ウェビナーでインサイドセールスの成果を最大化するには?ナーチャリング・商談化のポイントを事例とともにご紹介

ウェビナーでインサイドセールスの成果を最大化するには?ナーチャリング・商談化のポイントを事例とともにご紹介

マーケティングで獲得したリードを商談へと導くのがインサイドセールスの役割ですが、リードの数や質が原因で「毎月の商談化数が目標に届かない」と悩む方は少なくありません。この課題解決の新たな鍵を握るのが「ウェビナー」です。

ON24の顧客を対象とした調査によれば、回答者の38%が「ウェビナーで獲得するリードの質は平均以上」と回答しており、ウェビナーが確度の高いリード創出に貢献することを示唆しています。つまり、インサイドセールスがウェビナーで獲得した確度の高いリードに迅速にアプローチすることで、効果的にナーチャリングや商談化へとつなげられるでしょう。

本記事では、BtoB企業がウェビナーの効果を最大化できるように、インサイドセールスにウェビナーを活用するメリットや連携手順、活用事例、ナーチャリング・商談化のポイントを解説します。

ウェビナーアーカイブ活用ガイド

BtoB企業で「インサイドセールス」が果たすべき役割とは?

インサイドセールスとは、顧客を訪問するのではなく、電話やメールなどを通じて非対面の営業をして、商談機会を創出する手法です。対して、顧客を訪問する従来型の営業手法をフィールドセールス(アウトサイドセールス)と呼びます。

BtoB企業におけるインサイドセールスの役割は、Salesforce社で活用されてきた営業モデル「The Model」を知ると理解しやすいでしょう。

ウェビナーインサイドセールス_The Modelの仕組み図

出典:Salesforce

The Modelとは、認知から受注、カスタマーサクセスに至るまでの流れを切り分けて「一連の営業プロセス」として捉え、各部門の連携により「お客様の成功と共に、売上を拡大する仕組み」です。

まずはマーケティング部がWeb広告やメルマガ、ウェビナーなどの一連のマーケティング活動でリードを獲得します。インサイドセールスは、マーケティング部が獲得したリードのナーチャリング(見込み顧客の育成)とクオリフィケーション(見込み顧客の選別)をして、確度の高いリードを営業に引き渡す流れです。

マーケティングと営業の間にインサイドセールスを挟むことで、効果的なナーチャリングとクオリフィケーションを実施し、成約率を高めます。

インサイドセールスにウェビナー(Webinar)を活用するメリット

インサイドセールスにウェビナーを活用すれば、下記のメリットを得られます。

  • 成約率の向上
  • ナーチャリングの強化

以下で、各メリットの詳細を解説します。

成約率の向上

ウェビナーの参加者は、自ら申し込みをしてウェビナーに参加するため、一定の興味関心を持っている場合が多くなります。

また、ブログ記事やメルマガなどよりも、口頭での説明やスライドを通じて質の高いコンテンツを提供できるため、興味関心の高いリードの創出が可能です。

ウェビナー後のアンケート回収などにより、参加者の中でも確度の高いリードにインサイドセールスが即座にアプローチすれば、商談化率の向上を見込めるでしょう。例えば、ウェビナーで確度の高いリードを創出できたとしても、ウェビナーから3日後や4日後にアプローチをしてはリードの熱が冷めてしまいます。

ウェビナーは日時を設定して開催するためスケジューリングや事前の準備も行いやすいため、インサイドセールスとウェビナーを連携すれば、確度の高い顧客にはウェビナー直後や当日、遅くとも翌日にアプローチをし、リードの興味関心が高いうちに商談の提案ができるのです。

ナーチャリングの強化

ウェビナーインサイドセールス_受注までの顧客接点としてのウェビナー

ウェビナーを活用すれば、参加者の属性情報やアンケート回答内容などから、ターゲットに関する貴重な情報を把握できます。参加者のフィードバックや意見を直接聞けるのは、メルマガなどの他のデジタル施策では難しい、ウェビナーならではのメリットです。

インサイドセールスは、ウェビナーで得た顧客情報やリアルなフィードバックなどの詳細情報を基に、各リードの課題感やニーズに合った情報を提供することで、効果的なナーチャリングを実現できるでしょう。

関連記事:ウェビナーアンケートの作り方&項目例を解説!回答率を高める5つのコツも合わせて紹介

インサイドセールスとウェビナーを連携させる3ステップ

インサイドセールスとウェビナーを連携させる手順は以下の通りです。

  • 1.企画時(マーケとKPI設定・ファネルに合わせた質の高いコンテンツ制作)
  • 2.開催前(お申込みいただいた顧客の把握)
  • 3.開催後(アンケートに合わせてアプローチ)

ここからは、各ステップの詳細を解説します。

STEP1:企画時(マーケとKPI設定・ファネルに合わせた質の高いコンテンツ制作)

インサイドセールスとマーケティング部で、KPI設定、およびターゲット調整をします。それぞれの詳細を見ていきましょう。

マーケとKPI設定

まずはマーケティングとインサイドセールスの各部門の役割範囲とKPIを明確化し、進捗管理と効果的なコラボレーションができる体制を整えます。基本的に、マーケティング部は申込数・参加者数や獲得リード数などをKPIにし、インサイドセールスはSQL(営業に引き渡すリード)数や商談数などをKPIに設定します。

参考として、The Modelでは、以下の計算式でKPIを設定しています。

  • マーケティング:来訪者数 × 獲得率 = リード数
  • インサイドセールス:リード数 × 案件化率 = 案件数
  • 営業:案件数 × 受注率 = 受注数

例えば、マーケティング部がウェビナーで50名のリードを獲得し、インサイドセールスが25件の案件を創出、最終的に営業は5件の受注を目指すなどです。過去の獲得率や受注率などを算出し、現実的に達成できるKPIを設定しましょう。

ファネルに合わせた質の高いコンテンツ制作

質の高いコンテンツ制作をするため、まずはターゲットにするファネルを明確にしましょう。潜在層と顕在層ではニーズが異なります。例えば、商材への興味関心が薄い潜在層を対象に、製品デモのウェビナーを開催しても、コンバージョンにはつながらないでしょう。

基本的に、リード獲得が目的なら「潜在層」、商談化を目的にするなら「顕在層」をターゲットにするのが有効です。

ウェビナー成功事例_顧客の検討段階に合わせたウェビナー開催形態の決め方_

それからターゲットの課題や悩みを解決するコンテンツを企画します。潜在層をターゲットにするなら、自社や自身の課題に気付いてもらえるように業務に役立つノウハウ紹介や他企業との共催、顕在層がターゲットならば、自社への興味関心を高めてもらえるように製品デモや事例紹介などのコンテンツが良いでしょう。

また、ウェビナー開催後にアンケート調査を実施し、ターゲットが求めているコンテンツになっていたかの振り返りをすれば、次回のウェビナーに活かせます。

STEP2:開催前(お申込みいただいた顧客の把握)

マーケティング部と連携し、申し込み情報を基に、フォロー対象を絞り込みましょう。例えば、申込者の役職が部長以上だったり、参加目的が「具体的な解決方法を探している」だったりする場合は、迅速なフォローアップの対象となります。ウェビナー開催前に、ある程度のリードクオリフィケーションをしておけば、迅速に確度の高いリードにアプローチできるようになるのです。

STEP3:開催後(アンケートに合わせてアプローチ)

ウェビナー終了後、インサイドセールスが初めに行うべきことは「リードクオリフィケーション」です。事前の定義とアンケート結果に基づき、MQLとSQLのリードを抽出しましょう。初めにリードクオリフィケーションをするべき理由は、リードの熱が冷めないうちにアプローチするためです。

ハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、コンバージョンから1時間以内にリードに折り返し電話をかける企業は、1時間以上待つ企業に比べ、意思決定者と有意義な会話ができる可能性が7倍高いとのこと。

この調査が示すように、熱が高いうちにアプローチできれば、商談や成約率が高まります。リードクオリフィケーションをして、SQLには迅速に架電やメールを行い、商談の機会を創出しましょう。

営業に引き渡す段階ではないMQLには、メルマガ配信や次のウェビナーへの参加を促すなどをしてマーケティング部からナーチャリングを実施します。

インサイドセールスのウェビナー活用成功事例|株式会社スタディスト様

インサイドセールスがウェビナーを最大限に活用するには、データの収集・活用が欠かせません。

株式会社スタディストは、BtoB企業向けのクラウドサービスの開発・コンサルティングサービスを提供する企業です。ウェビナーを通してより多くのリード獲得、およびナーチャリングとクオリフィケーションをするため、ウェビナー動画のアーカイブ配信を開始しました。

アーカイブ動画でナーチャリングとクオリケーションを実現するため、ユーザーが動画内にある要素をタップして能動的に動画視聴ができる「インタラクティブ動画マーケティングMIL」を導入。アーカイブ動画内に「資料請求」や「無料トライアル」などのCTAを設置することで、視聴者が興味を持った段階で行動を促せるようになりました。

ウェビナーインサイドセールス_株式会社スタディストの動画例

さらに、インタラクティブ動画マーケティングMILをSalesforce(SFAツール)とPardot(MAツール)と連携し、動画視聴データに基づいてインサイドセールスがアプローチできる仕組みを構築しました。

ウェビナーインサイドセールス_株式会社スタディストの事例1

まずはPardotを活用して、個別にIDを付与した動画URLをメールでリードに配信。リードがメール経由でアーカイブ動画を視聴すると、視聴時間やタップしたCTA、多くのユーザーに視聴/離脱された箇所などがSalesforceに自動反映されます。

また、視聴時間が75%を超えたらインサイドセールスに通知が届く仕組みも構築。これによりインサイドセールスは、リード一人ひとりの興味関心を把握したうえで、迅速にアプローチできるようになりました。

ウェビナーインサイドセールス_株式会社スタディストの事例2

さらに、インタラクティブ動画マーケティングMILでは、インサイドセールスが日々の業務に使用するSalesforceのお客様ページの中に「動画視聴の簡易レポート」の設置が可能です。インサイドセールスは動画視聴データを確認するために、他のツールやページを開く必要はありません。

同社は、より効果的にウェビナーとインサイドセールスを連携するにあたり、インサイドセールス向けの説明会を開催しデータ活用の認識をそろえる取り組みも行っています。

関連記事:ウェビナーのインタラクティブ動画化でBtoBのリード獲得・育成・商談化を実現

ウェビナーによるナーチャリング・商談化のポイント

ウェビナーでナーチャリング・商談化を最大化するためには、下記ポイントが重要です。

  • アーカイブ配信による継続的なコンテンツ利用
  • インサイドセールスの日常業務への組み込み

以下で、各ポイントの詳細を解説します。

アーカイブ配信による継続的なコンテンツ利用

ウェビナーをアーカイブ配信すれば、リーチ数を最大化できます。ウェビナーに申し込みをしたものの当日に都合がつかなくなったり、忙しい日々を送る意思決定者や日中業務の関係で参加できないターゲットは多々います。GoToWebinarの調査によれば、ウェビナーの平均出席率は44%であり、半数以上の方が当日に参加していないのです。

また、ON24の調査によれば、31%のユーザーがアーカイブ配信のみ視聴すると分かっています。ウェビナーをアーカイブ動画コンテンツとして配信すれば、ライブ配信に参加できなかったターゲットにもアプローチできます。

ウェビナーインサイドセールス_セミナー情報

引用:MIL株式会社 セミナー情報

アーカイブ動画をサイトに常設したり、メルマガで配信したりすることで、ウェビナー参加が難しかったターゲットに対しても情報提供し、ナーチャリングや商談の機会を継続的に創出することが可能です。

インサイドセールスの日常業務への組み込み

ウェビナーをインサイドセールスの日常業務に組み込むことで、熱量の高いリードに迅速にアプローチして、ナーチャリングとクオリフィケーションの効果を高められます。そのためには、ツールの導入が有効です。

例えば、MAツールのスコアリング機能を使うことで、一定のスコアを超えたリードが現れた場合、インサイドセールスへ通知できます。

先ほどご紹介した株式会社スタディストの場合、SFAとMAと連携できる動画配信ツール「インタラクティブ動画マーケティングMIL」を導入し、インサイドセールスがSFA上で動画視聴データを確認できるようにしました。また、確度の高いリードが現れた際に通知が送信される仕組みを構築しました。

顧客管理システムと連携可能なツールを導入することで、インサイドセールスが日常業務でウェビナーの視聴データを確認し、効果的にナーチャリングや商談の提案などができるようになります。

まとめ

ウェビナーを開催するだけでは、効果的なナーチャリングや商談の獲得は困難です。ウェビナーで創出した熱量の高いリードを商談へつなげるためには、インサイドセールスが迅速にアプローチすることが重要。また、事前のターゲット設定やアーカイブ配信も取り入れ迅速に対応することで、リーチ数の最大化を図りましょう。

本記事を参考に、インサイドセールスにウェビナーを利用し、ナーチャリング・商談化の効果を最大化していただければ幸いです。

ウェビナーアーカイブ活用ガイド

執筆者
瀧口 愛

MIL株式会社 マーケティング

Web制作会社でサイト構築に従事後、MIL株式会社へ入社し、マーケティングチームに所属。ウェビナーや展示会実施の基盤を構築し、毎月のウェビナーやオフラインイベントの企画・運営全般を担当している。その他、メルマガ配信やマーケ全体の施策効果分析など、フィールドマーケティング領域全般を担う。

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