自社サイトの記事が「参考情報」「引用記事」などととして他サイトに紹介され、リンクされていると、検索エンジンから「良質な記事が掲載されたサイト」だと認識され、検索結果の上昇や流入増加につながります。
当記事では「被リンク」の獲得がSEOにもたらす効果や、良質な被リンクを獲得する方法、被リンクを獲得する際の注意点、被リンクのチェックに役立つツールをご紹介します。SEOを強化し、自社サイトへのアクセスを改善したい方の参考になれば幸いです。
目次
被リンクとは?SEOにおける被リンクの効果
「被リンク」とは、外部サイトに自社のサイトのリンクが掲載されている状態を指し、「外部リンク」とも呼ばれます。「被」は「受ける、こうむる」という意味ですから、被リンクとは「リンクの貼付を受ける」「リンクされる」という状態を指します。
SEO(検索エンジンの最適化)における被リンク獲得の効果は、主に以下の2点です。
- Googleからのサイト・ページへの評価向上
- トラフィック・検索順位の増加
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
Googleからのサイト・ページへの評価向上
1つ目は、Googleからのサイト・ページへの評価が向上する、という効果です。
Google は、「Google が掲げる 10 の事実」において、重視するポリシーを紹介しています。そこには、以下のように明記されています。
「どのサイトのコンテンツが重要かを判断するうえで、膨大なユーザーがウェブサイトに張ったリンクを基準としている」
「PageRankのアルゴリズムでは、ページ間のリンクを『投票』と解釈し、どのサイトが他のページから最高の情報源として投票されているかを分析」
つまり、ページ間のリンクの多さはは「最高の情報源である」と他のページから「投票」されている証であるとみなされるため、Googleからの評価向上につながるという仕組みなのです。
「被リンク」があればクローラー(検索順位策定のための情報収集プログラム)が巡回しやすくなるので、ページがインデックス(検索エンジンに記録されるサイト情報)に認識されやすくなり、サイトの評価が向上する好循環が生まれます。
トラフィックの増加
被リンクが増加し、Googleからの評価が高まることで、トラフィック増加の効果も見込めます。
以下のahrefs社の調査結果によると、被リンクの数は、オーガニック検索のトラフィックと相関性があると分かります。また同調査では、被リンクの数とキーワード順位の間にも、同様の相関性が出ています。
これらの結果から、被リンクの増加により検索順位が上がり、結果としてトラフィックが増えていることが読み取れるでしょう。
被リンクには「良質な被リンク」と「悪質な被リンク」の2種類がある
SEOに効果のある被リンクですが、自社サイトのリンクが設置されるサイトによって、良質なものと悪質なものに分類されます。
良質な被リンクは「ナチュラルリンク」とも呼ばれ、自然な流れで設置されるものです。悪質な被リンクは「スパムリンク」とも呼ばれ、関連性が低く、故意に設置されてしまいます。
それぞれについて詳しく、見ていきましょう。
良質な被リンク(ナチュラルリンク)とは?
良質な被リンクは「ナチュラルリンク」とも呼ばれる通り、作為的ではなく、自然な流れで設置されるリンクです。
例えば、都道府県の観光情報についてのサイトに、見学やものづくり体験ができる工場のサイトや、アスレチックなどのレジャー施設のサイトのリンクが紹介されているのは、極めて自然なことでしょう。また、今ご覧いただいているこの記事に掲載しているGoogleの「Google が掲げる 10 の事実」のページをリンクさせていることも、記事の内容に興味をもつユーザーにとって有用な情報となるため、良質なリンクといえます。
このように、サイトの内容に関連性が高いページのリンク掲載はユーザーの興味や関心に沿っているため、「重要な情報を発信している」と判断され、サイトへの高評価につながります。
悪質な被リンク(スパムリンク)とは?
一方、悪質な被リンクは「スパムリンク」とも呼ばれ、迷惑メールのように、迷惑で歓迎しがたい被リンクを指します。
Googleが定める「ウェブマスター向けガイドライン」では、リンク掲載に関して金銭をやり取りしたり、お互いに過剰なリンクを掲載し合ったり、自動化されたプログラムによって自社サイトへのリンクを作成したりといった、コンテンツの内容に沿わないリンクを故意に設置することはガイドラインの違反になると明記されています。
引用:Google「ウェブマスター向けガイドライン:リンクプログラム」
2012年以前は、被リンクの大量獲得によって検索順位を操作する「ブラックハットSEO」と呼ばれる手法が横行していました。Googleはそれに対して、2012年から段階的にペンギンアップデート(被リンクに関するアルゴリズムの改善)を実施。依頼、低品質なコンテンツを不正な方法で検索上位に表示させているWebサイトの評価が下がり、インデックスの削除(検索結果に表示されなくなる)などのペナルティが課せられるようになりました。それ以降、被リンクは「量」から「質」を問うものへと改善されています。
悪質な被リンクは、放置しておくとこちらのサイトの評価まで下がるリスクが出てきますので、チェックツールを使って元リンクを洗い出し、被リンクを解消しなくてはなりません。チェックツールで洗い出す方法やおすすめのチェックツールについては、後の章でご紹介します。
良質な被リンクの増やし方
それでは、良質な被リンクを増やすには、どのようにしたら良いのでしょうか?
被リンクを獲得するには「このコンテンツやサイトを紹介したい!」と他者の心を動かす必要があります。
具体的な方法として、以下の4点をご紹介します。
- 「唯一無二の良質なコンテンツ」をつくる
- シェアしやすいページをつくる
- 露出を増やす
- 相互補完を目的としたパートナーシップを組む
それぞれについて、見ていきましょう。
「唯一無二の良質なコンテンツ」を作る
まず大切なことは、関連性のあるサイトからリンクを獲得することです。関連性があり、高品質なサイトからのリンクが増えることで、そのジャンルにおける「信頼できるドメイン」だと判断され、専門サイトとしての評価が高まるからです。
Googleのリンクプログラムにも以下のような記載があります。
自分のサイトに他のサイトから高品質で関連性の高いリンクを作ってもらうには、インターネット コミュニティで自然に人気を得られるような、関連性の高い独自のコンテンツを作成するのが最も効果的な方法です。良質なコンテンツを作成すると、それが利益につながります。
リンクは編集者による人気投票のようなもので、役に立つコンテンツを多く提供するほど、そうしたコンテンツが自サイトのユーザーにとって有益だと気付く人が増え、そのサイト コンテンツへのリンクを設定してもらえる可能性が高くなります。
「良質なコンテンツ」「役に立つコンテンツ」とは、ユーザーの検索意図に沿って、信頼のおける情報をわかりやすく表現しており、他のページにはないオリジナルの要素が入った記事と言えるでしょう。例えば以下のような記事が該当します。
「E-A-T」の高い記事
Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)のある内容。例えば専門家による執筆・監修記事のみを載せる、省庁など信頼性の高いデータを根拠として引用するなど。特にYMYL領域の情報を取り扱うメディアでは、E-A-Tの重要性が高まっています。
調査データ・アンケート調査
調査やアンケート結果などは、その企業だけのオリジナルなコンテンツであり、他記事での主張の根拠として「引用」されやすいと言えるでしょう。「調査データの引用・掲載は自由ですが、調査名・企業名を出し、必ずリンクを貼ってください」などと注意書きを添えて、被リンクを受けられるようにすると良いでしょう。
わかりやすいクリエイティブで表現した記事
多くの情報を分かりやすく整理した「比較表」、データや情報を、図やイラストでわかりやすく表現する「インフォグラフィック」、特定業界のプロダクトや企業の関係性を表した業界地図「カオスマップ」なども、被リンクを受けやすいコンテンツです。
また「動画」を使えば、複雑な内容を視聴覚データを通じて分かりやすく表現できます。アメリカの調査会社Forrester ResearchのJames McQuivey博士は「1分間の動画は、180万字に相当する情報量を伝えられる」と公表しており、180万字を一般的なWebページに換算した場合、約3,600ページ分にもなります。
動画は図や表と違って真似されにくく、さらにオリジナリティが高いため、動画を埋め込んでいるページも共有されやすいと言えるでしょう。ツールなどの使い方の説明動画、商品特徴の説明動画、専門家による解説動画、ユーザーの声のインタビュー動画など、様々なパターンが考えられます。
ユーザーがシェアしやすいページを作る
2つ目は、ユーザーがシェアしやすいページを作ることです。
サイトを作成する際、TwitterやLINE、FacebookやInstagramなどのSNSへリンクするソーシャルボタンを簡単に作れる機能があります。それらのボタンの位置を工夫し、記事を読んだユーザーが気軽にシェアできる流れを作りましょう。ユーザーが気づきやすい、わかりやすい箇所が効果的。例えば、ページのタイトル付近や、記事内の文章の終わった箇所などが良いでしょう。
ちなみに当ブログでは、タイトルの下に設置しています。
露出を増やす
3つ目は、露出を増やすことです。
自社サイト運営と同時にSNSのアカウントを作成して、そちらでもサイトを宣伝します。サイトに新着情報があるときや内容アップデートをした際にはSNSでも必ず発信し、他サイト運営者の目に留まるよう露出を多くしていきましょう。
ほかにも、SNS広告やGoogle広告を出稿したり、メルマガを配信したり、PRメディアに寄稿する手法があります。このような働きかけによって、自社の記事がより多くの企業やユーザーの目に触れるよう心がけましょう。
相互補完を目的としたパートナーシップを組む
4つ目は、相互補完を目的としたパートナーシップを組むことです。
相互補完とは、サイト同士でお互いにリンクを貼り合うことを指します。とはいえ、Googleの「リンクプログラム」には、過剰な相互リンク(リンクする代わりにリンクしてもらう)や、相互リンクのみを目的としてパートナーページを作成することが違反だとされており、ただ単にリンクを貼り合うだけでは補完効果は見込めません。
例えば、パートナー企業や取引先と共催したウェビナーを紹介する記事や、自社のサービスを導入してどんな成果があったか成功事例をクライアントに話してもらうインタビュー記事であれば、お互いの関係性があるので、リンク掲載は自然なものとなります。
被リンクを獲得する際の注意点
良質な被リンクを獲得するためには、コンテンツを磨くだけでなく悪質な被リンクを回避していかなくてはなりません。Googleの「ウェブマスター向けガイドライン」
によると、悪質な被リンクを放置していると、サイト削除などのペナルティを受ける場合があります。
そのため、次のようなポイントに注意しましょう。
- 被リンクは購入しない
- 関連性の低いページからの被リンクは避ける
- 質の低いページからの被リンクは避ける
被リンクは購入しない
1つ目は、被リンクは購入しないことです。
被リンクを他のサイトと売買する行為は、Googleの「リンクプログラム」でガイドラインに違反する行為だとされています。
購入によりリンクが増えて、重要なページだと検索エンジンに認識され検索順位が上がるとすれば、ユーザーにとって役立つページではないおそれが発生し、検索の妥当性が崩れるからです。このような操作で検索順位が変動するようでは、誰も検索エンジンを信用しなくなり、コンテンツ制作に注力しても意味がないという事態を招いてしまうため、Googleは禁止しているのです。
Googleで禁止されている行為は、絶対に避けましょう。
関連性の低いページからの被リンクは避ける
続いて2つ目は、関連性の低いページからの被リンクは避けることです。
内容にそぐわないキーワードや、関連性の低いページとのつながりがサイトに掲載されていると、ユーザーにとって重要性の低いページだと評価されてしまいます。そのため、自社サイトの商品やサービス、記事の内容と関わりの低いページからの被リンクは回避しなくてはなりません。
近年は、さまざまなジャンルのページのリンクを掲載するディレクトリサイトがあります。例えば「Yahoo!検索」などが有名です。Yahoo!のようにサイトの審査を行って掲載するサイトであればよいのですが、中には審査がなくどんなレベルのサイトでも掲載するようなディレクトリサイトが存在します。こういったサイトにリンクが掲載されたとしても、Googleからはディレクトリサイトであると認識されてSEOの効果が少なくなってしまいますので、利用は控えましょう。
質の低いページからの被リンクは避ける
3つ目は、質の低いページからの被リンクは避けることです。
Googleの「品質に関するガイドライン」には、質の低いコンテンツとして次の例が紹介されています。
・自動生成されたコンテンツ |
ツールで自動生成され、キーワードを含むが文章の意味をなしていないページなど |
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・内容の薄いアフィリエイト ページ |
地の文に独自のコメントなどがなく、ただ商品を掲載しており、商品紹介も販売者ページをコピーしただけのページなど |
・無断複製されたコンテンツ |
他のコンテンツを複製しており、類義語などで少し修正しただけのページなど |
・誘導ページ |
内容が似た複数のページや、別の記事に誘導するだけのページなど |
このような、コンテンツ数をとにかく増やすことを目的として、内容の薄い記事を量産しているようなサイトが残念ながら存在します。こういったサイトはユーザーにとって有害ですので、つながりを持つと自社サイトの評価が下がってしまいますから、回避しましょう。
被リンクチェックでペナルティを予防する方法
被リンクを獲得するにあたり、低品質なページからの被リンクがあると自社サイトの評価が下がったり、ペナルティを受けたりするおそれがあります。そこで、チェックツールを使って被リンクを設置しているサイトを洗い出した上で悪質な被リンクに対処し、ペナルティを予防する方法をご紹介します。
・自社サイトの「被リンクリスト」を入手する
チェックツールを使い、自社サイトがどのサイトで被リンクを設置されているかが一覧化された「被リンクリスト」を入手します。
・「マイナス影響が考えられるリンク」を選別する
被リンクリストに記載された元リンクの内容を確認し、自社と関連性の低いサイトや低品質なサイトを選び出します。
・悪質な被リンクに対処する
ツールにて、選び出したサイトの被リンクについて、否認申請や削除操作を行います。
例えば、後でご紹介するGoogle Search Consoleでの対処方法としては、「リンク」をクリックすると「外部リンク」と「内部リンク」が表示されますので、外部リンク内の否認したいリンクをテキストファイルでリスト化し、「否認ツールのページ」にアップロードすることで、否認ができます。
詳しくはSearch Consoleヘルプ「サイトへのリンクを否認する」をご参照ください。
被リンクチェックに役立つ!ツール3選
被リンクの数や内容のチェックに役立つツールを3つご紹介しますので、被リンクのチェックにお役立てください。
- Google Search Console
- Ubersuggest
- Ahrefs
Google Search Console
Google Search Consoleは、検索順位を管理し改善するのに役立つ無料ツールで、被リンクも無料でチェック可能。「外部リンク」の一覧で上位のリンク元サイトや上位のリンクされているページチェックできるほか、「内部リンク」で自社サイト内での内部リンク状況を確認できます。
Ubersuggest
引用:Ubersuggest
Ubersuggestは、米国のWebマーケターNeil Patel氏が開発したSEOツール。無料で利用可能な機能が多数あり、被リンクチェックのできる「バックリンクチェッカー」も無料です。被リンク総数やその詳細を一覧化でき、教育(.edu)政府(.gov)などの関連サイトもつかめます。競合企業がどのような被リンクを獲得しているのかもチェックできますので、今後どんなジャンルや企業との関わりを目指していくかを検討するのにも役立ちます。
Ahrefs
引用:Ahrefs
Ahrefs(エイチレフス)は有料のSEOツールで、使いたい機能や得られるデータボリュームによって月額使用料がきめ細やかに設定できます。Googleの次にアクティブに活動するクローラーを稼働し、優れたデータベースを作り上げており、有料だからこその幅広い数値を把握できる仕組み。
被リンクについては、「サイトエクスプローラー機能」に自社サイトを入力すると元リンクが一覧化され、無料ツールだけでは把握しきれない不自然なリンクを抽出してスピーディーに警告解除を目指せます。また「アラート機能」に自社のサイトを設定することで、被リンクを獲得した先の情報や被リンクの増減をリアルタイムに把握。アラート情報は登録のEメールアドレスへ通知され、検索順位の変動との関連性を検証できます。
まとめ
今回は、SEO対策に効果的な、他サイトからの被リンクの獲得について、良質な被リンクをどう増やすか、悪質な被リンクをどう回避するかの方法や、おすすめの被リンクチェックツールなどをご紹介しました。
関連性のある質の高いサイトからの被リンクを獲得すれば、Googleなどの検索エンジンからの評価が高まり、結果的に検索上位に表示されていきます。一方で、悪質なサイトからの被リンクは自社サイトの低評価につながり、ガイドライン違反サイトであると判定されかねないため、被リンクチェックツールを利用して回避に努めましょう。
また最も重要なのは、良質なコンテンツを制作すること。ユーザーの検索意図を汲み取り、オリジナリティのあるコンテンツ作りに励みましょう。
執筆者
黒谷 純子
MIL株式会社 マーケティング
大学卒業後、編集プロダクション等を経て、人材サービス企業のマーケティング職に従事。2021年3月よりMIL株式会社に入社し、現在は自社サイトやMILblogの企画・ディレクション・執筆等を担当している。
Twitter : https://twitter.com/MIL29292841