オムニチャネルとは?意味やメリット、戦略実施までの流れをわかりやすく解説

オムニチャネルとは

新型コロナウイルスの影響で対面での取引が難しくなる中、あらゆるチャネルで顧客接点をもつ「オムニチャネル」に注目が集まっています。当記事では、オムニチャネルの意味やオムニチャネルが注目される背景、オムニチャネル戦略を行うメリットや実践ステップについて、わかりやすく解説します。

オムニチャネルとは?

オムニチャネルの「オムニ(omni)」とは、「全ての」「あらゆる」を意味し、「チャネル(channel)」は「接点」を意味します。つまり、2つをつなげると「あらゆる接点」という意味になり、マーケティングにおける「オムニチャネル」とは、商品・サービスを提供する企業が、オフライン・オンラインに関わらず顧客とのあらゆる接点を連携させ、いつでもどこでも顧客と取引できる状況を創り出す戦略を表します。

<オフラインにおける顧客接点例>

  • 実店舗
  • ECサイト店舗
  • TVショッピング番組
  • コールセンター
  • 電話セールス
  • 通信販売のカタログ
  • チラシ
  • ダイレクトメール
  • 駅広告・看板

<オンラインにおける顧客接点例>

  • Webサイト
  • バナー広告
  • アプリ
  • SNS
  • メールマガジン
  • YouTubeなど動画

オムニチャネル戦略の例(新生銀行)

あらゆるチャネルを活用して顧客と接点を持つ「オムニチャネル」は、流通業界において使われ始め、近年では金融業界など他業界においても活用されるようになってきました。
新生銀行ホームページ
引用:新生銀行ホームページ

例えば、株式会社新生銀行ではWebサイト上に金融商品について紹介する「「インタラクティブ動画(触れる動画)」を設置し、動画の中で、実店舗と同じようにスタッフから金融商品について専門的な内容の説明を聞き、申込まで完了できる仕組みを構築しています。

通常の動画ではなく、興味関心に合った「診断コンテンツ形式」になっているため、視聴者のタップ・クリックに合わせて、一人ひとりに合った金融商品の提案が可能です。支店のない県にいる顧客から申し込みがあるなど、実店舗でもWebサイトでも、顧客の都合に合わせて商品の検討や購入ができる体制になっています。

関連記事:新生銀行、インタラクティブ動画でインターネットチャネルでの資産運用顧客の新規獲得を目指す

マルチチャネルとの違い

販売戦略において「マルチチャネル」という似た言葉が存在しますが、マルチチャネルとオムニチャネルには明確な違いがあります。

マルチチャネルもオムニチャネルも「複数のチャネル」を持つという点は一致していますが、違いは「各チャネルが独立しているか、連携し合っているか」という点です。

マルチチャネルは、複数のチャネルがそれぞれ独立しています。例えば実店舗に来店した顧客に対しては実店舗でアプローチと販促を行い、取引を完了します。

オムニチャネルは、複数のチャネルがそれぞれ連携し合っています。例えば実店舗に来店した顧客がWebサイト上のオンラインショップでお気に入りに登録する、そのデータを元にSNSでリターゲティング広告を出すなど再アプローチし、その結果、後日、自宅からオンラインショップで取引を完了するなど、各チャネルを連携させて流れを生むことが可能となります。
マルチチャネルとの違い

O2Oとの違い

またオムニチャネルと似ている「O2O」についてもご説明します。

O2Oとは、
・オンラインでの接点から実店舗での購入に顧客を誘導すること(Online to Offline)や
・実店舗での接点からオンライン購入に誘導すること(Offline to Online)

を表します。

O2Oとオムニチャネルの違いは、「次のチャネルへ誘導するかどうか」という点です。O2Oは、購入など次のチャネルへの誘導がありますが、オムニチャネルはチャネルへの誘導がメインなのではなく、チャネルの選択は顧客に委ねられます。これは、オムニチャネルはどのチャネルにおいても同じようにサービス提供や販促、購入が行えることを前提としているためです。いわば、オムニチャネルは「OMO(Online Merges with Offline)」という概念に進化しました。
O2Oとの違い

オムニチャネルが注目される背景

近年、オムニチャネルが注目されるようになった背景は、2つあります。

  • スマホやSNSの普及による消費行動の変化
  • テクノロジーの進化

それぞれについて、ご説明します。

背景1:スマホやSNSの普及による消費行動の多様化

1つ目に、スマートフォンやSNSの普及により、消費行動が多様化したことが挙げられます。

スマートフォンが普及し、いつでもどこからでも、ユーザーは気軽にネット環境にアクセスできるようになりました。総務省の「通信利用動向調査」によると、2019年の個人のインターネット利用率は約9割に到達し、個人の年齢階層別インターネット利用率は、13歳~69歳までの各階層において9割を超えていることが分かります。デバイスの内訳として、パソコンを利用する人は50.4%、スマートフォンを利用する人は63.3%と、スマートフォンがパソコン利用を上回っています。
インターネット利用率の推移

また、SNSの利用が広がり、他人の口コミや評価を確認できるようになったことで、商品やサービスを購入する前に口コミを参考にしたり、購入後の感想を自ら発信したり、といった行動が当たり前になりました。マイボイスコム株式会社が実施した「ネット上の口コミ情報に関するアンケート調査(2020年)」によると、口コミを参考にする人は55.7%に上ります。

ネットでも実店舗と同じように買い物ができる環境が整うと「ショールーミング」を行う消費者が現れました。ショールーミングとは、店舗で商品を見てから、ネットで購入することを指す言葉です。運搬の手間がない、ポイントが貯まる、最安値で購入できるなどのメリットから、こうした消費行動が生まれています。またこの逆の、ネットで商品や口コミをチェックしてから、店舗で実物を確認して購入する「ウェブルーミング」を行う消費者も現れており、顧客がひとつの顧客接点で消費行動を完結させず、顧客接点をその利点によって使い分けていることが伺えます。

マルチチャネルの時代は、商品別にデバイスを使い分ける、世代別にチャネルを分けるなどの施策で対応していましたが、消費活動が多様化した現在においては、あらゆる顧客接点・チャネルを連携させる必要性が増しているのです。

背景2:テクノロジーの進化

2つ目は、テクノロジーの変化です。

IT技術が進化したことで、複数のチャネルを行き来する消費者の行動を、正確に把握・分析し、マーケティング施策に活かせるようになりました。

例えば、Webサイトの広告でよく閲覧された箇所、商品購入の時間帯、アプリの会員証をスキャンした回数、クーポンやポイントの使用履歴、視聴した動画など、かつてよりも詳しいデータを得られるようになりました。購入した顧客の属性情報と組み合わせると、どのチャネルに注力すべきかを明確にできます。

これらの背景により、オムニチャネルに注目したマーケティング戦略を実施する企業が増えています。

オムニチャネル戦略を行う3つのメリット

オムニチャネル戦略を行うことで得られるメリットは、3つあります。

  • 顧客体験(CX)の向上
  • 機会損失の予防
  • 業務の効率化

どのようなメリットなのか、ご説明します。

メリット1:顧客体験(CX)の向上

顧客体験(Customer Experience)とは、顧客が商品に興味を持ち、検討して購入し、購入後のアフターサービスを受けるまでの体験を指します。

例えば、顧客が新しい金融商品に興味を持ったとします。商品の概要をネット検索で調べ、気になる金融機関のWebサイトの動画広告を見て、資料請求を行い、試算結果を検討して購入します。購入後、また別の商品の案内メールを受け取る、といった体験をします。

この一連の行動には、検索ぺージや企業のホームぺージ、動画広告、資料、担当者とのやりとり、購入、メール受信など、数多くのチャネルが存在します。

オムニチャネル戦略によってこれらのチャネルをシームレスに連携させることにより、顧客の利便性を高め、顧客満足度の向上につながります。またあらゆるチャネルで集めた詳細な顧客データを活かすことで、顧客に最適なアプローチが可能になります。結果として、商品やサービスのイメージが向上し、顧客がファン化され、LTV(顧客生涯価値)の最大化にもつながります。

メリット2:機会損失の予防

かつては、実店舗でしか商品を購入できなかったり、実店舗でもネットでも購入できるが品揃えがそれぞれ異なったり、といった状況がありました。そうすると「混んでいて、商品説明が聞けないからあきらめよう」「サイズがないから、別のお店で買おう」などと、顧客の購入機会を失うことが多くなります。

オムニチャネルによって実店舗とネットショップの在庫管理を連携させれば、購入場所が違っても品揃えや在庫を同一にできるため、在庫があるにもかかわらず商品を提供できない、というリスクを避けることができます。また顧客にとっての利便性も高まります。

メリット3:業務の効率化

オムニチャネルを推進するには、「すべてのチャネルからの受注管理を一元化する」など、さまざまなチャネルからのデータをシステム上で一元管理する必要があります。各種データの統合により、従来業務を効率化することができます。

また、例えばコールセンター業務においては、オペレーターが顧客からの問い合わせを受けた際、データを元に顧客の購入体験を把握することで、問い合わせまでの経緯を短時間で把握しやすくなります。短時間で顧客を問題解決に導くことができれば、オペレーターの業務効率化にもつながりますし、顧客満足度の向上にもつながります。

オムニチャネル化実現までの4ステップ

続いて、オムニチャネル化を実現するために必要な、4つのステップをご紹介します。
オムニチャネル化実現までの4ステップ
ステップの内容を1つずつ見ていきましょう。

ステップ1:組織を横断した推進体制の構築

オムニチャネルは、複数のチャネルを連携させるので、組織の中で異なる担当同士が連携する必要があります。そのため、最初のステップとしては、組織を横断したオムニチャネル推進の体制を構築します。

核となるプロジェクトチームを立ち上げたり、各部署のオムニチャネル担当者が定期的に集合したりといった、業務と並行してオムニチャネルを推進できる体制を整えます。

ポイントとしては、オムニチャネル関係者だけが熱心に推進するのではなく、全社的にオムニチャネル推進の方向性をよく理解し、実現後のイメージを共有することです。そうするとスムーズな連携がとれ、早く実現することができます。

ステップ2:基本戦略の構築

基本戦略とは、どのようなオムニチャネルにするのか、ゴールを明確にすることです。競合他社の動向や、現在の顧客ニーズや顧客の特徴などの、自社を取り巻く環境を分析します。そして、どんな媒体を持つべきか、ブランドイメージはどうするか、販売チャネルをどれだけ保有するかなどを決定していきます。

目指すゴールが明確になったら、「誰が」「いつ」「何を」「いつまでに」「どのように」対応するかを明らかにするロードマップを作成しましょう。

ステップ3:カスタマージャーニーの作成

カスタマージャーニーとは、「顧客がたどる道すじ」を指します。具体的には、商品やサービスを利用する人物像(ペルソナ)をあらかじめ設定し、その人物像の行動や思考・感情を想定して、商品やサービスの認知から購入までの流れをシミュレーションすることです。できるだけ具体的な人物像を想定し、複数のパターンを作成します。

作成したカスタマージャーニーと、現状の顧客体験を比較します。そこで、意図したように顧客と接することができていない部分があれば、そこが「オムニチャネルで実現すべきポイント」となります。

関連記事:【3分でわかる!】カスタマージャーニーとは?カスタマージャーニーマップのメリット・活用法を徹底解説

ステップ4:データ、システムの統合、連携

明確なゴールやカスタマージャーニーが描けたところで、オムニチャネルの肝である、データやシステムの統合・連携に取り組みます。商品情報や顧客情報など、全てのデータを一元管理し、各チャネルで使用できるよう変更していきます。

システムの統合は、現在使用しているシステムやツールをつなげればよい場合や、システム全体を入れ替える場合など、さまざまなパターンがあります。システムの仕様をよく調査し、テストを重ね、慎重に推進する必要があります。

まとめ

オムニチャネルとは、さまざまな媒体や販売チャネルでの顧客との接点を連携させ、シームレスな顧客体験を実現する販売戦略です。スマートフォンやネット環境の普及に伴い多様化する顧客の購買行動に対応するため、オムニチャネルに注目が集まっています。

オムニチャネル化実現までのステップでポイントとなるのは、縦割りの従来的組織形態ではなく、組織横断的にオムニチャネルを推進する体制を作ることです。データの一元化とシステム同士の連携を実現して初めてオムニチャネルは実現します。そのため、社内のスムーズな連携体制を構築し、全社的に取り組んでいきましょう。

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執筆者
黒谷 純子

MIL株式会社 マーケティング

大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841

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