【セミナーレポート】「エアークローゼット」の急成長を実現した、デジタル時代の顧客体験戦略

当記事では、MIL株式会社の開催したウェビナー「”エアークローゼット”の急成長を実現した、デジタル時代の顧客体験戦略」の内容をレポート形式でお届けいたします。本セミナーは、MIL株式会社 CFO 兼 マーケティングマネジャーの榎本がエアークローゼット様のオフィスを訪問し、株式会社エアークローゼット 執行役員 社長室長 兼 マーケティンググループ長の石川 桂太様に対談形式でお話を伺いました。

※当記事は抜粋版になりますので、詳しい内容が気になった方は、ぜひ以下よりアーカイブ動画をご視聴ください!

登壇者

石川 桂太 氏

株式会社エアークローゼット 執行役員/社長室長・マーケティンググループ長

慶應義塾大学卒業、公認会計士試験合格後に株式会社野村総合研究所インド法人に現地採用で新卒入社し、事業コンサルやM&A業務に従事。2015年創業初年度に株式会社エアークローゼットへ入社。事業計画策定・資金調達等に従事した後、社長室・マーケティング部門を立ち上げ、現在は新規事業開発・マーケティングを統括。

榎本 陽介

MIL株式会社 CFO/コーポレート部長/マーケティングマネジャー

有限責任あずさ監査法人にて国内外の金融機関・事業会社に対する会計監査、財務DD業務、事業再生業務を担当。
その後株式会社LITALICOで事業企画部マネジャーとして予算策定、予実管理、管理会計体制構築、中期経営計画・事業戦略策定支援などに従事。2020年11月MIL株式会社へ入社。現在は、CFO・コーポレート部長・マーケティングマネジャーを兼任している。公認会計士・税理士。

月額制ファッションレンタルサービス『airCloset』とは

はじめに『airCloset』のサービス内容やターゲットについて、石川様よりご説明をいただきました。

エアークローゼットは、「”ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」というビジョンを掲げ、ワクワクするようなライフスタイルを作っていきたいという想いから、生まれた会社です。現在の主要サービスは月額制のファッションレンタルサービス『air Closet』

オンライン上でご登録いただいた情報(サイズやお好みなど)を元に、スタイリストがお洋服を選んでお届けするサービスで、返却期限はなくクリーニングをする必要もありません。気に入ったお洋服は購入も可能。返却するとまた次のお洋服が届き、新しいファッションを試すことができます。スタイリスト・第三者が選ぶことで、自分では選ばないようなお洋服との出会いを生み出します。

2015年2月の設立以来、模索しながら「普段着のレンタル」という新しい市場を創造し続け、2022年7月にグロース市場へ上場。現在、会員数は100万人を突破しています。

お客様の大半は「お仕事をされている」という特徴があり、20代から50代近くまで、幅広い層の方にご利用いただいています。また約半数はお子様がいらっしゃる‟ママ”。『air Closet』はそうした忙しい女性達へ「感動するお洋服との出会い」を提供しています。

顧客接点のデジタル化における課題

従来は「物理的な顧客接点」が中心にあり、多くの企業は、その補強として「デジタルチャネル」を活用していましたが、コロナ以降は「デジタルを中心とした顧客体験」へと移り変わっています。当章では、コロナ以降に起きた「顧客接点のデジタル化」について榎本が解説した後、デジタル化に伴う『air Closet』の課題を石川様へお伺いしました。

デジタル化した顧客接点は「メリット」が既に浸透しているため、今後もデジタル接点での購買が中心になると予測できます。ただ、デジタル上で商材を訴求する際のデメリットの一つとして「情報量の多さ」が挙げられます。

インターネット上の情報量が増えてきている中、ユーザーは、自分に適した情報を効率よく取得したいというニーズが高まっています。それに対し、企業のWebページは「画像と文字で構成された長尺ページ」が未だに主流。デジタル接点において、短時間でいかにお客様に深く、伝わるコミュニケーションを実現するか?に注力する必要があります。

「『air Closet』の場合、これまでにないサービス・提供価値であるため、サイトをパッと見ただけでサービス内容を理解をしたり、価値を感じることが難しい。‟ファッションレンタル”、‟スタイリストが選ぶ”、‟サブスク”などと、全てが新しい概念なので、サービスを理解して『このサービス良いな』と共感して利用を始めていただくまでには、高いハードルがあると感じていました」(石川様)

airClosetの戦略・マーケティングの考え方(Who/What編)

続く章では、『airCloset』の「Who/What」をどのように定めていったのか?具体的な手法とマーケティング戦略について詳しく伺いました。


PRで『airCloset』の事業を伸長させた後、さらに計画的な成長を見据えてマーケティング組織を立ち上げました。「ファッションレンタル、サブスクで新しい」と発信しても、価値がなかなか伝わらない状況の中、改めて「Who/What/How」を定めることに。色々な人の話を聞いたり、調べていく中で、「Who/What/Howを定義するヒントは、ロイヤル顧客や今ご利用いただいているお客様の中にある」と知り、お客様へのインタビューを開始します。

お客様がインサイトをそのまま言ってくれるケースは少なく、言葉の断片からインサイトを汲み取って仮説を立てる必要があります。お客様間の共通点(インサイト)から一般の勝ち筋を見出し、また逆に尖った使い方をしているお客様から新しいチャンスを見つけていきました。その二種類の声を見い出すために、一定数のインタビューを重ねました。また、多くのインタビューを見ていく中で「右脳的に・本能的にはこういうことをしたいが、左脳的に考えるとできない」という点がインサイトになっているケースが多いと気づきます。

こうして見出したインサイトを元にWhoとWhatを定義し、テレビCMなどのクリエイティブへ反映しました。

「Who/Whatを再定義し、サービスを伝えるメッセージを尖らせることができました。また、インタビューを元に、マーケティングチーム全体で顧客像を共有し、”同じ顧客像”に合わせた視点が持てるようになったのも、大きなメリットです。お客様の声から仮説を立てることをチームとして大事にしており、今現在もずっと続けています。年間100本のインタビューを実施していて、可能な限り私も参加しますし、出られない場合は動画で拝見しています」(石川様)

airClosetの戦略・マーケティングの考え方(HOW編)

ここからは、前章で再構築した「Who/What」をどのように届けているか?「How」に対する考え方と具体的な施策内容について詳しく伺いました。

「How」においては「分散×パーソナライズ」と「体感時間をいかに減らすか」という2つの視点に基づき、施策を実施しています。

<分散×パーソナライズ>

分散とは、「なぜairClosetが必要なのか?」を強く訴求するために、Who/Whatを細かく分解してデジタル広告のクリエイティブを出し分けること。受け皿となるLPも、訴求に合わせてできる限り変えて分散させました。

次に、パーソナライズとは、分散させた訴求に合わせて、多様なLPを展開することです。air Closetのサービスサイトに遷移する前に「クッションLP・ブリッジLP、アンケートLP、記事LP」などを挟み、サービス理解を深めてから、サービスサイトへ飛ばすフローを構築しています。

<体感時間をいかに減らすか>
「分散×パーソナライズ」を進める一方で、「デジタル上の情報提供において、いかにお客様の体感時間を減らしていけるか?」にも注力。実際にかかる時間よりも「楽しいか?楽しくないか?」「途中で体験が止まるか?サクサク進めるか?」などが大切だと考え、‟体感時間”をいかに減らして、‟楽しさ”にもっていけるかを追求しました。

体感時間を減らすため、具体的に2つのアプローチ(How)を実施。

一つは開封動画コンテンツの活用です。「プロのコーデが自宅に届く」という価値を訴求するため、「届いたパッケージを破る」という動画を展開します。非常に反応が良かったのですが、動画のクリエイティブを見た後に静止画のLPへと飛ぶことで違和感・断絶が生じていました。

そこで二つ目として、インタラクティブ動画(触れる動画)の活用を開始します。

開封動画からの遷移先をインタラクティブ動画を使ったLPに差し替えたところ、有料会員のCVRが160%向上しました(既存の記事LP・アンケートLPと比較)。

まずインセンティブをフックに、動画内で5つのアンケートに回答していただきます。回答を通じて自身のお洋服に関する悩みを想起させ、その悩みの解決にはエアークローゼットが役立つと提案。特徴を説明する理解促進パートでサービスを自分ごと化して捉えていただき、理解関心が高まった状態で、最終画面に「期間限定の割引クーポン」が提示され、サービスサイトの利用申込ページにそのまま遷移します。

インタラクティブ動画が、CVRに貢献した要因として、3点が考えられます。

まず1点目は、動画バナー(開封動画)との相性の良さ。連続した「サクサク感」「スムーズ感」は離脱を防ぎ、アクションを前に進めるために重要であると考えます。

2点目は、体感時間の短さです。ユーザー毎に好きなペースで読み進められるので、次々と飛ばしていくこともできるし、気になる点があれば戻れる。体感時間の減少に役立ちます。

3点目は、お客様にサービス内容を伝える「理解促進パート」で、しっかりと価値を訴求し、購入までの心理的バリアを破壊できたこと。

「MILさんから『理解促進パートは長くないと伝わらない。読み飛ばすこともできるので、しっかりと長くした方が、エアークローゼットの場合は相性が良い』とアドバイスいただき、半信半疑の中、実施したところ、結果につながりました。秒数など実際の時間ではなく、お客様にとってどんな時間になるのかという‟体感時間”が重要なのだと学びました」(石川様)

「世の中やお客様のニーズが変わる中、エアークローゼットに求められることも時代と共に変わっていきます。そうした変化に遅れないように、今後もお客様インタビューを続け、お客様の理解を深めていきたい。またいくらメッセージ(Who/What)を定義しても、Howをやりきらないと意味がないので、整合した戦術を作り、実行することが大切です。そのために、MILさんのようなパートナーの力を借りながら、チームで徹底して取り組むことが重要だと考えています」(石川様)

ウェビナーアーカイブ視聴

今回ご紹介した記事は、ウェビナーから抜粋した内容となっております。以下より完全版をご覧いただけますので、ぜひ実際の石川様のお話を聞き、理解を深めていただければ幸いです。

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