ウェビナーのおすすめ機材を映像ディレクターが解説!配信の注意点や費用対効果を高めるポイントも紹介

ウェビナーのおすすめ機材を映像ディレクターが解説!配信の注意点や費用対効果を高めるポイントも紹介

昨今、BtoB企業の営業活動がオンラインへシフトする流れが強まってきました。多くの企業が新規リードの獲得や、既存リードのナーチャリングを目的としてオンライン上で施策を行っており、ウェビナー施策に取り組む企業も増えています。ウェビナーで参加者の満足度を向上させ、成果に繋げるためには、講演内容だけでなく配信の質に配慮したウェビナー用の機材選びも大切です。

今回は、ウェビナー配信で必要最低限必要な機材に加え、高品質なウェビナーを配信するためのおすすめの機材を映像ディレクターが解説します。これからウェビナーを本格的に展開するにあたり「必要な機材を知りたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

ウェビナー企画・運営完全ガイド_900_280

BtoB企業が実施するウェビナーの種類

ウェビナーとは「Web」と「セミナー」をかけ合わせた用語で、「インターネット回線を通じて、オンラインで開催するセミナー」のことです。会場をレンタルしなくても実施できるため、開催コストを抑えつつ、幅広い層(例:遠方にいる参加者など)を集客できるというメリットがありますます

以前は会場で実施する「オフラインセミナー」が主流でしたが、2019年コロナ化以降は、すべてをオンライン上で行う「ウェビナー」が急速に浸透しました。株式会社シャノンの調査によると、調査対象のうち「2020年と比較して、2021年はウェビナーの視聴頻度が増えた」と回答した人は70.9%だったと判明しています。

さらに、コロナウイルスが5類に移行した現在では、オンライン・オフラインで同時に開催する「ハイブリッドセミナー」も増加しています。

ウェビナー機材_セミナー種類

なお、ウェビナーであっても一概に「低コストで開催できる」わけではなく、「配信環境」や「準備する機材」によって変動する点には留意しましょう。

ウェビナーに不可欠な5大要素 

ウェビナーはオフラインセミナーと違い、会場の用意などは不要です。しかし、実施にあたっては、「ツール」「人員」「場所」「配信環境」「機材」という、5つの要素が不可欠となります。

特に、本稿のテーマである「機材」については、ウェビナーの開催方式(例:オンラインのみか、ハイブリッド配信か)によって必要な機材や設備が異なります。ウェビナーの内容に合わせて、適切な機材を選択しましょう。

要素 概要
ウェビナー用ツール ウェビナーの配信や参加者管理、質疑応答などを行うためのツールもしくはプラットフォーム
人員 ウェビナーを実施するために必要な人員。

<例>
・主催者
・講演者
・モデレーター

場所 ウェビナーを行う物理的な場所。

<例>
・会議室
・外部スタジオ

配信環境 ウェビナー配信を安定して行うためのインターネット環境。
機材 配信方法に応じて異なる必要な機材や機器。

<例>
・カメラ
・マイク
・スピーカー
・PC

今回は、この5つの要素の中で「機材」に注目して解説していきます。

必要最低限のウェビナー機材 

ウェビナーを配信する際、最低限必要となるのは、以下の機材です。

  • カメラ・マイク付きのPC(パソコン)
  • インターネット環境

以下より、個別に説明します。

カメラ・マイク付きのパソコン(パソコン)

カメラとマイクがついていて、使用する配信用ツールの要件を満たすパソコンなら、最低限のウェビナー配信はできるでしょう。

例えば、主要なウェビナーツールであるZoomでは以下のような要件が定められています。

まずは、普段の業務で使用しているパソコンが、上記要件を満たすかどうか、確認してみましょう。万一新しく購入を検討するなら、以上を満たす製品の一例としては、デル・テクノロジーズ株式会社の「Inspiron 24 オールインワン」が挙げられます。低価格ながらも、Zoomで使用できる性能を持っています。

ウェビナー機材「Inspiron 24 オールインワン」

引用:デル・テクノロジーズ株式会社

インターネット環境

ウェビナーを安定的に配信するためには、安定したインターネット回線が必要です。可能であれば、なるべくWi-Fiではなく有線接続のインターネット回線に接続しましょう。Wi-Fiを使用する場合、テスト時には十分な速度が出たとしても、時間帯や同じ建物内でのインターネットの使用状況によっては、ウェビナー本番で回線が混雑する可能性があるためです。

Zoomを例にとると、以下の帯域幅が推奨されています。

  • 高品質ビデオでは 1.0 Mbps / 600 kbps(上り / 下り)
  • 720p HD ビデオでは 2.6 Mbps / 1.8 Mbps(上り / 下り)
  • 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
  • ギャラリー ビューでは 2.0 Mbps(25 名)、4.0 Mbps(49 名)

引用:Zoomサポート

ウェビナー配信の際は、少なくとも各ツールで推奨される帯域幅以上の通信環境を整えましょう。

高品質なウェビナー配信を実現する機材6選 

ここからは、高品質なウェビナー配信を実現する機材について紹介します。

  • 高スペックPC
  • インターネット環境(有線)
  • 音響(マイク)
  • 照明(ライト)
  • カメラ・三脚
  • その他

それぞれのオススメの商品と、選定のポイントをみていきましょう。

高スペックPC

より安定したウェビナーの配信を目指すなら、高スペックなPCが必要です。PCが「低価格すぎる」「古い機種」といった場合、処理能力が足りずライブ配信に対応できない可能性があるためです。

例えば、Zoomでは以下スペックのPCが推奨されています。

  • プロセッサがデュアルコア2Ghz以上(Intel i3 / i5 / i7 または AMD と同等)
  • RAM(ランダムアクセスメモリ)が以上

上記スペックを満たすPCの一例としては、米Microsoftの「Surface Laptop 4」が挙げられます。Laptop 4は、最も低価格の製品でも8GBのメモリがあり、 i5 /i7のプロセッサを搭載している機種ですので、より質の高いウェビナーのライブ配信を実現できるでしょう。 

ウェビナー機材「Surface Laptop 4」

引用:Microsoft

インターネット環境(有線)

ウェビナーを安定的に配信するためには、安定したインターネット回線が必要です。可能であれば、なるべくWi-Fiではなく有線接続のインターネット回線に接続しましょう。

Wi-Fiを使用する場合、テスト時には十分な速度が出たとしても、時間帯や同じ建物内でのインターネットの使用状況によっては、ウェビナー本番で回線が混雑する可能性があるためです。

音響(マイク)

PCに内蔵されているマイクでは音質が悪く、参加者にとって聞き取りにくいケースがあります。ストレスなくウェビナーを視聴してもらうため、集音性のあるマイクを使用しましょう。

なお、マイクを選ぶ際は指向性を確認しましょう。代表的な種類は以下の通りです。

  • 全指向性:全方位の音を拾う。音を広く収められるため複数人での会話を集音できる反面、会場内の雑音などが入りやすいデメリットも
  • 単一指向性:マイク前方の音のみを拾う。スピーカーの声をクリアに届けられるが、スピーカーひとりずつに用意したほうがよい

基本的には、「単一指向性」を使用するのがおすすめですが、初心者の場合はサンワサプライ株式会社の「USB コンデンサーマイク」のように、コンパクト・シンプルながらも指向性の切り替えが可能なタイプをおすすめします。

ウェビナー機材「USB コンデンサーマイク」

引用:サンワダイレクト

照明(ライト)

登壇者の表情を明るく見せるために、ライトを導入しましょう。例えば、小型のLEDリングライトをPC周辺に設置するだけでも、ウェビナー配信時の印象を向上させることが可能です。

ウェビナー機材「LEDリングライト」

引用:楽天

さらに凝ったライティングを行いたい場合、例えばNEEWER からリリースされている軽量で持ち運びもしやすい「NEEWER 2パック 二色480 LEDビデオライトキット」なら、白いディフューザーで光源を柔らかく照らし、肌の色合いを強調できますので、登壇者をより鮮明に写すことが可能です。

ウェビナー機材「NEEWER 2パック 二色480 LEDビデオライトキット」

引用:NEEWER 

カメラ・三脚 

スイスとアメリカに本社を置くロジクールのWebカメラ「LOGICOOL STREAMCAM」はフルHD1080pの解像度(60 fps)でストリームと録画を行うため、動きがスムーズなコンテンツを配信できます。さらには、自動フレーミングやインテリジェントな露出などの機能によって、照明の条件に左右されない安定した映像の質での配信が可能です。

ウェビナー機材「LOGICOOL STREAMCAM」

引用:ロジクール

また、別途カメラマンを用意する必要がありますが、複数人が登壇するウェビナーならアングルの調整ができるカメラを用意すると、さらにウェビナーの質を高められます。

例えば、SIGMAの「fp 45mm f2.8」も参考例として挙げられます。同製品は、フルサイズのミラーレスカメラで、高速・高精度のオートフォーカスなどの豊富な機能を搭載しています。

ウェビナー機材「fp 45mm f2.8」

引用:SIGMA

なお、PCに備え付けるタイプ以外の外部カメラを使用する場合には、カメラの位置を安定させるため三脚も用意しましょう。プロ仕様の三脚を用意する場合、1万円前後から購入可能です。

ウェビナー機材「三脚」

引用:manfrotto

あると便利な機材

他にも「ウェビナーでどういった表現をしたいのか」というニーズや目的に応じて「グリーンバックスクリーン」などの機材も検討するとよいでしょう。

ウェビナー機材「グリーンバック」

引用:Amazon

グリーンバックとは緑色のスクリーンの名称で、使用すれば、クロマキー合成した背景をより綺麗に映し出すことができます。「バックにそのままスライドを投影する」「スタジオ風の景色を映す」といった場合に使用すると効果的です。

ウェビナー機材_グリーンバック_クロマキー合成

出典:クロマキー合成とは?|グリーンバックの役割とおすすめ4選

ハイブリッドセミナー配信向けの機材2選 

オンラインとオフラインで同時に開催する「ハイブリッドセミナー」の配信では、会場用と配信用でそれぞれの機材と、機材を操作するスタッフが必要です。遠隔での登壇者がいる場合や参加者が発言をする場合には、配信システムも複雑になるため、イベント開催の難易度は高いといえるでしょう。

ウェビナーと比較して、ハイブリッドセミナーで別途準備する必要がある機材は、次のとおりです。

  • 音響(スピーカー)
  • 映像(エンコーダー・スイッチャー・キャプチャーボードなど)

それぞれについて、個別にみていきましょう。

音響(スピーカー) 

リアルの会場にも参加者を集めるハイブリッドセミナーの場合、より講演内容が聞き取りやすいようにスピーカーの導入も検討しましょう。

例えば、30名ほどが参加するハイブリッドセミナーの場合はヤマハ株式会社の「ユニファイドコミュニケーション YVC-1000」が非常に便利です。

ウェビナー機材「ユニファイドコミュニケーション YVC-1000」

引用:ヤマハ株式会社

YVC-1000は登壇者・参加者一人ひとりの距離が離れていても、子機を追加すれば各グループでスピーカーマイクを設置可能です。ハイブリッドセミナーでも、しっかりと集音しつつ、各参加者に音声を届けられます。

もうすこし規模の大きなセミナーを実施したい場合は、音量に加えて持ち運びのしやすさなどを考慮して選びましょう。機材のみレンタルできるサービスもあるので上手く活用すると良いかもしれません。

ウェビナー機材_スピーカー大_MM-SPAMP14_MX

引用:サンワダイレクト

また、広い会場や大人数のセミナーなどは、音響専門の業者に依頼するほうが良いでしょう。

映像(エンコーダー・スイッチャー・キャプチャーボードなど)  

ハイブリッドセミナーでは、適宜映像を切り替える必要があります。

PCに接続していないカメラの映像信号を配信用に切り替える」「映し出す映像を切り替える」などの処理を行うために、以下の機材の使用も検討しましょう。

  • エンコーダー:ビデオやオーディオのデジタル信号を圧縮し、エンコードする機器やソフトウェア。
  • スイッチャー:複数のビデオソースを入力し、切り替え・合成を行うための装置。
  • キャプチャーボード:スクリーンの映像、マイクの音声などをパソコンに取り込む装置。

例えば、濠Blackmagic Designの提供しているスイッチャー「ATEM mini」シリーズならあらゆるPCに接続でき、ワイドショットと各出演者のクローズアップなど、複数のカメラアングルを設定して切り替えられます。 

ウェビナー機材「ATEM mini」

引用:Blackmagic Design

ハイブリッドセミナーの開催が初めてで操作に自信がない場合や、今後の開催頻度が低い場合は、これらの機材を購入するのではなく「レンタルする」「スタジオを借りる」などの選択肢も検討すると良いでしょう。

安定的にウェビナーを配信するための注意点  

ウェビナーを安定的に配信するためには、以下の点にも注意が必要です。

  • 予備PCの準備
  • 遮音性のある空間

次項より、個別に解説します。

予備PCの準備 

ウェビナーはリアルタイムでの情報共有やコミュニケーションを行うイベントです。もし、メインで使用しているPCの故障や技術的な問題が発生した場合、接続が途切れ、ウェビナーが中断される恐れがあります。

ウェビナー配信中にPCの故障や問題が発生した場合に備えて、予備のPCも用意しておくと、より安心です。

遮音性のある空間

ウェビナーの品質向上と参加者の視聴体験を向上させるためには、遮音性のある空間も確保しましょう。外部の騒音やエコーを最小限に抑えるためには「最初から遮音環境の整ったスタジオを借りる」「音響処理を行う(室内の音響環境を最適化する)」なども有効です。

音響処理とは、吸音材や反射板を設置し「室内の音響特性の調整」「エコーの抑制」に繋げることで、室内の残響や反響を減らす技術です。

なるべく静かな環境を準備すれば、参加者により快適な視聴体験を提供できます。

関連記事:ウェビナー スタジオ

ウェビナーの費用対効果を最大化するポイント 

高品質なウェビナーを実施しつつウェビナーの「費用対効果」を最大化する上では、次の施策も有効です。

  • 他社との共催
  • アーカイブ配信(オンデマンド配信)

以下より、個別にみていきましょう。

他社との共催

他社と共催することで、より多くの参加者をウェビナーに集客できます。

例えば、ターゲットユーザーが共通している、かつ、十分な集客チャネルを保有している企業とタッグを組み、お互いリードを交換することで費用対効果を高めることが可能です。

関連記事:ウェビナーの集客方法5選!集客力と商談化率を高めるポイントを合わせてご紹介

アーカイブ配信(オンデマンド配信)

ウェビナーインサイドセールス_セミナー情報

引用:MIL株式会社/セミナーアーカイブ

ウェビナーには、機材の購入費用や企画・運営のリソースが必要なため、「開催して終わり」にすると費用対効果が悪化しやすくなります。

一度制作したコンテンツを最大限活用するためにも、ライブ配信だけでなく、アーカイブ配信(オンデマンド配信)を行います。アーカイブ配信やオンデマンド配信とは、録画した映像をWeb上に公開する手法です。

継続的に成果物の再利用ができるうえ、時間や場所を問わず、より多くの見込み客に視聴してもらえ、費用対効果の最大化に繋げられます。

関連記事:ウェビナーアーカイブの配信方法&成果を出すポイントを解説!動画でリード獲得やナーチャリングを促進

まとめ

ウェビナーは最低限「カメラ・マイクつきのPC」「インターネット回線」があれば配信できます。さらに参加者の満足度を高めるためには、PCやインターネット回線をより高品質なものにし、その他のウェビナー用機材も併用するのが効果的です。

ウェビナーの費用対効果を高めるためには「ただ配信をする」のではなく「他社と共催し、より多くの視聴者を集める」「アーカイブ配信(オンデマンド配信)でより多くの人に見てもらう」などの施策も有効です。適切な機材を使った高品質な視聴体験を、より多くの方へ届けましょう。

ウェビナー企画・運営完全ガイド_900_280

執筆者
瀧口 愛

MIL株式会社 マーケティング

Web制作会社でサイト構築に従事後、MIL株式会社へ入社し、マーケティングチームに所属。ウェビナーや展示会実施の基盤を構築し、毎月のウェビナーやオフラインイベントの企画・運営全般を担当している。その他、メルマガ配信やマーケ全体の施策効果分析など、フィールドマーケティング領域全般を担う。

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