魅力的なウェビナー資料の作り方・構成をテンプレートを用いて分かりやすく解説!

昨今、BtoB企業がリード獲得・ナーチャリングを目的としてウェビナーを開催するケースが増加しました。

ウェビナーの運営を担当している方の中には、「わかりやすい資料を作成し、内容の理解を促進したい」「アンケート回答特典として魅力的な資料を作りたい」「資料に注目を集め、ながら見や視聴離脱を防ぎたい」などと、効果的な「資料(スライド)」の作成方法を探っている方も多いのではないでしょうか。実際に、株式会社キャスターが2021年に発表した調査データによると、調査対象の全国の経営者・会社員 172名のうち、68.6%がウェビナーの資料作成に課題を感じていると判明しています。

今回は、ウェビナーの運営を担当しているBtoB企業のマーケティング担当者に向けて、ウェビナー資料の基本構成や作成のポイントを解説します。「魅力的なウェビナー資料の作成方法がわからない」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 

ウェビナー企画・運営完全ガイド_900_280

ウェビナー資料(スライド)の役割とは?  

ウェビナーは「Web」と「セミナー」を組み合わせた造語で、インターネット回線を通じてオンラインで行うセミナーを指します。ウェビナーでは、「オフラインセミナーではアプローチできない層を集客できる」「既存リードへのナーチャリングにも活用しやすい」というメリットがあります。

ウェビナ―では、講演内容をより理解してもらいやすくするために、PowerPointやGoogleスライドなどで作成した資料を用いて、参加者に提示するのが一般的です。

ウェビナーで資料を表示すれば、ウェビナ―の内容が参加者の記憶に残りやすくなります。ある研究では、講義の3 日後、ユーザーは書き言葉または話し言葉の情報を10~20%しか保持していなかったのに比べ、視覚情報のほぼ65%を保持していたことがわかりました。「データや概念を視覚的に表現するグラフや図表」「講演内容の要点」をビジュアル化することで、参加者に、より強い印象を残すことができるでしょう。

または、アンケートの回答率アップにも活用できます。「アンケートに回答するとウェビナーのスライドや追加資料へのアクセスができる」といった特典を設けることで、アンケート回答率の向上も期待できます。

「ウェビナーの資料」と「オフラインセミナーの資料」の違い 

ウェビナーとオフラインセミナーで使用する資料は、それぞれ異なる形式で提供されるため、配布方法や使用用途にも以下のような違いがあります。

ウェビナーとオフラインセミナーで使用する資料は、それぞれ異なる特性を持っているため、注意すべき点もあります。

例えば、参加者に資料を送付したい場合、ウェビナーでは「ファイル容量が大きすぎて、参加者がなかなかダウンロードできない」「参加者側の環境でファイルを開くと、文字化けが起こる」などの可能性が考えられます。ウェビナーで配布する資料は「デジタル媒体のものである」と念頭に置き、送付する際には対策しましょう。

ウェビナー資料の代表的な構成をテンプレートを基に解説   

ここからは、ウェビナー資料の代表的な構成について紹介します。

前提として、ウェビナーは次のように3つのパートで成り立っています。

  • 1.冒頭
  • 2.ウェビナー本編
  • 3.終了後の案内

以下より、それぞれのパートで使用する資料の構成について、実際の例を交えながらご紹介します。

1.冒頭

冒頭部分には、以下のようなスライドを組み込みます。

  • 表紙
  • 注意事項などのルール説明
  • 登壇者/会社紹介
  • ウェビナーのサマリー

各ページの資料例について、個別に見ていきましょう。

表紙

資料の表紙は、ウェビナーが開始するまでの「待機時間」に画面へ投影します。冒頭の挨拶の時間にも、表紙を使用してよいでしょう。このページでは、参加者が「自分が申し込んだもので間違いない」と判断できるように、特にウェビナーのタイトルなどをわかりやすくしましょう。

表紙資料には、次の内容を記載するのが一般的です。

  • ウェビナーのタイトル
  • 開催日時
  • 登壇者の顔写真や名前、所属企業、役職
  • ウェビナーのサマリー
  • など

また、スペースがあればタイムテーブルなどを記載すると親切です。

関連記事:ウェビナー 開始前スライド

注意事項などのルール説明

ウェビナーの開始直後には録画やスクリーンショットなど、参加者へ禁止事項を説明しておく必要があります。

なお、ウェビナー中に質問受付を行う場合は「質問はチャット機能から、ご質問を記入・送信ください」といった形で、質疑応答の手順を説明するスライドも作っておきましょう。

登壇者/会社紹介

BtoB企業のウェビナーでは、参加者との関係構築のため、開始前に登壇者の紹介を行うのが一般的です。参加者に「権威性・専門性のある講演」だと理解してもらえるように、登壇者紹介の資料には、ウェビナーのテーマに関連する経歴などを記載しましょう。

なお、登壇者紹介のパートでは、会社やサービス紹介を行うケースもあります。参加者の中には、ウェビナータイトルや講演内容に惹かれて参加したが、主催企業や提供している商材については「よく知らない」という人もいるためです。自社の事業やサービス内容について、手短に説明する資料を準備しましょう。

ウェビナーのサマリー

ウェビナー本編に入る前には「講演内容」のサマリーを提示します。

講演の冒頭で「このウェビナーは、こういった内容を伝えます」と参加者に伝えると、参加者が「自分がどの部分を聞きたいのか」「自分がこのウェビナーで何を知りたいのか」を再度認識することが可能です。

ウェビナー全体の構成を踏まえて視聴してもらうと、理解を深めてもらいやすくなるでしょう。

2.ウェビナー本編

ウェビナー本編部分の資料では、参加者にとって必要な情報を、過不足ないページ数で伝える必要があります。資料作成代行サービス「c-slide」によると、本編部分も含めた資料全体のページ枚数は「講演時間 × 1〜1.2ページ」ほどが目安のことです。

スライド枚数は、ウェビナーのタイムテーブルや情報量に応じて、適宜調整しましょう。

本編部分で使用する資料には、図表やグラフも用いつつ、端的でわかりやすい内容にすることが必要です。参加者を惹きつける資料作りのテクニックについては後述します。

3.終了後の案内

ナーチャリングの効果を高める上では、その後も接点を維持し続けることが必要であるため、ウェビナー終了後の案内も大切です。例えば「次回開催予定のウェビナーの案内」などの資料を作成して、アナウンスしましょう。

ウェビナー終了後のタイミングでは、以下のような案内をするとよいでしょう。

  • 次回ウェビナーの告知
  • アンケートの回答依頼(特典として、ウェビナーで使用した資料を送付)

ウェビナー後のアクションを促進するための重要なページになりますので「QRコードが見やすいか」「特典内容が魅力的に映るか」といった点に注意し、魅力的な資料にしましょう。

参加者を惹きつける!ウェビナー資料作成のポイント4点 

参加者を惹きつけるウェビナー資料作成のポイントは、以下のとおりです。

  • 1スライドで1メッセージ
  • アニメーションを多用し過ぎない
  • スライドサイズを16:9にする
  • 画面共有用と配布用の2種類を用意する

それぞれについてご説明します。

1スライドで1メッセージ

ウェビナーで用いるスライドは「スライド1枚につき、1つのメッセージ」が基本です。1枚のスライドに複数の内容が持ち込まれると情報過多の状態になり、かえってわかりづらい内容になってしまうためです。

伝えるメッセージや文字数を絞り込み、テキストや図表、グラフ、イラストなどを大きく入れて、全体的にスッキリと見せましょう。

参加者は、スマートフォンなど小さなモニターのデバイスでウェビナーを視聴する可能性もあります。資料作成時には「見やすさ、わかりやすさを意識してシンプルにまとめる」「メインメッセージの文字は16〜18ptなど読みやすいサイズにするといった配慮が必要です。

用語の定義やデータの解説は、長々と書き込むのではなく、資料上では要点だけに留めます。必要な情報はウェビナー中に口頭で説明することで、参加者が資料を「読みすぎる」状態を防ぎつつ、講演に集中してもらいやすくなります。

 

アニメーションを多用し過ぎない

PowerPointやGoogleスライドで作成する資料では、アニメーションを使った演出も可能です。アニメーションありのスライドは、視覚的に印象に残る使い方をすれば参加者の理解促進に役立ちますが、過度なアニメーションの使用は厳禁です

一度のウェビナー中に派手なアニメーションを多用すると、参加者の集中力を妨げる恐れがあるためです。また、アニメーションを使用するためにスライドの余白部分が多くなってしまうと、参加者は一見して「何についてのパートなのか」がわかりにくくなるという側面もあります。

そのため、アニメーションは「質疑応答で参加者に質問考えてもらっている間の待ち時間中」「ウェビナー中でも特に強調したい内容」などのタイミングで活用しましょう。

スライドサイズを16:9にする

ウェビナーで使用するスライド資料は、16:9のサイズで作成しましょう。PCやスマートフォンのディスプレイは、16:9の比率が採用されている製品が多いため、それに合わせて資料を作ることで参加者側の見やすさを担保できます。

ただし、4:3は、A4サイズでの印刷に最適な縦横比であるため「ウェビナーで使用した資料を、オフラインイベントや展示会、見込み客への配布に活用する」という場合は、適宜調整しましょう。

画面共有用と配布用の2種類を用意する

参加者の満足度アップや協力企業とのトラブル回避の観点から、当日使用する資料と配布用の資料はそれぞれ別で作成しましょう。

もちろん、当日使用する資料をそのまま配布できるなら問題ありません。しかし「外部に公にしたくない自社の事業戦略」「統計情報やアンケート調査結果など、自社が有料で提供している情報」などの記載がある場合は、リスクヘッジのためにも該当箇所を削除した配布用資料を用意しておく必要があります。

ウェビナー開催後、資料を共有する意味とその方法 

ナーチャリングの効果を最大化させるため、ウェビナー開催後は、講演中に使用した資料を参加者に共有しましょう。代表的な方法としては、以下の2パターンです。

  • パターン①:ライブ配信のアンケート回答後に資料のダウンロードURLを送付
  • パターン②:アーカイブ配信を行い、視聴用URLと共に資料のダウンロードURLを送付

次項より個別に解説します。

パターン①:ライブ配信のアンケート回答後に資料のダウンロードURLを送付

このパターンは「ウェビナーのアンケートに回答した参加者へ、資料のダウンロードリンクやQRコードを表示する」「アンケート回答後にメールで資料のダウンロードURLを送付する」方法です。

資料をアンケート特典とすることで、参加者のアンケート回答率アップが期待できるでしょう。オックスフォード大学の実験結果によると、アンケート調査で回答者に何かしらのインセンティブを用意した場合の回答率の平均増加率は、金銭的報酬の場合は 19.1%、非金銭的報酬では 7.9 だったとのことです。

アンケートは参加者の反応や感想を測定する重要な手段であり、次回以降のウェビナーの改善点を見つけるのに役立つため、長期目線で効果的な手法といえます。例えば、アンケートを通じて「参加者がウェビナー中に疑問に感じた箇所」や「講演時間の長さ・速度が適切だったか」を問うことで、自社ウェビナーの改善箇所を把握し、次回のウェビナー内容の改善に役立てられるでしょう。

さらに、「参加者が今後希望するアクション」を問う設問からは、「個別商談希望」「資料送付希望」などのニーズを把握できます。回答を確認次第、「インサイドセールスが直ちに架電して商談化に繋げる」「興味関心に沿ったメールを送ってナーチャリングする」といった直接的な営業活動へ活かせるでしょう。

また「関心のある項目」や「今後視聴したいウェビナ―」などの項目を設ければ、参加者がどのような課題を抱えており、何に関心があるのかを把握することができます。興味関心に沿った適切な内容のメールを配信することで、ナーチャリングの効果も高められるでしょう。

パターン②:アーカイブ配信を行い、視聴用URLと共に資料のダウンロードURLを送付

「アーカイブ配信」とは、録画保存したウェビナーを後から配信する方法です。ライブ配信と違い、視聴者自身の都合に合わせていつでも視聴できるため、より多くのリード獲得に活かせると、多くのBtoB企業が取り組んでいます。

アーカイブウェビナーを告知する際は、動画だけでなく、資料もセットで共有するとアピールすることで、より多くの申込(リード獲得)が期待できるでしょう。資料が得られることで、アーカイブ動画を視聴する参加者の、ウェビナー内容の理解促進・満足度アップにもつながります。資料を共有する方法は、視聴用URLを送付するメールに、資料のダウンロードURLも一緒に記載するのみです。

ウェビナーのアーカイブ配信について詳しくは、以下の記事でご紹介しています。合わせてお読みください。

関連記事:ウェビナーアーカイブの配信方法&成果を出すポイントを解説!動画でリード獲得やナーチャリングを促進

関連記事:ZoomウェビナーのQ&A設定方法とは?質疑応答を活性化させる3つのコツとともに紹介

まとめ

ウェビナーで使用する資料は、参加者の集中力を維持し、講演内容に対する理解促進を図るための重要な要素です。「メッセージを詰め込みすぎない」「アニメーションを過度に使用しない」などのポイントを踏まえ「端的でわかりやすい」資料を作成することで、伝えたいメッセージがさらに伝わりやすくなるでしょう。

また、ウェビナーの資料は「アンケート回答特典」としての役割も果たします。参加者が「資料を業務に活用したい」「資料を入手して、社内に共有したい」と思わせるような魅力的な資料を作成すれば、アンケートの回答率向上が期待できます。アンケートの回答内容に合わせて個別にアプローチする、メール配信をするなどを実施して、ウェビナーから適切なナーチャリングへとつなげていきましょう。

 

ウェビナー企画・運営完全ガイド_900_280

執筆者
瀧口 愛

MIL株式会社 マーケティング

Web制作会社でサイト構築に従事後、MIL株式会社へ入社し、マーケティングチームに所属。ウェビナーや展示会実施の基盤を構築し、毎月のウェビナーやオフラインイベントの企画・運営全般を担当している。その他、メルマガ配信やマーケ全体の施策効果分析など、フィールドマーケティング領域全般を担う。

インタラクティブ動画ならMIL

インタラクティブ動画ならMIL

MILであれば、インタラクティブ動画を素早く編集でき、動画配信後の測定結果はレポート画面より確認できます。インタラクティブ動画の制作から運用まですべての機能をプラットフォーム化し、動画PDCAを回します。