクワクさせたりと心を動かし、自分ごと化させる工夫が大切です。
例えば、子どもの教育に悩んでいる保護者向けのショート動画であれば「子どもの高校進学に悩んでいるそこのあなた」と、ターゲットに向けて言葉を投げかけてみましょう。すると対象のユーザーが興味を持ち、最後まで視聴してくれる可能性が上がります。
コツ3:テンポよく作る
YouTubeショートは「最大60秒」という制約の中でメッセージを伝えなければなりません。テンポやリズムが悪いと、視聴者にスキップされてしまいます。そのため余計な部分をカットし、テンポの良い動画を作るのがコツです。カット数を増やすだけでなく、再生速度を早めるなどの工夫も施してみてください。
まとめ
YouTubeショートは、低コストで多くのユーザーに発信できる点がメリットです。長尺動画よりも活用の幅は広いため、商品やサービスの特性に応じて、アプローチ方法を変えてみてくださいね。
執筆者
岡本 祐樹
MIL株式会社 インサイドセールス マネージャー
京都大学大学院を中退した翌月にITベンチャー企業に早期就職。SaaSのグループ会社にて大手企業の新規開拓営業を経験した後、IS代行のグループ会社に異動しコンサルティングに従事。動画編集フリーランスとして独立後、インタラクティブ動画マーケティングに可能性を感じ、2021年にMIL株式会社へ入社。ISの立ち上げをミッションに、既存顧客のデータからターゲティングとアプローチを繰り返し、日々多くのお客様の課題解決に伴走している。定期的にウェビナーにも登壇。