ダイレクトメール(DM)とは?効果や、種類別の特徴・メリット・デメリットを徹底解説

ダイレクトメールとは

個人宛に確実に情報を届けることのできるマーケティング施策として、多くの企業が「ダイレクトメール(DM)」を実施しています。この「ダイレクトメール」にはいくつか種類があり、どのような情報を顧客に届けたいかにより、適したタイプが異なります。当記事では、ダイレクトメールの効果や、種類別のコストやメリット・デメリットを徹底的に解説。ダイレクトメールの運用・効果を最適化するための、ヒントになれば幸いです。

DMのテクニック集&書き方ガイド

ダイレクトメール(DM)とは

ダイレクトメールとは、販売促進やマーケティングを目的として、顧客や見込み客に印刷物やEメールなどを直接送ることです。英語の表記「Direct Mail」を略してDMと呼ばれています。ターゲットとなる個人や法人に向けて、商品やサービスを宣伝するために送ります。
DMとは

<ダイレクトメール(DM)の例>
●塾・通信教育機関:受験を控えた年齢の子どもがいる家庭宛に、案内パンフレットを送る
●コンサルタント会社:企業宛に、研修やセミナーのパンフレットを送る

※TwitterやInstagramなどのダイレクトメッセージも「DM」と略されることがありますが、チャットのようなやり取りのことを示しており、今回の記事とは別の内容になります。

ダイレクトメール(DM)の目的、効果

ダイレクトメールの効果には、次の3つがあります。

  • プッシュ型のマーケティングができる
  • 顧客に合わせたOne to Oneマーケティングができる
  • 効果が測定しやすい

それぞれについて、ご説明します。

目的・効果1:プッシュ型のマーケティングができる

マーケティング手法を大きく2つに分けると、プル(PULL)型プッシュ(PUSH)型があります。プル型とは、不特定多数の見込み客がアクセスできる入り口を用意し、アクセスを待つ受動的な手法です。プッシュ型とは、顧客や見込み客にダイレクトにアプローチする能動的な手法です。

Web広告やSNS発信などはプル型ですが、ダイレクトメールはプッシュ型にあたります。ダイレクトメールの活用により、顧客のアクションを待たずして、企業は自由なタイミングで情報を届けることができます。顧客や見込み客がその情報を必要としているタイミングに合致すると、申込や購入につながる効果があります。

目的・効果2:顧客に合わせたOne to Oneマーケティングができる

One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりに合わせてマーケティングを行うことです。顧客の購入履歴や閲覧履歴などから割り出した、個人の興味・関心に合わせた販売促進手法となります。

企業としては、ターゲットに向けて適切なアプローチを行うことで、販売促進を高める狙いがあります。顧客が自分向けのアプローチだと感じることができれば、商品やサービスの購入につながりやすく、結果として費用対効果が高くなります。

目的・効果3:効果が測定しやすい

不特定多数の見込み客にアプローチする手法だと、何が効果的だったのか把握しづらいですが、顧客に直接アプローチする手法であれば、顧客の属性情報と組み合わせて効果の測定を多面的に行うことができます。例えば、どの年齢層の顧客の反応率が高かったか、どの地域の購入率やリピート率が高かったかなど、顧客の属性情報とレスポンス内容をかけあわせた、より明確な計測が可能です。

得られたデータを分析し、次の企画に活かすことで、より効果的なマーケティング施策へとつなげます。

関連記事:ダイレクトメール(DM)の効果はどれくらい?開封率、反応率を上げる方法も解説

ダイレクトメール(DM)の注意点

ダイレクトメールは、個々の顧客や見込み客に向けて、より適した情報発信を行える効果的な手法ではありますが、注意が必要です。

まず、ダイレクトメールの送付先である、ターゲットの個人情報を事前に収集する必要があります。そのためには、アンケートを実施したり、安価なフロントエンド商品を先行販売したりと、手間や時間がかかります。さらに、収集した個人情報は取り扱いに注意が必要であり、厳重な管理が求められます。

そして、ダイレクトメールを送付したとしても、開封されない可能性もありますし、送付タイミングや回数によっては顧客に迷惑だと拒否され、企業イメージを損ねる場合もあります。

こういった注意点を認識して十分な対策を取りながら、ダイレクトメール施策を実施すると良いでしょう。

ダイレクトメール(DM)の種類

ダイレクトメールは、大きく分けると、以下の3種類があります。

  • 郵送DM:法人や個人の若年層から高齢者層まで、あらゆるターゲットに適する
  • Eメール:法人や個人の若年層から中高年層向け
  • FAX DM:主に法人向け

この3種類について、コストやメリット・デメリット、利用シーンを紹介します。

郵送DM(コスト/メリット・デメリット/利用シーン)

郵送DMとは、印刷物を郵送するダイレクトメールです。例えばハガキ、封書、情報誌やカタログ、パンフレットといったものがあります。ハガキは最もコストが低く、定形ハガキや往復ハガキ、圧着ハガキなどさまざまな種類があり、目的に合わせて使い分けます。

ノベルティなど形あるものを送付でき、一度に届けられる情報量が多いことが特徴で、一般的にダイレクトメールというと郵送DMのみを指す場合も多く、メジャーな手法です。

郵送DMのコスト

郵送DMのコストは、送る内容と量によって変わります。また、封入物が増えると、1通あたりのコストが上がります。以下に、郵送DMコストの一例をご紹介します。

<原稿印刷から発送までの工程をDM発送代行会社に依頼した場合、1通あたりのコスト>
ハガキDM:約70円
圧着ハガキDM:約90円
封書DM:約80円
A4サイズのカタログやパンフレット:約70~130円(※重さやページ数により異なる)

郵送DMのメリット

郵送DMのメリットは、以下の2点です。

  • 物理的に目に入り、商品やサービスについて思い出させる効果がある
  • 行動喚起力が強い

まず、手元に紙が来るので、開封の有無に関わらず、物理的に社名を目にする機会を生み出し、商品やサービスの存在を思い出させる効果があります。またノベルティやサンプル、カタログやクーポンなどは捨てずに使用される可能性もあり、長期間に渡って存在を訴求できます。宛先の顧客だけでなく、家族も目にしたり、職場に届いた場合は職場で回覧してもらえたりと、周囲の人にも情報が届く可能性があるのが、郵送DMならではのメリットです。

2点目に、顧客や見込み客に行動を起こさせる、行動喚起力が強いというメリットがあります。一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2020」によると、印刷物のダイレクトメールの開封・閲読率は63.1%であり、開封後に「話題にした」「インターネットで調べた」「来店した」といった行動をとった比率は15.1%でした。その行動の種類もクチコミ入力やサイトへのアクセス、来店などさまざまで、クロスメディアの起点であることがうかがえます。中でも、「ネットで調べた」という人が6.7%、「ネット上の掲示板等に書き込んだ」という人が0.4%おり、Webへの誘導に効果的なようです。
DMを受け取った後の行動
引用:一般社団法人日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2020」

郵送DMのデメリット

郵送DMのデメリットは、3点が挙げられます。

  • コストがかかる
  • 工程が多く、時間がかかる
  • 効果測定がしにくい

郵送の場合、EメールやFAX DMと比べると、印刷や発送費などコストが多くかかります。原稿印刷から発送までをDM発送代行会社に依頼する場合であっても、原稿やノベルティ作成のコストがかかります。また、顧客の住所変更があると不着・戻りが発生してしまいます。また内容物の企画から発送までの工程が多いため、作業時間もかかります。

さらに、EメールのDMと比べると、効果測定しにくい側面があります。顧客がどの内容物に最も反応したか、どんなタイミングで開封したかなどのデータは、顧客からのアプローチがないと収集できません。そのため、郵送DMにおいては、QRコードを掲載してWebサイトへ誘導する仕組みをつくると良いでしょう。そのためには、Webサイトへアクセスしたくなるような特典・キャンペーンなど、合わせて企画する必要があります。郵送DMからの引き上げ率(開封率・反応率)をどのように高めるか、を事前に企画しておくことが重要です。

郵送DMに適した利用シーン

郵送DMは、実物を手に取ってもらえる強みがあり、有形商品や実店舗のある場合や、子どもを対象とした通信教育などの商材、高齢者層を対象とした通信販売などに特に適しています。DMを見て、サービスや商品への興味を高め、家族や周囲の人と会話をしながら、詳しい情報をWebサイトで得てもらう(もしくは店舗へ行く)というような顧客体験の流れを作ると良いでしょう。
郵送DMに適した利用シーン

<郵送DMの例>
・新講座のカタログ
・新商品ノベルティの送付
・バースデー特典の案内
・期間限定キャンペーンのお知らせ
・季節の新商品のお知らせ
・ポイントのお知らせ

Eメール(コスト/メリット・デメリット/利用シーン)

Eメールによるダイレクトメール(=メルマガ)とは、顧客のメールアドレスにメールを送る手法です。コストや時間があまりかからず、文面さえできればスピーディに一斉送信できる点が特徴です。そのため、緊急告知や直近のキャンペーン案内などに適しています。

Eメールのコスト

Eメールによるダイレクトメールは、通常のメールソフトを使用する場合は、コストがほぼかかりません。クラウド型のメール配信システムを利用する場合は、月間のメール配信数や宛先数、送信元アドレス数によってコストが変わります。例えば、メール配信数が月間6,000通、宛先数が500アドレス、送信元アドレスが2つの場合は月額8,000円程度が相場です。この他、初期手数料(1万円程度)が発生する場合もあります。

Eメールのメリット

Eメールのメリットは、以下の5点です。

  • 低コスト
  • 企画から送信まで短時間で実行できる
  • ユーザーの特性ごとに細かくセグメントできる
  • Webサイトに誘導しやすいる
  • 効果測定が可能で、改善しやすい(到達率・開封率・クリック率)

印刷費や郵送費が必要な郵送DMと比較すると、Eメールは低コストで実施することができます。また、文面さえ用意できればすぐ発信できるため、企画段階から送信までが短期間で済み、タイムリーな案内ができます。そして電子媒体という特性から、URLのリンクをクリックしてもらうだけで、自社のWebサイトに誘導できます。送信対象を細かくセグメントしてコンテンツを送り分けたり、到達率や開封率、クリック率などのデータを取得できたりするメリットもあります。

Eメールのデメリット

Eメールのメリットは、以下の3点です。

  • 郵送DMに比べて開封されにくい
  • 迷惑メールに振り分けられる可能性もある
  • 高齢者層・子ども層など、ターゲットによっては届きにくい

Eメールのデメリットは、郵送DMに比べて開封されにくい点があります。顧客のアドレスが変更されていればそもそも届きませんし、迷惑メールとして認識されてしまうと、迷惑メールボックスに振り分けられることもあります。顧客によってはメールが大量に届いている場合もあり、差出人やタイトルが顧客にとって興味を引くものでなければ、読まずに削除される可能性もあります。また高齢者層や子ども層は、Eメールでのダイレクトメールが届きにくいというデメリットがあります。目的・ターゲットを踏まえた上で、郵送DMと使い分けると良いでしょう。

メルマガの開封率を高めるヒントは、以下の記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。
関連記事:関連記事:【2022年最新】メルマガ開封率の平均値とは?効果測定と開封率を上げる7つのテクニックをご紹介

Eメールの利用シーン

Eメールは、タイムリーな話題や緊急性の高い情報配信に最も適しています。また低コストで配信できるため、キャンペーンの前に複数回送ってリマインドする、といった活用方法も適しています。日常的にメールを目にする、ビジネスマン、若年層から中高年層に特に効果を発揮します。例えば、郵送DMにて期間限定のキャンペーンクーポンを送って印象付け、Eメールで複数回リマインドするなど、郵送DMと併用して効果を高めると良いでしょう。
Eメールの利用シーン

<EメールによるDMの例>
・緊急性の高い告知
・リマインド(キャンペーンやセミナー情報を複数回送る)
・期間限定のキャンペーン
・バースデー特典の案内
・スマホで表示できる期間限定クーポン
・スマホアプリ登場のお知らせ
・セミナー動画の配信

FAX DM(コスト/メリット・デメリット/利用シーン)

FAX DMとは、ファックスを使ったダイレクトメールです。商品・サービスの詳しい案内やキャンペーンのお知らせ、ニュースレターなどに利用できます。FAXの機器を備えている一般家庭は少ないため、法人向けのマーケティングに向いた手法ですが、現在、大手企業ではリモート環境へと移行しつつあり、FAXを配信しても届きにくいかもしれません。地方の中小企業などにおいては依然としてFAXを活用している場合もありますので、先方企業の使用状況を確認するとよいでしょう。

FAX DMのコスト

FAX DMのコストは、通信回線や一度に送付する量にもよりますが、1件につき3円程度から送付することが可能です。郵送DMよりは、印刷物のコストもなく送信コストも安価であり、Eメールの送信システムによっては、Eメールよりもコストを抑えることができます。

FAX DMのメリット

FAX DMは、以下の3点で、郵送DMとEメールの良いところを併せ持っていると言えます。

  • 比較的コストを抑えられる
  • 情報が目に入る可能性が高い
  • 下半分を申込用紙として使えばレスポンスが手軽になるため、反応を期待できる

まずコストは前の章でご紹介したように、比較的抑えられます。そして、郵送DMのように手元に紙が残るため保管されやすく、内容が見える状態で届くため、目を通してもらいやすくなります。また、Eメールのように企画から発信までが短期間で済むので、緊急性の高い告知や直近のキャンペーン案内なども可能です。レイアウトを工夫し、例えば下半分を申込用紙にすれば、顧客は記入してFAXを送り返せばよいので、早期の反応を期待できます。

FAX DMのデメリット

FAX DMのデメリットは、以下の3点です。

  • 一般家庭向けの発信には向かない
  • 情報量やデザインの制約がある
  • 情報漏洩の危険性がある

現在、一般家庭におけるコミュニケーション手段として、FAX機器があまり使われていないため、BtoCマーケティングには向かないというデメリットがあります。またFAXから紙を排出するコスト(紙代、インクトナー代)は受け取る側が負担するため、心象を悪くする可能性があります。また、A4用紙(一般的なサイズ)の白黒印刷を前提としていて掲載できる情報量やデザインに限りがあり、魅力的な内容にしづらい点もあります。

最後に、非常に重要な点ですが、万一FAXの送信先を誤ってしまうと、情報漏洩やクレームにつながるリスクもあります。あらかじめ番号は登録しておき、二重確認をしたうえで送信するなど、ルールを決めておくと良いでしょう。これらのデメリットを踏まえると、ある程度関係性のある法人顧客宛、しかもFAXを日常的に使用している企業のみに向けて、送信するのが良さそうです。

FAX DM利用シーン

開封の手間なく見てもらえる上に低コストでスピーディに送信できるメリットと、デザイン上の制約があるデメリットを踏まえ、次のような利用がおすすめです。
FAX DM利用シーン

<FAXによるDMの例>
・新製品や新サービスのご案内
・万が一誤送信しても問題のない、一般的な案内
・キャンペーン告知や直近のセミナー、イベントの開催情報

送信後に電話をしてFAXが届いたか確認をするとともに、口頭で詳細情報を伝えるなど、コミュニケーションのきっかけにすると良いでしょう。

まとめ

ダイレクトメールは、ターゲットとなる顧客や見込み客に直接情報を届けるマーケティング手法であり、送り手が選ぶタイミングで顧客に情報を届けられる、プッシュ型の手法です。

今回は、郵送DM、Eメール、FAX DMの3種類について、コストやメリット・デメリット、利用シーンをご紹介しました。DMで高い効果を出すには、それぞれの特性を活かし、複数の手法を併用することをおすすめします。ぜひ、いろいろな手法を実施してみてください。
DMのテクニック集&書き方ガイド

MIL株式会社 インサイドセールス マネージャー岡本祐樹

執筆者
岡本 祐樹

MIL株式会社 インサイドセールス マネージャー

京都大学大学院を中退した翌月にITベンチャー企業に早期就職。SaaSのグループ会社にて大手企業の新規開拓営業を経験した後、IS代行のグループ会社に異動しコンサルティングに従事。動画編集フリーランスとして独立後、インタラクティブ動画マーケティングに可能性を感じ、2021年にMIL株式会社へ入社。ISの立ち上げをミッションに、既存顧客のデータからターゲティングとアプローチを繰り返し、日々多くのお客様の課題解決に伴走している。定期的にウェビナーにも登壇。

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