2020年3月下旬、日本でも遂に「5G」が解禁されました。
「動画の時代になる」と言われている5G時代では、動画市場はどのように広がりを見せ、動画ビジネス・マーケティングはどのように変わるのでしょうか。
本記事では、「5G」と「動画」それぞれの特性を考えた上で、これから求められる「動画マーケティング」について、徹底的に解説していきます。
目次
「5G」とは
5Gとは、”5th Generation”の略称であり、日本語での正式名称は”第五世代移動通信システム”になります。
今、世界中で広く普及している4G(4th Generation)の次にあたる新たな通信システムです。
総務省5Gイメージ動画
2018年の10月には、総務省の公式YouTubeチャンネルより、5Gを含むさまざまなICTが広く使われた「イメージムービー」が公開され、話題となりました。
動画内では、VRを使用した臨場感ある「スポーツ観戦」や、ドライバーのいない「自動運転」、3Dホログラムを利用した「音楽セッション」など、5G通信によって実現するとされている「未来」が描かれています。
5Gに対する期待が一層高まる動画ではありますが、残念ながらこの世界は「5Gが完全普及した時のイメージ」になるので、5Gサービスの開始(2020年)と同時に実現するわけではありません。
4G同様、徐々に使用可能な範囲が広がっていき、2025年には全国各地で5G通信が利用できるようになると言われています。
5Gが持つ「3つの特徴」
世界中で大きな注目を集めている「5G」ですが、一体何が凄いのでしょうか。
既にご存知の方も多いとは思いますが、ここでは5Gの持つ「3つの特徴」について改めて振り返っていきます。
特徴①「超高速・大容量」
5Gの最も大きな特徴は、「超高速」という点です。4Gの通信速度は最大で1Gbpsでしたが、5Gでは最大10~20Gbpsになると言われています。
速度の例えとして、「2時間の動画を約3秒でダウンロードできる」と言われています。
また、速度と併せて「大容量」であることも特徴の一つです。大きなデータ量を一瞬で届けられるため、スポーツやライブなどのリアルタイムでの動画視聴は勿論、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)を用いたゲームなど、「通信量の大きいリッチコンテンツ」も快適に楽しめるようになります。
特徴②「超低遅延」
2つ目の特徴は「超低遅延」という点です。5Gでは、通信における遅延、いわゆる「タイムラグ」を極めて小さく抑えられます。
この「超低遅延」という特徴は、車の「自動運転」や、ロボットによる「遠隔医療」など、高い安全性が求められる際に必要な技術となっています。
特徴③「多数同時接続」
3つ目の特徴は「多数同時接続」という点です。1平方kmあたり100万台と、大量の端末との接続が可能になります。
家電や車など、あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT」の観点から、「多数同時接続」は重要な要素になっています。
5G利用に関する「よくある質問」
3月下旬に、国内大手キャリア3社(docomo,au,softbank)で「5Gプラン」の提供が開始されました。スマートフォンでの5G通信が可能になることで、よりスマホ利用が快適になります。
ここでは、スマートフォンによる「5G利用」において、よくある質問に答えていきます。
通信は「無制限」に使える?
5Gプランを提供中の大手キャリア3社のプランを見ると、現時点ではauのみが「データ無制限プラン」を提供しています。
とはいえ、docomoでは「最大100GB」、Softbankでは「最大50GB(動画SNSノーカウント)」と、残り2社も限りなく無制限に近いプランを用意しています。
※docomoでは期間限定でデータ量無制限キャンペーン実施中(2020年4月現在)
また、新たに通信キャリアに参入する「Rakuten mobile」は、2020年6月より5G通信を開始する予定であるため、プラン詳細はまだ公表されていません。現在は、4G通信を無制限に利用できる「Rakuten UN-LIMIT」を提供しています。※楽天回線エリアのみ無制限
「どこ」で使えるの?
5G通信が可能な場所は、2020年4月現在ではかなり限られています。
各社ともに使用できる場所は大都市に集中しており、その多くは「駅や観光・商業施設内、各キャリアの店舗」など、特定の場所となっています。
都心を中心にエリアの拡大を進めていますが、docomoは「全国をカバーできるのは2023年頃」と公表しており、普及には数年かかりそうです。
「スマホの買い替え」は必要?
5Gサービスを利用するには、「5G対応のスマートフォン」が必要になります。そのため、お手持ちのスマートフォンが5G対応でなければ、スマホの買い替えが必要になります。
現在では、Sony、SHARP、LG、Samsung、Huaweiなど、スマートフォンを製造している国内外の各社から、5G対応機種が発売されています。
また日本国内では、iPhoneユーザーが全体の半数を占めますが、iPhoneでは、2020年10月14日(日本時間)に正式発表された「iPhone12シリーズ」のみが5G対応機種となっています。
「料金」は上がるの?
国内大手キャリアでは、5Gの利用によって料金が上がります。しかしながら大幅に上がるわけではなさそうです。
例えば、docomoでは通常のプランが「7150円」のところ、5Gプランでは「7650円」と500円差になっています。Softbankでは加入プランに「+1000円」することで使用可能になります。
また現在、5Gに関連したキャンペーンを各社行っているので、今ならお得に5G利用ができそうです。
動画ビジネスの「今」を知る
上記にて、5Gについて大まかにおさらいしました。超高速・大容量化など、4Gに比べ遥かにパワーアップした5Gは、「動画ビジネス」の在り方を大きく変えることになるでしょう。
続いて、「5G時代における動画ビジネス」を考える前に、スマートフォン・4G通信の普及によって、今に至るまでに大きな飛躍を遂げた「動画ビジネスの今」について振り返ってみましょう。
「動画広告市場」が拡大
上記グラフはサイバーエージェントがオンラインビデオ総研においてデジタルインファクトと共同で行った「国内動画広告の市場動向調査」になります。
グラフから分かるように、2019年の市場規模は2018年比で700億円以上増加しており、2023年には2019年の約2倍になると言われています。
動画ビジネスにおいて、「広告市場」は間違いなく広がっていく領域の一つであり、「電車内広告」「タクシー広告」「デジタルサイネージ」といったオフラインでの活用も進んでいます。
「動画SNS」の勃興
動画ビジネスの今を知るにあたり、外せないのが「動画SNS」の急成長です。
代表格である「YouTube」の利用率は、2018年時点で10代で約90%、20代~40代の間でも80%以上と極めて高い数字になっています。
その他、TwitterやFacebookにおいても動画コンテンツが多く見られるようになり、国内では「TikTok」や、Instagramの「ストーリーズ」、海外では「SnapChat」など、ショートムービー系のSNSが、若年層を中心に絶大な人気を誇っています。
このように、広告市場だけでなくSNSにおいても「テキスト+静止画」→「動画」への移行が起きています。
「有料動画配信サービス」の普及
また、「NETFLIX」や「PrimeVideo」といった、映画やドラマを月額課金制で提供する「有料動画配信サービス」の利用も年々伸びており、2019年の利用調査では約23%の人が「利用経験がある」と回答しています。
昨年にはディズニー(Disney DELUXY)、Apple(Apple TV+)といった世界的な大企業もこの市場に参入しており、今後も更なる成長が見込まれています。
5Gは「動画の時代」をアップデートする
「5Gによって動画の時代が来る」とはよく言われたものですが、この言葉は、5G関係なく数年前から言われていました。
実際に、4Gとスマートフォンが広く普及した2020年現在では、
・動画広告市場が拡大、多くのWeb・SNS広告が動画コンテンツに移行
・個人がネット上に動画投稿をする文化が形成、「YouTuber」は子供の人気職業のトップ3常連に
・テレビで視聴していた映画やドラマは、スマホの有料動画配信アプリを通じていつでもどこでも視聴可能に
と動画視聴が生活に深く浸透しており、既に「動画の時代は来た」と言っても過言ではない状況です。
よって、ここでは4Gによって形作られた「動画の時代」を、5Gが「どのようにアップデートするか」を解説いたします。
動画は「見放題」となり、視聴時間が伸びる
4G時代の殆どの通信プランでは、月に使用できる通信量に上限が設けられていたため、ユーザーは視聴に対して制限をかけていました。
一方5G時代では、リッチコンテンツを快適に視聴できても、通信量に制限があれば結局楽しめないため、「無制限プラン」が基本になると予測されています。
実際に、記事の始めで触れた「各キャリアの5Gプラン」から分かるように、「無制限プラン」「超大容量(50~100GB)プラン」が既に用意されています。
超高速通信が無制限で利用可能になると「動画は見放題」になります。これに伴い、5G時代では「一人当たりの視聴時間」が更に伸びていくでしょう。
動画の「回遊性」が高まり、視聴数が増加する
5G時代では、「読み込みが長い」「動画が止まる」といった視聴時のストレスが解消され、圧倒的に視聴が快適になります。
特に視聴開始時のストレスが解消されると、ユーザーは複数の動画を次から次へと視聴していけるため、「動画の回遊性が高まる」ことが予想されます。
「中毒性が在る」とも言えるTikTokの高い回遊性は、「洗練されたUI」「コンテンツ尺の短さ」に加えて「読み込みの短さ」によって成立しています。一本一本の読み込み時間が長ければ、数十分間も動画を回遊し続けるといったことは起きません。
超高速通信で視聴が快適になり、あらゆる媒体上のあらゆる尺の動画がスムーズに切り替え可能になることで、人々は今まで以上に動画を切り替えるようになり、「一人当たりの視聴数」が増加するでしょう。
リッチな動画コンテンツが「日常的」に視聴される
5Gによる大容量化によって、通常動画だけではなく、超高画質4K・8Kや、VR、360°動画などといった、「リッチな動画コンテンツ」の視聴もスムーズになります。
リッチ動画の視聴には、ある程度整った視聴環境が求められるため、4G時代では視聴が難しい動画として扱われていました。
5G時代では気軽に見られるようになるため、これらも日常的に視聴する「動画」の一つとして浸透していくでしょう。
ライブ配信は、より「リアルな体験」に
5Gによって、動画の視聴だけでなく「配信」もアップデートされます。特にリアルタイムで配信をする「ライブ配信」はその恩恵を大いに受けるでしょう。
現在のライブ配信が抱えている「画質が悪い」「動きが止まる」「遅延がある」などといった問題は、「超高速・大容量通信」「超低遅延」という5Gの特徴により解消されます。
これにより、視聴側と配信側による「リアルタイムでのインタラクティブ(双方向的)なやりとり」の質は格段に上がり、ライブ配信はより「リアルな体験」に昇華するでしょう。
発信やコミュニケーションに「動画」を活用
動画活用は商業的な場だけなく、一般にも広まることになります。
SNS上では「動画」によって日常を発信。音声だけで行われていた通話は「ビデオ通話」にシフト。今いる場所や状況を共有するために「身の回りを数秒の動画に収めて送る」。など、日常生活における活用シーンは既に増えています。
このようにかつて「テキスト、音声、静止画」を活用して行っていた「日常の発信やコミュニケーション」は、5G普及後には本格的に「動画」に置き換わることになり、一般での動画活用はより身近なものとなるでしょう。
5G時代で変わる「動画ビジネス」
上記では、「5Gが動画の時代をどのようにアップデートするか」を解説しました。
通常のものからリッチなコンテンツまで気軽に視聴出来るようになることで、人々が動画に接する機会が今以上に増える「5G時代」。その中で「動画ビジネス」はどのように変わっていくのでしょうか。
前述した内容を基に、解説していきます。
動画マーケティングは「運用」がポイントに
5G時代では、視聴環境が整うことにより、あらゆるマーケティング活動において「動画活用の機会」が増えます。
動画活用が当たり前になると、動画コンテンツは飽和状態となるため、「とりあえず動画にすれば効果が出る」といった、媒体そのものの優位性には期待できなくなります。
よって、「とりあえず」ではなく「狙って」効果の出る動画施策を目指す必要があり、今後は動画を「効果計測し、改善する」能力が求められるでしょう。
5G時代に動画施策を行うマーケティングチームや制作会社には、動画を「作って終わり」ではなく、Webサイトのように「運用する」という考えが必要になります。
「リッチ動画」の活用増加、経験のある企業が重宝される
通信の高速化・大容量化により、ユーザーは手軽にリッチ動画を視聴出来るようになります。そのため、通常動画の活用と合わせて、リッチ動画の活用も間違いなく増えるでしょう。
特に、動画コンテンツで溢れる5G時代には、「4K・8K(超高画質)」「AR・VR、360°動画(高い没入感)」「インタラクティブ動画(ユニークな仕掛け)」などを用いた、新しい視聴体験が求められます。
リッチ動画の活用が当たり前となる5G時代では、こういった動画の制作・運用経験のある企業が重宝されることになりそうです。
ライブ配信に特化した「個人」が台頭
5G通信により、極めて「リアル」に近いライブ配信が可能になります
これにより、ライブ配信を用いた「ダイレクト課金」「ライブコマース」が盛んになり、ライブ配信を通じて稼ぐ「個人(ライバー)」は今以上に増えるでしょう。
中国では既に盛り上がりを見せている「ライブ配信業」ですが、日本国内でも5Gの普及を契機に、規模の拡大が予想されます。
企業、個人の両方で「動画制作」にニーズ
SNSでの発信を「写真ベース」にしたInstagramの普及により、スマホで撮った写真を加工する人が急増。今や簡単な「コラージュ」「レタッチ」などの写真加工は、スマホを用いて誰でも出来るようになりました。
5G時代では、発信が「動画ベース」になるため、スマホで撮影した動画を編集する人が増え、若年層を中心とした多くの人が「動画編集アプリ」をスマホに入れることになるでしょう。
既に多くの「動画編集アプリ」がリリースされており、クリエイティブツールで有名な「Adobe」も、2018年10月に動画編集アプリ「Adobe Rush」をリリースしました。
また、動画の活用機会が増えることから、企業においても「動画を内製したい」というニーズが高まるため、誰でも簡単に動画制作が出来る「Video Brain」や「RICHKA」などといった、動画制作サービスのニーズが高まりそうです。
5G時代も変わらない「動画の弱点」
テキストや静止画に比べ、圧倒的に訴求力の高い「動画コンテンツ」。5G時代では視聴環境が完璧に整うことから、そのポテンシャルが存分に発揮されるでしょう。
ここまで、動画を「弱点無しのコンテンツ」かのように扱ってきましたが、実は「弱点」も存在します。
「5G時代の動画マーケティング」を攻略するにあたり、まずは「動画の弱点」について把握しましょう。
弱点①「一方的」に進む
メディア(媒体)は「双方向的」である方が、効率良く情報収集できます。「双方向性」の重要性について考えるには、「Webサイト」を例にとると分かりやすいでしょう。
例えば、この「MILブログ」の記事ページには、冒頭に「目次」がついています。また、右上には「メニューバー」、左上を押すと「記事一覧」が開かれるので、クリックを通じて知りたい情報を自ら選び取ることができます。
ところが、動画は「一方的」に進みます。
メニューバーや目次は用意されておらず、自分の知りたい情報を見つけるには、内容を見ながらシークバーを細かに動かして探す必要があります。これは数十分、数時間の長尺コンテンツであった場合、かなりの労力がかかります。
弱点②ユーザーごとの「最適化」が難しい
動画マーケティングに詳しい米BriggsbyのCEOであるJustin Briggs氏は、YouTubeでは20秒間で5割のユーザーが離脱すると話しています。
この高い離脱率は、動画がどのユーザーに対しても同じ内容で進行するため、ユーザーごとの「最適化」が難しいことに起因します。
仮に「興味のある内容」が後半にあったとしても、視聴開始の段階で内容を選ぶことは出来ないため、最初の20秒に興味がなければそのまま離脱してしまいます。
そのため、動画を最後まで見てもらうには、「一方的に見せ続ける技術」が必要になります。
弱点③取得可能な「データ」が少ない
また、「取得可能データが少ない」という弱点もあります。
例えば「YouTubeアナリティクス」では、視聴回数や視聴率、視聴者の属性など「動画外のデータ」は取れますが、ユーザーが何に興味を持って視聴しているかといった「動画内の視聴データ」は計測出来ません。
アドネットワーク上での「動画広告配信」となれば、さらに取得できるデータ量は少なくなります。
弱点④リアルタイムでの「改善」が難しい
せっかく問題点を発見し動画を改善しようにも、「再編集から書き出し」まで行うにはかなりの工数がかかります。
また、例えばYouTubeでは「投稿した動画を差し替える」ことができないため、別のものとして再投稿しなければなりません。
このように、動画はリアルタイムでの「改善」が難しいため、Webサイトのように「PDCAを回しながら運用する」ことが出来ず、施策の終わりに全てを振り返り「次回に生かそう」で終わってしまう傾向にあります。
5G時代の動画マーケティング①「一方的に見せ続ける」
先ほど解説した「弱点①、②」から分かるように、動画は全てのユーザーに対して同じ内容で、一方的に進みます。そのため、動画コンテンツが増え、更に快適に切り替えられる5G時代では、今まで以上に視聴維持の獲得が難しくなるでしょう。
よって、人々が動画を大量消費する5G時代で、より長い時間視聴してもらうためには動画を「一方的に見せ続ける」技術が必要になります。
ここでは、一方的に見せ続けるポイントについて、4G時代からのヒントを基に解説していきます。
スマホ視聴を意識する
YouTubeでは、2018年時点で40才未満の80%が「スマホ」のみで動画を視聴しており、今後も「スマホ視聴」は拡大することが予想されます。
よって、「PCからの視聴が圧倒的に多いメディア」でない限りは、スマホ視聴を前提に制作すべきでしょう。
スマホ視聴の特徴は、「画面が小さく、顔との距離が近い」「一人で視聴している」「ながら見が難しい」という点であり、ユーザーは良くも悪くも集中して視聴しています。
この点を意識すると、一方的に見せ続けられる「動画」の形が見えてきます。
情報を「凝縮」する
「動画」の専門家として、多くの動画制作を手掛ける「ONE MEDIA」代表の明石ガクトさんは、「Information Per Time=IPT(時間あたりの情報量)」という指標について、著書の「動画2.0」で語っています。
ながら見のできる「テレビ」ならともかく、集中して視聴する「スマホ」の場合、この「IPT(時間あたりの情報量)」が低い動画を見続けるのはかなりストレスであるため、スピード感が無く、情報量の少ないシーンが続くと離脱に繋がります。
よって動画を「一方的に見せ続ける」には、スピード感・情報量を意識し「情報を凝縮する」必要があります。
トップYouTuberに習う「スピード感」
国内YouTuberの単一チャンネルとして、日本一の登録者数を持つ「はじめしゃちょー」さん。
若年層から絶大な人気を誇る彼の動画では、「えー」や「うーん」といった言葉の繋ぎをYouTuber流の「ジャンプカット」を多用して細かく切ることで、極めて速い「スピード感」で進行しています。
上記動画は極端な例になりますが、このように「スピードを速く保つ」ことは、情報の濃度を高める工夫の一つと言えるでしょう。
ONE MEDIAによる「圧倒的な情報量」
先ほど紹介したONE MEDIAが制作する動画は、自ら「情報の凝縮」を推奨するだけあり、時間あたりの情報量が極めて多くなっています。
上記の事例では、たったの50秒で「ジャンクフードを食べ過ぎてしまう原因」をロジカルに解説しています。
「スピード感」は勿論、「画面内の何かが必ず動いている」といった視覚的に飽きさせない工夫も施されており、圧倒的な情報量を武器に、動画を一方的に見せ続けています。
5G時代の動画マーケティング②「双方向的に見せる」
5G時代の動画マーケティングにおいて、もう一つお勧めしたい手法が「インタラクティブ(双方向的)な動画」になります。
インタラクティブ動画では、動画を「一方的に見せ続ける工夫」ではなく、「双方向的に見せるギミック」を仕掛けることで、「動画の弱点」を解消しています。
インタラクティブ動画とは?
インタラクティブ動画とは、簡潔に言うと「触れる動画」になります。機能としては、「Webサイト」と「動画」のハイブリットと考えていいでしょう。
インタラクティブ動画を用いると、ユーザーのタップに応じて「動画内容が切り替わる」「特定の時点にスキップ」「商品詳細をポップアップ表示」など、様々な機能を動画上に仕掛けることができます。
特に、「画面に触れて」操作するスマートフォンと、「動画に触れる」インタラクティブ動画はUX上相性が良く、ユーザーに新たな視聴体験を提供する「リッチ動画」としても活用できます。
では、インタラクティブ動画を用いることで具体的にどのようなメリットがあるのか、実際の事例を交えながら下記で紹介していきます。
メリット①「双方向的な情報収集ができる」
通常動画には、「一方的に進むため情報収集の効率が悪い」という弱点がありました。
インタラクティブ動画は、その名の通り双方向的なので、知りたい情報を自分で選び取ることができます。
例えば上記事例では、画面左側に「目次」が設置されています。これによりユーザーは、概要を先に把握し、更に目次をタップすることで気になるテーマから視聴することが可能です。
情報量が多いものの、情報収集には適していなかった「動画コンテンツ」は、インタラクティブ化することで、そのポテンシャルを最大限発揮することができます。
メリット②「情報を最適化できる」
全てのユーザーに同じ内容が流れるため、ユーザーごとに「情報を最適化できない」という弱点を抱えていた動画ですが、インタラクティブ動画の場合「ストーリー分岐機能」を用いることで、情報を最適化することができます。
※ストーリー分岐機能:ユーザーの選択に応じて、再生される動画(ストーリー)が変わる機能
三井住友カード様「動画の順番・内容を最適化」
上記事例では、「カードの特長」を個人事業主やスタートアップ経営者のニーズに置き換え、「ストーリー分岐機能」を用いることで、まず何を知りたいかをユーザーに選択させています。
これにより、ユーザーごとに最適な順番・内容で動画を再生し、効果的にカードの特長を訴求しています。
脱毛診断動画「最適なサロンをおすすめ」
上記事例は、動画による「診断コンテンツ」となっています。動画内の質問に対してタップで回答していくことで、回答内容に合わせた「最適な脱毛サロン」が、最後にオススメされる仕組みです。
これにより、ユーザーごとに紹介する商品・サービスを最適化することができます。
メリット③「取得データが豊富」
インタラクティブ動画(MIL)では、「視聴回数」「視聴率」に加え、「全てのインタラクション(タップ)率」を計測することができます。
これによりどの商品が一番人気か、どの内容に最もニーズがあるかなど、「視聴者が何に興味を持って視聴していたか」を測る「動画内の視聴データ」を、タップを通じて収集することが可能になっています。
また、動画経由での「Webサイトへの遷移数」「コンバージョン数」など、視聴後のアクションまで計測可能であるため、インタラクティブ動画1本で、動画マーケティングに必要なデータを網羅することができます。
※取得データは1時間ごとに管理画面に上がります
メリット④「動画の運用が可能」
インタラクティブ動画(MIL)では、動画の差し替えやインタラクション機能の変更を、動画URLをそのままにリアルタイムで反映させることができます。
計測機能と合わせて、「効果の計測」「改善の反映」をリアルタイムで行うことで、配信中であっても積極的にPDCAを回すことが可能です。
従来の「制作して終わり」の施策ではなく、効果が出るまで改善する「動画の運用」を行うには、最適な媒体となっています。
メリット⑤「ユーザーを楽しませるリッチ動画を制作可能」
インタラクティブ動画では、動画マーケティングとしての活用は勿論、ユニークな機能を用いた新たな視聴体験の提供も可能です。
動画コンテンツが溢れる5G時代に求められる、ユーザーを楽しませる「リッチ動画」の制作事例を紹介いたします。
フュールメディア様「スイッチング機能」
上記事例は、タップ(クリック)している間だけ動画が切り替わる「スイッチング機能」を用いた事例です。
スイッチング機能は、「昼と夜」「親と子」といった二面性のあるクリエイティブと相性が良く、物事の「表と裏」を画面へのタップを通じて伝えることができます。
MILPR動画"観る"「360°動画」
上記事例は、「360°×インタラクティブ」の機能を持つ、「ミステリー動画」となっています。
360°動画内には「ヒント(触れるポイント)」を仕掛けられており、ユーザーはヒントをタップで探しながら、ミステリーの解決を目指します。
インタラクティブ動画制作プラットフォーム「MIL」
上記のような「インタラクティブ動画の制作」「視聴データの収集」「リアルタイムでの改善」は、全て「MIL」の機能で行うことができます。
MILは、SaaSモデルで提供されている「インタラクティブ動画制作・運用プラットフォーム」になっており、「誰でも・素早く・簡単に」をテーマに、ツールの提供とインタラクティブ動画の企画・制作・運用に関するサポートを行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
5Gにおける「動画ビジネス」「動画マーケティング」について理解するにあたり、本記事は少しでもお役立ちいただけましたでしょうか?
5Gの普及へ向けて、動画制作をこれから始める企業様、動画+αを考えていた担当者様も代理店様も、是非これを機に動画マーケティングの新手法として、「インタラクティブ動画」に取り組んではいかがでしょうか?
執筆者
田中
MIL株式会社 クリエイティブグループ エディター
1997年生まれ、神奈川県出身。大学在学中にインターンとしてMIL株式会社にジョインし、2020年12月に入社。インタラクティブ動画を専門とした制作経験を活かし、クリエイティブグループでは主に、インタラクティブ動画特有のUIデザインや映像編集を担当する。