新型コロナウイルス感染症をきっかけに、顧客との対面営業や展示会などのオフラインチャネルでの顧客接点が減り、リード獲得に悩むBtoB企業は少なくないようです。
効果的にリードを獲得するオンライン施策の一つとして、メディア(媒体)への出稿があります。自社業界・商材と関連性の高いメディアに記事広告などを出稿すれば、質の高いリードを多く獲得できる可能性が広がります。
そこで本記事では、リード獲得メディアを活用するメリット・デメリットやおすすめのメディア8選、メディア活用以外に自社でリードを獲得する方法などをご紹介します。
目次
リード獲得メディア(媒体)とは?目的と種類
リードとは、自社サービスや商材に興味を持つ「見込み客」のことです。ウェブサイトの問い合わせフォーム入力、展示会の名刺交換など、顧客が自ら企業に興味を示すアクションを起こしたときに、潜在顧客からリードへと転換します。
リード獲得メディアとは、その名の通りリード獲得を目的にしたプラットフォームや媒体などのペイドメディアの一種です。自社がターゲットとする層を読者として抱えているメディアにコンテンツを配信し、効率よくリード獲得を狙います。
リード獲得メディアの種類は、大きく分けて以下3つです。
ニュースメディア | 出版社などが運営する、Web上でニュース記事を投稿しているメディア |
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業界専門メディア | 特定の業界に特化した情報提供をするメディア |
その他Webメディア | ポータルサイトなど、Web上で特定の読者層に向けて情報発信をするメディア |
いずれも記事広告の掲載やメルマガ購読者へのメール送付、資料配布等によりリードを獲得します。リード獲得メディアを活用し、ターゲットに価値あるコンテンツを提供すれば、効果的にリード獲得を行えるでしょう。
リード獲得にメディア(媒体)を活用するメリット
リード獲得にメディアを活用するメリットは以下の通りです。
- 自社と関連性の高いターゲットにリーチできる
- 信頼をアピールできる
- リソース不足でも効率よくリード獲得できる
ここからは、各メリットの詳細を解説します。
自社と関連性の高いターゲットにリーチできる
リード獲得メディア(媒体)は、特定のターゲットに焦点を当てているため、自社が属する業界に興味関心の高い良質なリードを獲得できる可能性が高まります。例えば、SaaS製品の専門サイトには、SaaS製品の導入を考えている多くのユーザーが集まります。
Web広告や交通広告などターゲット以外の多くのユーザーにリーチするチャネルとは異なり、リード獲得メディアは媒体選定の段階で、ある程度のターゲットの絞り込みができるため、効率よくリード獲得できる点がメリットです。
信頼性をアピールできる
Forrester社の調査によれば、BtoB購買担当者が最も重要視する購買要素の一つに「信頼」があると判明しています。リード獲得メディアは、会員数の多さや情報の正確性により、多くのユーザーから高い信頼を得ています。すでにユーザーから信頼されているメディアの力を借りれば、効果的に自社の信頼を高められ、リードを獲得しやすくなるでしょう。
リソース不足でも効率よくリード獲得できる
「リード獲得をしたいが、コンテンツを作るリソースがない」と悩む企業は多いのではないでしょうか?リード獲得メディアの中には、コンテンツ制作や獲得リードへの架電、リードのリスト提供などのサービスを提供している媒体があります。このようなサービスを活用することで、リソースが不足していても、効率よくリード獲得できるでしょう。
リード獲得にメディア(媒体)を活用するデメリット
リード獲得にメディアを活用するデメリットは以下の通りです。
- 掲載費用が必要になる
- 情報が埋もれてしまうリスク
ここからは、各デメリットの詳細を解説します。
掲載費用がかかる
メディアへの広告や記事掲載には費用が必要で、高額になるケースもあります。例えば、会員数が数十万人に及ぶ有名メディアの場合、記事広告の出稿費用は100万円以上、純広告の出稿費用は2.5円以上/インプレッションとなることは珍しくありません。広告予算の限られた企業にとっては、リード獲得にメディアを活用するハードルが高くなるため、デメリットと言えるでしょう。
情報が埋もれてしまうリスク
競合と同じメディアに、広告やコンテンツを掲載する可能性があります。競合他社と同じメディアを使用した場合、差別化を図れなかったり、メッセージ性が薄れたりするリスクが生じるため、差別化につながるコンテンツ制作をしましょう。
リード獲得のメディア(媒体)を選ぶポイントと戦略的な目標設定
リード獲得のメディア(媒体)を選ぶ際は、下記のポイントを確認します。
- 会員数・月間PV数:何人にリーチできるのか?
- 配信チャネル:記事掲載やメルマガなど、どのような方法でリーチするのか?
- 読者層:どのような属性の会員が多いのか?
これらの条件から、どのようなコンテンツを配信し、何人のリード獲得を目指すのか、目標を設計しましょう。
リード獲得に最適なメディア(媒体)7選
ここからは、リード獲得に最適なメディア7選をご紹介します(※2023年8月時点の各社公式サイト・媒体資料を参照)。
- アイティメディア
- Tech+
- ITreview
- BOXIL SaaS。
- MarkeZine
- ferret
- 日経電子版
それぞれの特徴について、見ていきましょう。
アイティメディア
出典「アイティメディア」
アイティメディア株式会社のリード獲得支援サービスでは、記事広告やPDF、動画などのコンテンツ制作から支援をしているため、自社にコンテンツを制作する力がなくとも安心です。
求める属性のリード獲得件数を保証しているため、質の高いリード獲得を見込めます。また、一次フォローアップの代行やABMレポート(自社に興味関心を持つ可能性が高い企業リストの提供)など効果的にリード獲得できるオプションも利用可能です。
成功事例としては、サイバーセキュリティ向けソフトウェアの提供企業サイバーリーズン合同会社が紹介されています。同社はアイティメディア上で、年間10本のコンテンツ展開やアイティメディア主催のウェビナーへ登壇などをし、年間8,000件のリードを獲得しています。
Tech+
出典「Tech+」
Tech+は株式会社マイナビが運営するメディアであり、読者の多くがIT・テクノロジーの導入を検討している層です。会員の特徴として、情報システム・経営・マーケティング部門が多数を占め、役職層が多いことが挙げられます。そのため、比較検討段階のリード獲得を目指すITツール提供企業などにおすすめのメディアです。
Tech+が提供するBtoB企業向けのリード獲得サービスの内容は、メディアへの記事広告+ターゲットリストに沿ったテレマーケティングの実施。テレマーケティングによるリード獲得件数は保証されており、最新の名刺情報の取得も可能です。
また、テレマーケティングの際に2度の営業電話の許可を取得するため、電話での接続率が高い傾向にあります。
ITreview
出典「ITreview」
ITreviewは国内最大級のBtoB向けIT製品レビュープラットフォームです。ユーザーの多くは製品の比較検討段階にあるため、確度の高いリード獲得を期待できます。
製品情報とレビューの掲載自体は無料で行えますが、無料プランだと月のリード獲得件数は3件までです。有料プランに加入すれば、製品情報の充実化やコンテンツの二次利用などが可能になります。
成功事例として、Dropbox Japan株式会社が紹介されています。Dropboxが重視する使いやすさを証明するため、リアルな顧客の声を掲載できるITreviewの活用を決定。また、他社製品とは異なるDropboxの使い勝手の良さやメリット、ユーザーの実際の声などを整理したeBookの作成をITreviweに依頼しました。新規リード獲得に加えて、口コミの高評価部分をマーケティング活動で強調することで、高い成果へとつなげられるようになりました。
BOXIL SaaS
出典「BOXIL SaaS」
BOXIL SaaSは、15万人以上の会員がいるSaaS比較サイトです。250以上のカテゴリから、専任の担当者がSEOで狙いたいキーワードを基に、最適なカテゴリを提案します。
また、従量課金制ながらも無効基準が設定されているのが特徴です。虚偽情報や重複リード、フリードメインなどのリードは課金対象にならないため、リード獲得費用の最適化が見込めます。
公式サイトに掲載されている株式会社カオナビやChatwork株式会社の事例を見ると、BOXIL MAGAZINEの比較記事からの流入が評価されているようです。比較記事を見るユーザー
の多くは、比較検討段階にあるため、優良リードの獲得に期待できます。
MarkeZine
MarkeZineは、株式会社翔泳社が運営する月間170万PVを誇るマーケターや広報担当者向けの媒体です。そのため、MAツール提供企業やマーケティング・SNS支援企業、広告代理店、コンサルティング会社などと相性の良いメディアといえます。MarkeZineでは、認知獲得やブランディング、ニーズ喚起を目的に記事広告を出稿する企業が多い傾向です。
出典「MarkeZine」
HubSpotは、MarkeZineに導入事例記事を掲載しています。インタビュー記事形式にすることで、読者はテンポよく読め、製品の活用方法や具体的なメリットも簡単に理解することが可能。事例記事は稟議や社内説得に使用されるケースが多いため、商談率の高いリード獲得を見込めるでしょう。
ferret
出典「ferret」
ferretは、約70万人のマーケターに読まれるWebメディアです。リード獲得施策「Toolferret(成果報酬型施策)」では、会員へのメルマガやferret内バナー広告を導線に、サービス掲載ページへユーザーを誘導します。
また、コンバージョンユーザーが併読している記事情報なども提供されるため、細かなデータをもとにリードへアプローチできます。マーケティングツールやIT系サービスの認知拡大やリード獲得に最適なメディアです。
日経電子版
出典「日本経済新聞」
日経電子版は、日本経済新聞によるオンラインメディアです。日経電子版を活用すれば、タイアップ記事やメルマガなどを通して、多くの意思決定者層にアプローチできます。
セグメント別月間アクセス数は以下の通りです。
・IT導入関与者:4,900万人
・中小企業経営層:2,300万人
また、読者の多くは日経電子版に対して「一流である」「信頼できる」とポジティブなイメージを持っています。権威性のある日経電子版に自社コンテンツを掲載することで、自社の信頼性や専門性も高まるでしょう。
【一覧表】リード獲得に最適なメディア(媒体)7選
上の章でご紹介したメディアを一覧表にまとめてみました。比較時の参考になさってください。
メディア(媒体)活用以外に自社でリードを獲得する方法
メディアへの出稿はリード獲得に有効ですが、広告と同様に十分な予算が必要となる側面もあります。ここからは、自社でリードを獲得する方法もご紹介します。
- オウンドメディアの運営
- 取引先との関係強化
- ウェビナー/アーカイブ動画の配信
オウンドメディアの運営
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社で保有・管理するメディアのことで、BtoB企業における定番のリード獲得施策です。
オウンドメディアを通して、価値あるコンテンツを提供することで、潜在層との接点構築や他チャネルから流入したユーザーのリード化ができます。例えば、SEOやSNSは潜在顧客の集客に有効です。また、取引先の紹介やWeb広告で興味を持ったユーザーが公式サイトに訪問し、そのままフォーム入力や問い合わせをする可能性もあります。
(MIL株式会社/MIL Blog)
DemandGenの調査で、BtoB購買担当者の55%が「購入の意思決定の際にコンテンツを重視している」と回答していることからも、オウンドメディアのコンテンツが重要な役割を果たしているとわかります。オウンドメディアで成果を出すには時間こそかかりますが、流入数が増えれば自動的に潜在顧客をリード化できるチャネルになるでしょう。
チャネルマーケティングの推進
チャネルマーケティングとは、販売代理店や取引先などの第三者の企業を通してターゲットにアプローチする手法です。BtoB企業においては、取引先の紹介でリード獲得できるケースが多々あります。例えば、販売代理店やマーケティング支援会社からの紹介で、特定のSaaS製品の導入を検討するなどです。
Sagefrog Marketing Groupの調査によれば、BtoBマーケティングにおけるリードの65%は紹介によるものと判明。Web上での情報収集が増加しているものの、依然として取引先との関係性の強化は重要です。
ウェビナー・アーカイブ動画の配信
ウェビナーは、BtoB企業のリード獲得に大きく貢献します。マーケティングリーダーの73%が「ウェビナーは質の高いリード獲得に有効」と回答しているように、効果的なリード獲得チャネルのひとつです。
ウェビナーのアーカイブ配信とは、ウェビナーのライブ配信を録画しWebサイトなどで配信することで、ユーザーが好きなタイミングで見られるようにするものです。ウェビナープラットフォームを提供するON24の調査によると、アーカイブ配信だけを視聴するユーザーは31%もいるとのこと。
この調査が示すように、業務や日程の関係でウェビナーに参加しずらいユーザーは一定数います。ウェビナーのアーカイブ動画を配信すれば、参加できなかったユーザーへリーチできるため、配信効果の最大化を見込めます。
制作コストこそかかりますが、リード獲得ごとの追加費用は発生しません。また、メディア出稿や一度限りのウェビナーと比べて、ナーチャリングのコンテンツとして繰り返し活用できる点を踏まえると、ウェビナーアーカイブは費用対効果の高いリード獲得施策といえます。ウェビナーのアーカイブ施策について詳しくは、以下記事でご紹介しています。
関連記事:ウェビナーアーカイブの配信方法&成果を出すポイントを解説!動画でリード獲得やナーチャリングを促進
まとめ
BtoB企業はメディアや媒体にコンテンツを掲載することで、メディアが集める多くのユーザーにアプローチして、効率よく質の高いリードを獲得できます。リード獲得目的でメディアを活用する前には、自社ターゲットの課題や情報収集チャネルなどを明確にし、最適なメディアで価値あるコンテンツを提供するようにしましょう。
また、メディアのほかにも、オウンドメディアやウェビナーのアーカイブ動画などリード獲得に有効なチャネルは多々あります。特にウェビナーのアーカイブ動画は、大きなコストをかけずに、リード獲得やナーチャリングに貢献するため、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
執筆者
瀧口 愛
MIL株式会社 マーケティング
Web制作会社でサイト構築に従事後、MIL株式会社へ入社し、マーケティングチームに所属。ウェビナーや展示会実施の基盤を構築し、毎月のウェビナーやオフラインイベントの企画・運営全般を担当している。その他、メルマガ配信やマーケ全体の施策効果分析など、フィールドマーケティング領域全般を担う。