オンラインで商談を行うことが当たり前になってきた昨今、名刺交換の形も変わってきています。オンライン上ではデータでやり取りする形式となりますが、相互に負担をかけず、しかも好印象を残すような、時代に即した名刺交換を目指したいですよね。
本記事では、オンライン商談で名刺交換する方法やおすすめのシステム・ツールなどをご紹介します。また、システム・ツールのメリット・デメリットも解説しますので、ぜひ参考になさってください。
オンライン商談で名刺交換をする3つの方法
オンラインでの商談が普及する中で、オンライン商談に適した、新しい形の名刺交換が生まれています。この項目では、オンライン商談で名刺交換をする方法として、主な3点をご紹介します。
- メールやチャットで名刺データを送付する(無料)
- バーチャル背景を活用する(無料)
- 名刺管理ツール・システムを利用する(有料)
方法1:メールやチャットで名刺データを送付する(無料)
オンライン商談で名刺を交換する手法として最も手軽なのは、名刺データをやり取りする方法です。事前にPDFやJPEGなどの画像データで名刺情報を用意しておき、メールやWeb会議システムのチャット機能を利用してデータを交換します。
自分の名刺をPDFやJPEGなどの画像データに変換するだけ。余分な費用はかかりませんし、スキャンや撮影するだけなので作業時間もごくわずかです。こちらから名刺データを送付するときの文章は、丁寧であることはもちろんですが、アイスブレイクにつながるような話題を入れると警戒感や緊張感を和らげるきっかけにもなるでしょう。
但し、画像データのやりとりなので、名刺データを適切に管理するためには顧客管理システムやデータベースに入力する必要がある点がデメリットです。また受け取る名刺データが多くなればなるほど入力の手間が増え、誤入力の可能性も高まります。
方法2:バーチャル背景を活用する(無料)
次に、Web会議ツールのバーチャル背景機能を活用して、自分の名前や肩書きなどの名刺情報を商談相手に伝える方法もあります。
バーチャル背景機能は「氏名・会社名・役職・連絡先」といったプロフィール情報のほか、QRコードも背景に埋め込むことが可能です。自分が最低限伝えたい内容は背景に表示し、詳細はQRコードを読み込んで確認してもらえます。これはオンライン商談ならではの情報提供と言えるでしょう。特に商談の参加人数が多い場合や、ウェビナーなど大人数を相手に情報を発信する場合に効果を発揮します。
但し、画面を圧迫するような形で表示させてしまうと、くどい印象を与えてしまい、相手も商談に集中できなくなるので注意が必要です。例えば、相手の緊張感や警戒感を解くために「商談冒頭でのみ利用する」といった工夫を施すと良いでしょう。またこの方法は、厳密には「名刺交換」でなく、こちら側の情報を明確に伝えるという手法になりますので、相手の情報を得るには別の手段が必要になります。
●zoome(ズーミー)
引用:zoome
デフォルトで用意されている画像や自分で用意した画像を背景にして、おしゃれな名刺背景を簡単に作成することが可能です。作成途中の名刺データは常に画面中央のプレビューに表示されているので、出来栄えを確認しながら作業ができて安心です。
●バーチャル名刺背景ジェネレーター
引用:バーチャル名刺背景ジェネレーター
必要項目を入力し任意の画像をアップロードするだけで、オンライン会議の背景画像を生成・ダウンロードすることが可能です。背景にはTwitterやFacebookといったSNSのQRコードを入れられたり、オンライン名刺管理システムEightのQRコードを入れられたりと、便利な機能が備わっています。
方法3:名刺管理ツール・システムを利用する(有料)
オンライン名刺交換の機能が搭載された「名刺管理ツールやシステム」を利用すれば、最もスムーズに名刺交換ができます。
たとえば、ツール・システムにオンライン名刺のデータを事前登録しておき、必要に応じてそのURLを送付したり、先述のバーチャル背景のようにQRコードを読み取ってもらったりと、様々な方法があります。また相手にも名刺をスマホで撮影・返送してもらうだけで、デジタルデータとしてシステム内に蓄積されるため、入力の手間も省けます。
さらに、システムのデータベースと連携させれば、受け取った相手の名刺情報の管理・活用も容易になり、営業活動の効率化を実現できます。
オンライン名刺管理ツール・システムのおすすめ4選
以下では、おすすめのオンライン名刺管理ツールとして、以下の4サービスをご紹介します。
- Sansan
- Eight
- ホットプロファイル
- my Bridge
Sansan/名刺に加えて、あらゆる顧客データと連携できる
Sansanは、自社内の名刺を一括管理できるサービスです。中小・大企業を問わず、約8,000社に利用されており、名刺管理サービスシェア83%となっています。
やり取りする双方がSansanを利用していれば、URLを送付し合うだけで簡単に名刺交換ができます。どちらか片方のみの利用であっても、名刺情報に表示されるQRコードにアクセスし、自分の名刺をスマホで撮影して相手に返送すれば、デジタルデータに置き換わります。名刺情報を入力する手間がなく、簡単に名刺交換が完了します。
無料トライアルが用意されており、オンライン名刺機能、名刺のデータ化、スマートフォンアプリ、組織ツリーなどを体験できます。料金プランは「Lite」「Standard」「DX」の3種類がありますが、契約内容によって料金が異なりますので、詳しくは直接お問い合わせください。
Eight/無料で利用できる個人向け名刺アプリ
Eightは、無料で利用できる個人向け名刺アプリです。まずは個人単位で名刺管理ツールを使ってみたいという方におすすめです。
Sansanと同様に「スマホで撮影した名刺をデジタルデータに置き換える」ことができ、Eightを利用していない相手でも、名刺情報のURLやQRコードを送付するだけで簡単に名刺交換ができます。またEightでつながると、相手の名刺情報が転職・昇進などで変更されたときに通知がきます。さらに、自分の興味・関心に合うイベントの情報が届き、その場で視聴も可能です。
無料版のEightで基本的な機能はほとんど利用できますが「Eightプレミアム」「企業向けプレミアム」に登録すると、限定機能を利用できるようになります(月額480円・年額4,800円)。限定機能には「名刺データをダウンロードして管理する」「連絡先アプリと連携できる」などデータをさらに有効活用していくための機能があり、企業での利用に適しています。
ホットプロファイル/営業活動のサポートに重点を置いた顧客管理ツール
ホットプロファイルは、営業の生産性向上、売上向上に役立つクラウド型営業支援ツールです。さまざまな顧客情報をデジタル化し、自動で整理してくれます。
オンライン上の名刺交換については、Web会議でQRコードを表示させてこちらの名刺データを提供し、その後、相手に名刺をカメラで撮影してもらえば名刺交換が完了します。受け取った名刺情報はクラウド上に保存でき、営業活動履歴、興味・嗜好などの情報と連携させて管理可能です。
料金は「基本パック」と営業支援がセットになった「SFAパック」の2種類があります。さらに、無料トライアルも用意されており、名刺管理・営業支援などの機能を30日間体験できます。
my Bridge/LINEが運用する、無料の名刺交換アプリ
my BridgeはLINE株式会社が運営する名刺管理アプリで、他社で有料サービスとして提供されている機能を無料で利用できるのが特徴です。LINEという利用人口が多いツールを使って、名刺交換ができるのが大きな魅力です。
オンライン上の名刺交換は、自分の名刺データをURLで送付するだけで完了します。データはmy Bridge会員であればmy Bridgeに保存し、非会員ではデバイスの連絡先に保存可能です。名刺交換した相手の情報を他の人と共有したいときは、LINEのトーク画面で手軽に行えます。また、my Bridgeに名刺情報を登録しておくと、連絡先を登録していない相手からの着信でも相手の名刺情報が表示されます。
1日あたり入力できる名刺の枚数や入力項目に上限はなく、他のすべての名刺管理機能も無料で提供されています。
名刺管理ツール・システムを使うメリット
名刺交換ツール・システムは、オンライン商談で名刺交換するときに非常に便利なサービスです。これらを有効活用するためには、ツールやシステムのメリットを把握しておくことが重要です。以下では3つのメリットをご紹介します。
- 相手の所属部署・役職などを正確に把握し、戦略的に営業活動ができる
- 印刷コストが発生しない
- 名刺データ管理を効率化できる
メリット1:相手の所属部署・役職などを正確に把握し、戦略的に営業活動ができる
オンライン商談では、取引先の参加者が多い場合、名前や役職、所属部署を全員分、正確に把握することが困難です。しかし、名刺管理ツール・システムを利用すれば、オンライン商談でもスムーズに名刺交換ができるため、キーパーソンが誰であるかも把握しやすくなり、商談を優位に進めることができます。
メリット2:印刷コストが発生しない
従来の対面型商談では「名刺の印刷代」が発生していましたが、名刺管理ツール・システムを利用する場合、どれだけ多くの人と名刺を交換しても、印刷コストは発生しません。
メリット3:名刺データ管理を効率化できる
名刺管理ツール・システムの中には、オンラインで交換した名刺情報を自動的にシステムのデータベースに保存できる機能があります。従来の名刺のようにかさばることもなく、保管場所を確保する必要もありません。また、他のMAツールとデータと連動させれば、名刺データをより有効活用できるでしょう。
名刺管理ツール・システムを使うデメリット
名刺管理ツール・システムを有効活用するためには、デメリットもしっかり把握した上で、デメリットを解決するためのアプローチや事前準備をしておくことが大切です。以下では、名刺管理ツール・システムの主なデメリットとして3点をご紹介します。
- データが重複する可能性がある
- システム・ツールの利用コストが発生する
- オンライン名刺交換の実践企業はまだまだ少ない
デメリット1:データが重複する可能性がある
オンライン名刺管理用データベースと顧客管理データベースをそれぞれ別々に構築・運用している場合、データの重複や一方の情報が古くなる可能性があるので注意が必要です。
データの重複を避け、いずれのデータも最新情報にアップデートするには、定期的にメンテナンスする、自社システムに合わせてデータ連携方法を構築しておくなど、あらかじめ対策を検討しておきましょう。
デメリット2:システム・ツールの利用コストが発生する
企業として利用する名刺管理ツール・システムはほとんどが有料のため、利用のコストが発生します。料金体系は、利用するアカウントの数に月額料金を掛け合わせるパターンが多く、利用者が多ければ多いほどコストも増えます。
実際にどれくらいの頻度でシステムやツールを利用するのか、費用対効果は満足のいくものか、全員にアカウントが必要なのか、などを考慮して自社に合ったものを選びましょう。
デメリット3:オンライン名刺交換の実践企業はまだまだ少ない
新型コロナウイルスの影響やテレワークの普及によりオンライン商談が行われる機会が増えましたが、オンラインでの名刺交換が行われるケースはまだ多くなく、相手側が不慣れの可能性が高いです。
ただ、オンライン名刺交換のツール・システムを利用すれば、簡単に情報交換が終わるので、相手の心理的ハードルも下げられますし、先進的な企業姿勢を評価してもらえるかもしれません。相手にうまく伝えるためのトークスクリプトなども用意しておくと良いでしょう。また相手の様子や反応を見て、場合によっては無理強いしない判断も必要です。
まとめ
オンラインでの商談が一般化しつつある現在、オンライン上での名刺交換が注目されています。コストや費用対効果、データの管理方法なども踏まえ、今回紹介した方法の中から、自社に合った方法をぜひご検討ください。
以下の記事でも、オンライン商談を成功に導くヒントをお届けしています。ぜひ合わせてお読みください。
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執筆者
桑田 将臣
MIL株式会社 セールスグループ マネージャー
WEB系ベンチャー企業にて新規事業の立ち上げ・セールスなどを経験後、PR会社にてデジタルプロモーションの企画提案を担当。2019年3月よりMIL株式会社に入社し、現在はセールスグループの各部門を統括している。