今、企業での動画活用が活性化しています。当記事では企業での動画配信を検討している方に向けて、動画配信プラットフォームとは何か、無料と有料の違い、目的に合わせた選び方、おすすめの動画配信プラットフォームについて、詳しく解説していきます。「目的別!プラットフォーム相性比較表」もぜひ参考になさってください。
「動画配信プラットフォーム」とは?
「動画配信プラットフォーム」とは、制作した動画を手軽に配信・運用できるサービスです。自社のブランディングや動画コンテンツの販売、社内外に対するマニュアル動画の配信、ライブ配信など、さまざまな用途で利用されています。以下では、動画配信プラットフォームとは何か、有料と無料ではどのような違いがあるのかについて詳しく解説します。
今注目の「動画配信プラットフォーム」とは
「動画配信プラットフォーム」とは、制作した動画ファイルをネット上にアップロードし、多数のユーザーが視聴できる状態にするプラットフォーム のことです。自社で動画を制作・編集しても、動画ファイルにアクセスできなければ、ユーザーは動画の視聴ができません。配信を行うための仕組みを提供するプラットフォームに動画のファイルを保存しておくことで、ユーザーは動画を視聴できるようになります。
主な利用用途
動画配信プラットフォームは、以下のような用途で利用されています。
- リード獲得・顧客育成を目的とした動画配信
- ブランド認知目的の動画配信
- ウェビナーのアーカイブ配信
- 社内マニュアルの動画配信
- 製品やサービス説明のチュートリアル動画配信
- 動画コンテンツの販売
単に動画を視聴できる状態にすることが目的であれば、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSへの動画アップロードや、自社サイトへの動画埋め込みでも解決します。しかし、適切な視聴者のみが動画を閲覧できるようにアクセス制限機能を利用したい場合や、動画配信によるマネタイズ(収益化)を検討している場合は、有料の動画配信プラットフォームを利用する方がより効果的です。
つまり、動画配信プラットフォームは、動画を配信することが目的ではなく、自社の目的を達成するための手段として利用するサービスと言えるでしょう。
「有料」と「無料」の違い
YouTubeに代表される無料の動画配信プラットフォームと、有料の動画配信プラットフォームの違いは、大きく分けると以下の4点です。
- 動画に対するセキュリティ
- マネタイズ手法の豊富さ
- 機能
- サポート体制
それぞれについて、詳しく解説します。
1.動画に対するセキュリティ
YouTubeなど無料のプラットフォームで配信されている動画は、特殊なツールなどを使用しなくても、容易にコピーできてしまいます。コピーした動画を個人で楽しむ範囲であれば問題ありませんが、他人が作成した動画の再配信や販売は違法です。現状の YouTubeの仕組みでは、YouTube自体が私的複製を「著作権の特別な例外」として容認しており、アップロードされている動画のコピーを防ぐことはできません。
但し、セキュリティ面の考慮は必要なく、不特定多数の人に動画を視聴してもらいたいという場合には、YouTubeなど無料の動画配信プラットフォームでも十分かもしれません。
一方、有料の動画配信プラットフォームでは、動画の暗号化やアクセス制限の機能が充実しており、セキュリティ面に力を入れているところが多くなっています。著作権保護が必要な動画コンテンツの配信や、社内マニュアルなど機密情報を含む動画の配信を検討している場合は、有料の動画配信プラットフォームの方が安心して利用できます。
2.マネタイズ手法の豊富さ
動画コンテンツの販売でマネタイズ(収益化)を検討している場合は、有料の動画配信プラットフォームがおすすめです。幅広いマネタイズ手法が用意されており、自社の目的に合わせたサービスが選択できます。
YouTubeでのマネタイズ手法としては、広告収入やスーパーチャットの投げ銭、メンバーシップに対する収益などがあり、いわゆるユーチューバーとしてのマネタイズになります。企業としてマネタイズを検討する場合には、上記のようなマネタイズでは物足りない と感じるかもしれません。
有料の動画配信プラットフォームを利用すれば、動画ごとに値段をつけて個別に販売したり、サブスクリプション形式で視聴者から利用料金を徴収したりすることも可能です。
3.機能
動画ファイルを保存し、動画の運用・管理・分析をするだけであれば、無料の動画配信プラットフォームでも十分だと感じるかもしれません。しかし、有料の動画配信プラットフォームでは、さらにさまざまな機能が充実しています。
主な機能として、以下のようなものがあります。
- インタラクティブ動画編集(触れる動画)
- アンケート機能
- ライブ配信
- マルチデバイス対応
- SNSとの連携
それぞれの動画配信プラットフォームの得意・不得意を比較し、自社の目的が達成できる機能が利用できるのかを確認しておきましょう。
4.サポート体制
有料の動画配信プラットフォームはカスタマーサポートが充実しているので、動画の配信や運用に慣れていない担当者でも安心して利用できます。
Webサイトに、頻出する質問に対する答え「よくある質問」としてまとめられていたり、詳しい操作説明の動画が掲載されていたりと、ユーザーが利用しやすいように情報提供されています。また個別の相談にも対応してくれるので、電話やチャット・メールなどきめ細やかなサポートが期待できるでしょう。サポート内容は各社異なりますので、気になる場合には事前に確認しておくと良いでしょう。
動画配信プラットフォームの選び方
動画配信プラットフォームは、自社の目的に合わせて選ぶことが重要です。目的が達成可能な機能が利用できるプラットフォームを選ぶようにしましょう。機能面だけでなく、料金や操作性、セキュリティ面についても確認しておくことで、安心して動画の配信が可能になります。
以下の5点が、動画配信の主な目的です。
- リード獲得&ナーチャリング
- 認知拡大
- 社内外マニュアル動画化
- ライブ配信
- コンテンツ販売
それぞれの目的を達成するために必要な機能について解説します。
1.リード獲得&顧客育成(ナーチャリング)
動画を配信する目的がリード獲得や顧客育成である場合は、Webサイトに訪れたユーザーに対して何かしらのアクションを促す、CTA機能が利用できるのかをチェックしておきましょう。動画に「お問合せ」「自社サイト誘導」「レポート請求」「セミナー申込」といったCTAを設置しておくことで、動画視聴のみでなく実際の行動へとつなげます。
また獲得したリードをWebサイト、メルマガ等でナーチャリングする際にも、動画コンテンツを用いることで人的リソースを削減したり、テキスト画像よりも豊富な情報量で訴求することができます。
2.認知拡大
自社のサービス・商品の認知拡大やブランディングが目的である場合は、利用者の多いプラットフォームを利用することが重要です。特に関連動画が表示される機能があれば、効率よく認知拡大ができるようになります。また、SNSへの拡散性についても考慮しておくとよいでしょう。
3.社内外マニュアルの動画化
社内研修や業務手順などの「社内マニュアル」や、製品・サービスの使い方をまとめた「社外マニュアル」など、マニュアルの動画化も一般的になってきています。動画マニュアルの配信が目的である場合は、セキュリティ機能の充実している動画配信プラットフォームを利用しましょう。動画が暗号化されていたり、個別の動画に対してアクセス制限をかけられる機能を利用したりすることで、動画が違法に利用されることを防ぐことができます。
関連記事:動画マニュアルを作成するには?活用事例&おすすめツール5選をご紹介!
4.ライブ配信
WEB上でセミナーを開催する場合のように、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを図ることが目的の場合は、ライブ配信機能が必要になります。視聴者がコメント送信する機能が利用できるかも、確認しておきましょう。
5.コンテンツ販売
自社で作成した動画をコンテンツとして販売することが目的の場合には、視聴者が安心して利用できる課金機能が必要です。視聴者の離脱を防ぐためにも、購入から視聴までスムーズに移行できる仕組みになっているかを確認しておきましょう。
コンテンツの販売方法としては、毎月一定の利用料金を徴収するサブスクプション形式や、個別の動画に対して視聴料金を設定する形式などがあります。
おすすめ動画配信プラットフォーム7選
おすすめの動画配信プラットフォームとして、以下の7つをご紹介します。
- YouTube
- イチナナ
- Vimeo
- J-Stream Equipmedia
- BRIGHTCOVE VIDEO CLOUD
- ULIZA
- MIL
ここからは、それぞれの動画配信プラットフォームの特徴や利用できる機能、メリット・デメリットを解説していきますので、比較してみてください。
1.YouTube(無料)
引用:YouTube Japan 公式チャンネル
YouTubeは、無料で利用でき、月間ログインユーザーが20億人(参考:YouTube for Press)を超える大規模な動画配信プラットフォームです。YouTubeのメリットは、利用者が多いことによる拡散性の高さです。ライブ配信にも対応しており、認知拡大やライブ配信を目的として動画の配信を行う場合におすすめです。
YouTubeのデメリットは、セキュリティ面とマネタイズの選択肢が少ないことです。セキュリティ面は重視されていないため、特定の視聴者だけに動画を視聴してもらいたい場合や、違法コピーされたくない場合には注意が必要です。メンバーシップ(月額課金機能)や広告収入、スーパーチャット(投げ銭機能)によるマネタイズ機能はありますが、配信する動画に対して個別に課金してもらう機能はありません。
2.17LIVE(無料)
引用:17LIVE
17LIVE(イチナナ)は、若年者向けのライブ配信アプリです。世界中で利用されており、利用者は4,500万人以上です。基本的に視聴者もライブ配信側も、どちらも無料で楽しむことができます。17LIVEでは生放送の配信者「ライバー」となり、視聴者から「投げ銭(ギフト)」を送ってもらうことにより、収入を得ることができます。
個人が収入を得る手段としても大きな注目を浴びているアプリですが、企業の活用にはあまり向かないかもしれません。利用者の大半が若者であるためターゲット層が限定される、動画に広告が表示される、などのデメリットがあります。
3.Vimeo(無料/有料)
Vimeoは、動画のセキュリテイを重視した動画配信プラットフォームです。個別の動画にパスワードをかけることで動画へのアクセスを制限することができます。動画の著作権を重視するクリエイター向けのプラットフォームを言えるでしょう。また社内外マニュアルにも適しています。
Vimeoで用意されている料金プランは月額500~7,500円と、他の動画配信プラットフォームを比べるとリーズナブルな料金設定になっています。なお、Vimeoでは無料プランも用意されていますが、動画に広告が表示されません。
4.J-Stream Equipmedia(有料)
J-Stream Equipmediaは、2,000アカウント以上の企業で利用されている動画配信プラットフォームで、わずか3ステップで動画の配信ができる、使いやすい管理画面が特徴です。幅広い用途に対応できる機能が揃っているので、初めて動画配信を行う企業や、手間やコストを抑えた動画の配信を検討している企業におすすめです。
通常の「ライブ配信」に加えて、収録済み動画を指定した時間に配信する「疑似ライブ配信」機能もあり、ライブ配信を目的とする企業におすすめです。
料金プランは3つ用意されており、初期費用はいずれも50,000円、月額50,000~160,000円で利用できます。興味がある場合は、30日間無料で利用できる無料トライアルを利用してみるとよいでしょう。
5.BRIGHTCOVE VIDEO CLOUD(有料)
BRIGHTCOVE VIDEO CLOUDは、世界中の企業で利用されている、外資系の動画配信プラットフォームです。 YouTubeやTwitter、Instagramなど、さまざまなデバイスに対応しており、動画コンテンツの一括管理が可能。ライブ配信など機能も充実しており、インタラクティブ動画(触れる動画)機能も最近追加されました。
公式サイトでは、国内外の企業の導入事例が紹介されているため、導入を検討する際には確認しておきましょう。利用料金は、導入規模や再生回数、ストレージ容量などにより変動します。
6.ULIZA(有料)
引用:ULIZA
ULIZA(ウリザ)は、動画コンテンツの販売や社内外への情報発信、ライブ配信などができる、ビジネス向けの動画配信プラットフォームです。動画配信技術に習熟した専門スタッフが対応してくれるため、分からないことがある場合でも安心して相談できます。
動画配信に最適なチャットツール「ULIZA Sidetalk」、イベントのライブ配信や配信後のアーカイブに対応した「ULIZA EVENT STREAM」など、ライブ配信機能も充実しています。
7.MIL(有料)
MIL
MIL(ミル)は「インタラクティブ動画(触れる動画)」が誰でも簡単に編集・配信ができるプラットフォームです。インタラクティブ動画は、一方通行に動画を視聴させるのではなく、双方向のコミュニケーションを図れる点が特徴で、リード獲得やナーチャリング、社内外に向けたマニュアル動画の配信に最適です。
国内・自社で開発している製品のため、海外のプラットフォームと比較すると操作性の良さとサポート面に定評があり、大手企業が導入しています。
MILの料金は、月額のサブスクリプションプランと単月のスポットプランがあり、利用規模によって異なります。無料トライアルもありますので、ご興味をお持ちの方はぜひお試しください。
目的別!プラットフォーム相性比較表
今回ご紹介した7つの動画配信プラットフォームと目的別の相性比較表を以下にまとめました。ぜひ参考になさってください。
まとめ
動画配信プラットフォームは、制作した動画を幅広いユーザーに視聴してもらうためのシステムです。視聴者のリード獲得や認知拡大、コンテンツの販売、マニュアル動画の配信、ライブ配信など、さまざまな目的で利用されています。
自社にとって最適な動画配信プラットフォームを選択するためには、自社の目的を整理し、必要な機能が何かを把握することが重要です。自社の目的が達成できる動画配信プラットフォームを利用しましょう。デモ画面や無料トライアルが用意されているプラットフォームもあるので、実際に操作を体験して、それぞれの特徴をぜひ比較してみてください。
執筆者
桑田 将臣
MIL株式会社 セールスグループ マネージャー
WEB系ベンチャー企業にて新規事業の立ち上げ・セールスなどを経験後、PR会社にてデジタルプロモーションの企画提案を担当。2019年3月よりMIL株式会社に入社し、現在はセールスグループの各部門を統括している。